キカイダー01全話解説
第9話 大犯罪組織シャドウ出現の怪!!
脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦
赤面ガメ登場
冒頭は当然前回の続きから。イチローとジローはアキラを連れ去ったシャドゥナイトの車を追っていた。
しばし車道を逃走していたシャドゥナイトはとある海岸で車を乗り捨て、小型ホバークラフトに乗り換えて海上を逃げた。するとイチロー・ジローのマシンは海上を滑走(笑)。そんな機能もあったのね(笑)。
追い付けそうで追い付けない展開の後、シャドゥナイトはとある小島に上陸。するとシャドゥナイトの前には彼を待ち構えていたブルーハカイダーとシルバーハカイダーが立ちはだかった。
シャドゥナイトに対してその名を口に出してアキラを渡すよう要求するシルバーハカイダー&ブルーハカイダー。どうやら二人はシャドゥの事もシャドゥナイトの事も知っているようである。
勿論シャドゥナイトが応じる筈もなく、例の甲冑体になるとアキラが逃げるのも意に介さず応戦した。得物を駆使して襲い掛かるシルバーハカイダー&ブルーハカイダー、二人掛かりを相手に互角以上に戦うシャドゥナイトと、その間隙を縫って逃げるアキラ。
そのアキラを足止めせんとして物陰からレッドハカイダーがこれを狙撃せんとしていたが、これには駆け付けて来たジローが阻止しに入った。
キカイダーにチェンジし、ロープウェイで逃げるようにアキラに促したジローだったが、ロープウェイの終点にはハカイダーと、いつの間にかシャドゥナイトとの戦闘を離脱したシルバーハカイダー、ブルーハカイダーがアンドロボット達を率いて待ち構えていた。
勿論それにはキカイダーもすぐに気付いたのだが、レッドハカイダーと交戦中で、おまけに然して強くないアンドロボット達も数に物を云わせて取り縋って来た。ハカイダー達はロープウェイを止めてアキラ拉致に掛からんとしたが、二つあるロープウェイの一つからいつものトランペットが鳴り響いて来た。
ロープウェイからハカイダー達の側近くに降り立ったイチローは即座に01にチェンジ。01に対してもアンドロボット達が数に物を云わせて次々襲い掛かって来たが、さすがにこれは良くても時間稼ぎにしかならなかった。
01は頑太が食べようとしていた3000円のステーキを巻き込みながら(笑)アンドロボット達を蹴散らし、ついに01&キカイダーはハカイダー部隊と対峙した。たが、決着の緊張感を漲らすようににじり寄っていた両陣営の対峙は何処からともなく放り込まれた一本の槍で水入りとなった。
槍一本の投入に何故かハカイダーは撤収を下知し、訝しがる01達が槍の来た方角を見ると、そこには一体の怪人がいた。
シャドゥのロボットか?と誰何する01に「よくぞ見破った。」としたロボット(←展開的に他の推測は無かろうに)は赤面ガニと名乗った………恥ずかしがり屋なのかな?(笑)
二人の人造人間を前に余裕綽々で、自分と戦っても勝ち目はないからアキラを渡してハカイダー達の様に尻尾を撒いて逃げ出すのが賢明、と大上段に構える赤面ガニだったが、得意気に飛ばした両手のハサミを01とキカイダーにあっさり弾き返されるといきなり両腕と体力を失ってダウンした…………弱っ!!
視聴者がその激弱振りに呆れる間もなく、赤面ガニの周囲に剣が数本投げ込まれると、シャドゥナイトが現れ、現時点で01達と戦う意思がないことと、赤面ガニを引き取る旨を宣して姿を消した。
場面は替わってホテルの食堂。
そこではロープウェイでアキラを保護していたリエコとアキラが豪華な食事をしていた(←リエコ、金持ちなのか?)。するとそこにすぐ近くで食事会をしていた初老の男(轟謙二)がリエコに気付き、彼女に接触して来た。
男に肩を叩かれたリエコは驚いて「湯山博士」という名を口にした。両者の会話によるとリエコは湯山博士の研究室に所属していたとのことで、3年前突如姿を消したとのことだった。恐らくその辺りにリエコが隠す過去や事情があるのだろう。3年振りの再会に明らかにリエコは気まずそうで、博士はそんなリエコに「元気そう。」「いい事でもあったのかな?」と明らかに空気が読めていなかった(苦笑)。
勉強が出来ても世渡りが下手なタイプかな?と思っていたら、博士は助手らしき人物に呼び出されて座を外すと忽ちハカイダー達の囚われの身となり、偽物がすり替わってしまった。
リエコの元に戻った偽博士は親し気にアキラの事を聞いたり(リエコは「弟」と誤魔化した)、リエコが悪い組織に捕まって悪事に加担させられているという噂を聞いたと語りかけたりした。ますます気まずそうにするリエコに対してハカイダーは何を企むのか?
