キカイダー01全話解説

第11話 怪談 地下秘密基地の幽霊女

脚本:長坂秀佳
監督:今村農夫也
赤面ガメ、幽霊女登場


 前話にてハカイダー部隊はほぼ壊滅した。新展開を受けてか、OP映像も若干替わり、ハカイダーの部下達は姿を消し、01やキカイダーに群がる雑兵もアンドロボットがビッグシャドゥ所属であるシャドゥマンに替わっていた。
 そして冒頭、前話で01のブラストエンドに倒れたハカイダーは一命を取り留めたものの、その身はシャドゥ特製の鎖で戒められており、一応は命を救われたことをシャドゥナイトから告げられ、なし崩し的にビッグシャドゥに忠誠を誓うこととなった。

 ハカイダーの近況が告げられたところでサブタイトルが出て、場面は夜中の工事現場(に見せかけたビッグシャドゥの悪巧みの場)に変わった。
 そこでは一人の酔っぱらいが地面に空いた穴を覗き込み、幽霊女(京田尚子)に襲われ、直後には近くの公園でイチャついていたアベックが襲われた。
 ビッグシャドゥの言によると、これらの殺人は1000万人殺害計画の一環で、既に5368人を殺害したと得意気なビッグシャドゥだったが、最初にその計画名が出た2週間前から開始していたとしたら、単純計算で1000万人に達するのは3726週間後……つまりは70年後……何て効率の悪い話なんだろうか(苦笑)
 ともあれ、次のターゲットはアカネ・カズヒコなる少年と決まっていた。1000万人という人数の中に殺す段取りや優先順位が決まっているとしたら、効率が悪くなるのも無理はないかな(苦笑)。

 そしてそのカズヒコは公園を歩いていたところで浮遊するカラーコーンと幽霊女に襲われたのだが、その悲鳴をプレハブ小屋に待機していたイチローが偶然聞き付けたことで現場に駆け出したのだった。
 人魂と共に現れ、幽霊女とシャドゥマンに追われていたカズヒコの前に現れたイチローは、例によって高所からトランペットを吹き鳴らした訳だが、何者かと誰何する幽霊女を愚弄するように延々とトランペットを吹き続けていた。
 背中を向け、なかなか顔を見せなかったイチローがようやく名乗り、シャドゥのロボットか?と誰何し返された幽霊女は、シャドゥ殺人ロボットナンバー7の肩書を名乗って、戦意を露わにしたが、突如腕を取外すとマシンガンを発した!幽霊そのまんまのスタイルがいきなり銃撃したのだから、これは意表を突く良い設定だ(笑)。

 ただ、イチローに然したるダメージを与えた訳ではなく、攻撃を躱したイチローがジャンプすると背景は突然夜から昼間に変化した(笑)。
 改めてイチローと対峙した幽霊女は銃撃を繰り返し、イチローに幾許かのダメージを与えたり、火の輪に取り囲んだりしたが、イチローが01にチェンジするや、何故か悲鳴を上げて逃げ出した。
 そして幽霊女と入れ替わる様に現れたのはハカイダー。生きていたことに驚く01にハカイダーは、01を倒す為にビッグシャドゥと組んだことを告げ、背後にいた幽霊女に下がっていろと促した。
 01を倒すことがビッグシャドゥの命令なのか?と半ばからかい気味に問い返す幽霊女を無視するようにハカイダーショットを01に放つハカイダーだったが、01はカズヒコの安全確保を優先し、戦線離脱した。

 彼等を逃がさじ、とばかりにハカイダー幽霊女は個々に01を追い、とある寺社に01達を追い込んだが、今度はギターの音色が響いた。
 イチローに対しては散々名乗るよう促しながら、ジローに対してはギターの音色だけで判別していた幽霊女不思議過ぎ(笑)。
 ともあれ、01VSハカイダー、キカイダーVS幽霊女のマン・ツー・マンタッグマッチがしばし展開されたのだが、Bパートに入る直前に横槍が入った。

