キカイダー01全話解説
第12話 怪談 墓場の化猫呪いの生首
脚本:長坂秀佳
監督:今村農夫也
化猫ロボット登場
冒頭、シャドゥ基地内にて、シャドゥ殺人部隊ナンバー44の化け猫ロボットが杉下ゴイチなる少年を抹殺するよう指令を受けていた。何でも化け猫ロボットの死体改造計画なる作戦を遂行するのに邪魔となる存在らしい。
小学生に邪魔されるアンドロイドって、一体………また、前話に登場した幽霊女がナンバー7だったから、ナンバー8からナンバー43までの36体は役立たずだったのだろうか(前話終盤の赤面ガニと幽霊女の呆気ない最期を鑑みるとその可能性は充分)?
そのゴイチは、小学生達の間で番長として通っている同級生に態の良い子分扱いされており、数人の小学生が可愛がる捨て猫(黒猫)を番長の威を傘に着て強奪しては、当の番長には即座に飽きて捨てるというジャイアンに対するスネ夫振りを発揮していた(苦笑)。勿論黒猫の正体は云わずもがなである(笑)。
その後も番長はゴイチに弱者への嫌がらせを強要し、ゴイチはゴイチでそれに逆らえない一方で粋がっていた。勿論この手のクソガキは強い相手には丸で弱いが、弱い相手には無駄に強気に振る舞う。最前の黒猫に気付くや、「ガンを付けている。」と憤慨して攻撃するのだが、直後に小学生に化けたシャドゥマンに襲われると即座に逃げ出した。化け猫ロボットよ、本当にこんな餓鬼がお前の天敵なのか?(苦笑)。
幸い、ジローが駆け付けたためにシャドゥマン達は即座に蹴散らされた。おまけにイチローまで駆け付けたのでゴイチと番長は事なきを得たのだが、シャドゥマン達は全員が一度に姿を消すという不可解な撤収をし、これを訝しがったイチローとジローがその場を離れた。
するとそれをいいことに番長は気絶したゴイチを介抱したのは良いにしても、シャドゥマン達を追っ払ったのは自分だという偽りを持って恩を着せた。呆れたことに番長は連れ帰ったゴイチの母親にまで自分がゴイチを助けたと猛アピール。
ところが、ゴイチの母はリエコと旧知で、リエコとアキラを宅内に匿っていたので、やって来たイチローによって番長の嘘は見事に暴露された(笑)。
目撃者に証言されては番長はぐうの音もなく退散するしかなかったのだが、問題はゴイチの容態だった。うなされるゴイチの傷口は赤黒くはれ上がり、イチローはそれがシャドゥの毒によるもので、病院では治せず、このままではゴイチは幻覚に苦しんだ挙句狂死する、と云い放った。
ゴイチの母−カズヨは、「病院では治せない。」という現実世界なら死亡宣告に等しい台詞を平然と吐くイチローに気が気ではなかったが、イチローは自分なら治せるとして、体内のメカを駆使して解毒剤を精製した。
解毒剤は功を奏し、ゴイチの容態は目に見えて安定した。イチローの見立てでは明朝にもう一度同じ薬を服用すれば完全になるとのことで、一同は安堵した。ところが次の瞬間、猫の鳴き声がするやゴイチは脅え出し、猫の鳴き声が本来のそれとはサイクルが違うと判断したイチローは庭に飛び出した。
だがこれは陽動作戦で、イチローの追った相手はシャドゥマンに通信機を持たせて声を出させたという単純な囮で、その隙に化け猫ロボットの魔手は杉下母子に、そしてリエコとアキラに迫っていた。
化け猫ロボットはカズヨに成りすまし、ゴイチを襲わんとした。間一髪で危ない気配に気付き、リエコに助けを求めたゴイチに、当初リエコは母親を怖がるゴイチを毒による幻覚に苦しんだものと見たが、直後に目を覚ましたアキラによって、影が化け猫ロボットのそれというベタなバレ方をした(笑)。
ホラー映画宜しく、のんびり迫りつつも何故か先回りが出来るという謎な迫り方をする化け猫ロボットに対して、リエコは二人の子供を庇いつつ逃げ惑った。何とか屋外に出るもシャドゥマン達に包囲され、結局は訳の分からない催眠術で三人とも眠らされた。
万事休すの三人が連れ攫われんとしたその刹那、トランペットが飛んできて化け猫ロボットの拉致を妨害した。勿論トランペットの主はイチローで、駆け付けたのは良いが、太陽電池の効かない闇夜にどう戦うのか?と多くの視聴者が不安に思っていたと思われるが、イチローがトランペットを吹奏するシーンになるとシーンは既に夜明け(笑)。イチローはいつの間にかラナルータでもマスターしたのだろうか?(苦笑)
ともあれ、イチローは01にチェンジし、忽ちシャドゥマンを蹴散らした。本物のカズヨはどうした?と詰問する01に、「知るもんか!」とすっ惚けた化け猫ロボットは即座に戦線離脱して、再度カズヨの姿に変化した。