Bパートに入るとイチローとジローがシャドゥに関する情報交換をしていた。といっても、判明していることはまだ少ない。どうやらジローの方がいくつかの情報を握っていたようで、シャドゥが世界征服を狙う大犯罪組織であることと、ダークやハカイダー部隊とも異なるより大きな組織であることが語られたのだが、続けて語られた彼等の第一目的からしてシャドゥは恐ろしい組織だった。
その第一目的とは「1000万人殺人計画」という物騒な物。計画の名前を聞いた瞬間、シルバータイタンは東京都民皆殺しかと思った。『仮面ライダーV3』にてデストロンのヨロイ元帥が東京都民皆殺しを企てた際に、その殺害予定人数を1000万人としていた。
だが、シャドゥが狙う1000万人とは、ブラックサタンという巨大コンピューター(←何か気になる名前だ(笑))が無目的に選ぶ日本人の10人に1人とのことで、選択基準の全く見えない無差別テロに等しいものだった。
訳の分からないまま10人中の1人に入れられる人々とその関係者は勿論、理不尽な脅威に曝されることも含めて極めて質の悪い話である。イチロー達が投宿しているマリンホテルには1600人の人がいるとのことで、そこから160人の犠牲者が出るだけでも飛んでもない大惨事、大犯罪である。
ともあれ、アキラの身を案じて戻ったイチローとジローだったが、その姿は見えず二人は慌ててアキラを探し回った。その間、アキラの側にはリエコと偽湯山博士がいた訳で、偽湯山はアキラに愛想良く一緒に遊びつつ、拉致する隙を伺うが、用心深過ぎる程用心深いリエコがいてはそれもままならない。
一方で、シャドゥナイトと赤面ガニもアキラを注視していたのだが、途中でシャドゥナイトは赤面ガニとともにアジトらしき場で首領・ビッグシャドゥの命を受けたことで撤収した。
現時点でショッカーの首領同様声しか現れていないビッグシャドゥはハカイダー達を「あの馬鹿どものハカイダー四人衆」と呼び、後は彼等に任せればいいとしていた。
そしてそのハカイダー四人衆だが、遂に湯山博士に化けていたレッドハカイダーがアキラとリエコを人気のないところに連れ出し、ハカイダー達がこれを取り囲んだ。ハカイダーはシャドゥが動き出したことを挙げて事を急ぐよう促したが、そこにギターの音色が鳴り響いた。
高所でギターを爪弾くジローを忌々しげに見上げるハカイダー達だったが、そこに今度はトランペットの音色が鳴り響いた。イチローがどこに居るのか訝しがっている中、ハカイダーが発見したイチローがいたのは何とジローの真横(笑)。
そして今度こそキカイダー兄弟とハカイダー一味の正面衝突となった。例によってハカイダー達に拘束しているリエコ&アキラの身を盾に取るという発想はない(笑)。
まあ、少し同情的なことを云えば、ハカイダー一味にはアキラを生かして使う目的がある様なので、人質利用でも危険に曝す訳にはいかなかったと云うのもあるのだろう。
実際、戦いの途中でブルーハカイダー、レッドハカイダーはアキラ達を連れて戦線離脱を図った。これを見てキカイダーは、迎撃は自分がするので01にアキラを取り戻すよう促した。
キカイダーにはアンドロボット達がまたも数を頼りに取り縋りまくり、アキラ達を取り戻さんとする01にもハカイダーとレッドハカイダーと大量のアンドロボット達が迎撃した。
だが、どれほど大勢いてもアンドロボット達では01に抗し得ず、時間稼ぎが関の山だった。しばしの格闘後、01はすべてのアンドロボット達を蹴散らし、海辺にてレッドハカイダー・ブルーハカイダーとの最終決戦となった。
三者ともに下半身が海に浸かった状態で繰り広げられた戦いだったが、これまでの戦いで力を使い果たしものか、レッドハカイダーもブルーハカイダーもほぼグロッキーで、01の前にサンドバック状態だった。
そして01がブラストエンドを放つと、レッドハカイダーとブルーハカイダーは揃って戦死したのだった。
無事アキラを保護したイチローとジローは握手を交わして各々ホテルを後にし、それをいつもに増して復讐の念に燃えるハカイダー&シルバーハカイダーが凝視し、シャドゥの不気味な影が複雑な余韻を響かせて第9話は終結したのだった。
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最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日