 横槍を入れたのはシャドゥナイト赤面ガニの2人で、ハカイダーを両脇から取り押さえて無理矢理戦線離脱させた。幽霊女が仄めかしていたように、ハカイダーの01襲撃は彼自身の独断専行で、ハカイダーのシャドゥに対する忠誠は打倒01の便宜上のもので、共闘には程遠いことが分る。
 一方、イチローとジローがアキラを潜ませていたプレハブに戻るとアキラの姿は消えていた。だが、程なくアキラは和服の女性に伴われて姿を現した。最前、イチローがカズヒコ救助に向かった際にイチローを追って小屋を出たアキラをシャドゥマン達が襲わんとしていたのだが、和服の女性に保護されたらしい。
 直後にジローが問うたのを待つまでもなく多くの視聴者が察知したと思われるが、和服女性の正体は勿論リエコである。何故正体を隠すのか?という詰問に、自分が側にいればアキラの身が危ないがそれでもアキラが心配なので姿をかくして見張っていたとのこと。矛盾した行動(←以前は安全面から自分がアキラを引き取ろうとしていた)だが気持ちは分からなくはない。

 敵ではないにしても正体を明かさないリエコをいつも詰問していた二人だが、意外にも今回は特に詰問もせず、工事現場などで行方不明者が続出しているというジローの情報に基づいて工事現場及び地下下水道を探索した。
 世間に知られることなく下水道に巨大迷路並みの行動網を展開していたシャドゥの組織力の大きさに感嘆するとともにどこか嬉しそうなイチローとジロー。とうことは、ハカイダー部隊は相手に取って不足だったということだろうか?ハカイダー及びハカイダー部隊、いと哀れなり………(苦笑)

 そしてダークやハカイダー部隊よりも遥かに大きな組織力を持つシャドゥの首領ビッグシャドゥは自分の傘下に在っても01打倒を優先して自分に完全服従しようとしないハカイダーを笑って許しつつも、以前と同じ妙な空間に閉じ込め(ビッグシャドゥ曰く、「しばらく眠らせる。」とのこと)、幽霊女率いる一隊はカズヒコやリエコ&アキラを上手く工事現場から地下に誘導して拉致した。
 リエコ、アキラ、カズヒコが誘導された地下には行方不明になっていた人々が強制労働させられていたのだが、そこに現れた幽霊女は、この場所が01に嗅ぎつけられたので全員殺すと宣言した。アキラの持つ秘密はシャドゥも求めている筈で、その解明前にアキラも一緒に生き埋めにするのは酷く矛盾するのだが、シルバータイタン的にはその間中アキラを庇っていたリエコの服の一部が戦ってもいないのに破れていた方が気になっていた(笑)。

 ま、彼等の危機にはもちろんイチローが駆け付けた。地下ではトランペットの音も反響してよく聞こえたと思う(笑)。
 捕らわれ人達を逃がし、対峙したイチローに、地下では太陽電池は作動しないとほくそ笑む幽霊女だったが、そこは駆け付けたキカイダーが即座に天井の岩盤を砕いて太陽光を導いた(笑)。一度に複数の怪人が動くことの多いシャドゥだが、手の空いた奴にキカイダーを迎撃させる知恵はないのか?(苦笑)
 ともあれ、太陽光を得たイチローは01にチェンジし、その間にジローは囚われていた人々の避難に努めた。

 やがて地上に躍り出た01と幽霊女は最終決戦に及んだ。
 分身の術を駆使して宙を舞いながら波状攻撃を仕掛けていた幽霊女だったが、01に苦戦している様子はなく、そこに赤面ガニが加勢したが、それでも特筆すべき展開も無いまま01がブラストエンドを放つと両者は仲良く戦死した。

 決着後、囚われていた人々が働かされていた地下基地も爆破され、まだまだシャドゥの一角を崩したに過ぎない、として調査の続行を誓うイチローとジロー。
 その二人を高所から見ていたのは、ビッグシャドゥによって眠らされた筈のハカイダー。例によって01達への報復に燃えていた訳だが、印象的だったのは、例えアキラ(とその秘密)をシャドゥに譲ることになっても、三人の兄弟の仇である01だけは自分の手で倒すとしていたことだった。
 部下達を頻繁に折檻し、部下達も絶対的なまでに忠実とは云えなかったハカイダーだが、それでも自らの野望よりも仇討ちを優先していたのだから、彼等の対人関係もなかなか興味深いと云えよう。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日