逃げる途中で頑太と妙な絡みを見せた化け猫ロボットはさておき、イチローが杉下邸に戻るとリエコ、アキラ、ゴイチは気絶したままだった。イチローの気付けで目を覚ました三人は即座にカズヨの行方を案じたのだが、イチローは何らかの気配を察知したらしく、脇に在った杉下仁介なる人物の胸像の台座を叩き壊すや、その中で眠るカズヨが発見された。
場面は替わってとある墓場。ゴイチの獲殺もならず、本物のカズヨも発見され、計画が邪魔されまくっている様に見えた化け猫ロボットだったが、余裕の表情でシャドゥマン達に墓を掘らせていた。
墓から掘り起こされた白骨死体は怨念を抱えているらしく、その怨念を、シャドゥの造った殺人ロボットの頭脳回路に組み込むことで甦らせるのが死体改造計画の要諦だった訳だが、明らかに人目を避けて行うであろう作業をべらべら喋りまくる辺り、化け猫ロボットも二流以下だな(苦笑)。
ただ、べらべら喋りもっても、遺体盗み出しは成功し、化け猫ロボットはアジト内の生首に向かってこの世に対する憎悪を煽り立てた。
場面は戻って、死体が盗まれた墓場。そこには番長とゴイチが何かを探索するように歩き回っていたのだが、そこに化け猫ロボットが現れ、目撃者は許せんとばかりに(←最初から殺す気だったのに?)ゴイチを襲わんとした。散々っぱら親分面してエラソーに振る舞っていた番長は「お前なんか関係ない!」と云って逃げ出す最低振り………まぁ、仕方なくもないか(苦笑)。
通りすがりの婆さんと少女も巻き込まれて火炎攻撃に曝された三人だったが、そこにイチローが助けに入った。しばし通常の殺陣が展開されたのだが、そこに01抹殺に燃えるハカイダーが乱入した。
久々に流れるテーマソングをバックに現れ、「手を引け。」と宣うハカイダーに「シャドゥを裏切る気か!?」と難詰する化け猫ロボット。それに対してハカイダーは「二つの土産。」を交換条件として01抹殺を自分に譲るよう促した。
二つの土産の内一つは化け猫ロボットが当初から目の敵としていたゴイチの身柄。では、残る一つは?と化け猫ロボットが問うとハカイダーは即座にハカイダーショットを発射。すると、弾丸は少女の頭部を掠め、それによって解かれた変装の下からはアキラが現れた。 つまり、あれだけ執着していたアキラをシャドゥに譲ってでも01抹殺にこだわっており、正に手段が目的と化してしまったと云えよう。
ともあれ、両者のやり取りを見ていたイチローは即座に01にチェンジし、アキラ、ゴイチ、そして老婆の変装を化け猫ロボットに解かれたリエコを救わんとするのだが、襲い来るハカイダーによってそれもままならない。だが、これにはジローが駆け付け、三人は救助された。何故かなかなかチェンジせず、初めは化け猫ロボットにボコボコにされていたイチローだったが、01にチェンジすると形勢は逆転に転じた。
しばしの格闘後、タッグマッチは01VS化け猫ロボット、キカイダーVSハカイダーにシフトした。だが、執念を増幅しようとも戦闘力がアップした訳ではない様で、ハカイダーは(苦笑)、キカイダーに苦戦する中、駆け付けたシャドゥナイトの車に乗って戦線を離脱した。
そして戦いは01と化け猫ロボットの一騎打ちとなった。
ネコ科らしく、素早さやアクロバティックな動きでは01に引けを取っていない様子の化け猫ロボットだったが、殴り合いでは明らかに01に劣っていた。それでも両腕を飛ばしたり、頭部を上空に浮かべて炎を吐く攻撃で01を苦しめたりしたが、それも束の間で、01がブラストエンドを放つやそれまでの展開など丸で関係なかったように頭部を破壊され、戦いは終わった。
事件が落着し、杉下邸を辞そうとするリエコとアキラの前に現れたゴイチはアキラに握手を求めたが、アキラはいつもの無表情で応じない。だが、ゴイチが弱い者いじめや番長の子分を辞め、本当の意味で強い男になることを誓うとアキラも握手に応じた。
少し臭いが、まあ良い終わり方ではあった。そして最終場面、いつものように去り行くイチローを高所から見つめて復讐を誓うハカイダー。三兄弟の復讐の為にはシャドゥと対立することも辞さない旨を呟くハカイダーがかりそめの忠誠を誓うシャドゥの面々とどう絡むかは実に興味深い。
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最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日