キカイダー01全話解説

第13話 怪談 妖怪ロクロ首の挑戦!!

脚本:押川国秋
監督:今村農夫也
シャドウロクロ登場


 冒頭を飾ったのは珍しく百地頑太。前作の服部半平に相当する位置づけキャラだが、ストーリーと殆ど関係のないワンポイント・コメディを占めるのみで、全話解説でその出番に触れるのにも苦労する(苦笑)。そんな彼が今回純粋にカメラマンとしての生業に勤しんでいた。
 要はグラビア撮影で、モデルさんの脚の位置にまで熱心に指導する頑太だが、その………担当俳優さんには大変失礼だが、最初に現れたブッと過ぎる脚を見た瞬間に「駄目だこりゃ。」と云いたくなるモデルさんで……………詳しい言及は無かったが、状況から推察するに、いまだ無名カメラマンの頑太には資金的にも、コネクション的にも有名モデルは雇えなかったんだろうな………(直後の間抜けな掛け合いでもモデルさんは「自信ない。」と云っていた)。
 ともあれ、そこに突如地震が起こり、臆病さでは半平に匹敵する頑太はモデルさんに抱き着く体たらくだった。そして一連の頑太を巡るシーンも、やはり本筋には関係しないのだった(泣笑)。

 地震は勿論シャドゥの起こしたもので、地殻エネルギーを利用したものであることをシャドゥナイトがアジトにて自慢すれば、それに対してハカイダーは地震の程度からしてシャドゥも大したことが無いと揶揄した。
 だがシャドゥナイトに云わせると、東京を占領するのが目的であって、東京を破壊したいわけではないことからも地震の規模はセーブされたものとのことで、そんな二人のやり取りに割って入ったビッグシャドゥが作戦遂行に移る様シャドゥナイトに命じた。
 首領から何を為すべきか分かっているのか?と問われたシャドゥナイトは、2つの目的を口にした。一つは地震を利用して東京を無人の野とし、そこをシャドゥが占領すると云うもので、もう一つは地震による混乱の間隙を縫ってアキラを誘拐すると云うものだった。
 地震の混乱を利用しないと少年一人攫えないのか、シャドゥ………ま、誘拐後の官憲やキカイダー兄弟の追及をかわす為に東京占領とセットにしたという解釈が成り立たんでもないが……。

 ただ、ダークをも上回る組織力の賜物か、シャドゥの地震発生装置はあっさりと富士山を噴火させて関東一円に大混乱をもたらした(その割には、それを報道するTV局関係者は実に能天気だったが)。
 そして放映に備える女子アナの部屋には緑色の長髪を垂らし、左の眉・唇を赤で、同じく右の眉・唇を青で化粧(と云うか、隈取)した、「如何にも」な怪女(小山柳子)が忍び込んで来た。

 ろくろ首の様に首を長く伸ばすや、化粧直ししている女子アナを背後から襲って気絶させ(というか、その怪異な容貌に女子アナの方で勝手に気絶した)た怪女−シャドウロクロは「化身の術」なる技で女子アナの体を消すと、自分が彼女に成りすました。
 そして報道に従事するや、三度の目の大地震が東京を襲うと報じた。その規模は関東大震災の数倍で、ガス爆発・大火災・東京湾大津波を伴い、一人の生存も許されない惨禍となる故、即座に東京から逃げる様にも伝えた。
 成程、既存の施設を壊滅させ、東京からすべての人々を脱出せしめ、然る後にシャドゥによる東京占領を目指すものとするなら、かかる呼び掛けは戦術として悪くない。上手くいけば無人の隙にシャドゥの覇権を確立することも可能となろう。
 だが、街頭テレビで報道を観ていたイチローは、それほどの災害が本当に起きるなら、報道のし方がおかしいと考え(推測になるが、女子アナが無表情、パニック必至の伝え方等が現実と即してあり得ないと考える)、シャドゥの陰謀ではないかと推測した。

 アジト内で様子を見ていたシャドゥナイトは地震とそれに伴う世論操縦を順調と見て、次はアキラを拉致することとしたが、その刹那、アキラがイチローに伴われてホテルえびなに避難したのを察知した。
 イチローは地震の実態を調査する為に、報道の情報源であった地震研究所に赴くこととし、その間アキラをホテルえびなに避難させたのだが、その動きはシャドゥに筒抜けで、シャドゥナイトはこの隙に自らアキラを拉致せんとしたが、ハカイダーがそれに待ったを掛けた。
 待ったを掛けた理由は、アキラの秘密を独り占めにさせない為で、前話では弟分の仇を討つ為にはアキラの件はシャドゥに譲っても良いようなことを仄めかしていたハカイダーだったが、それはあくまで優先順位の問題で、アキラの件を完全放棄した訳ではなかったのが伺えた。
 そんなハカイダーの言動を見て、シャドゥに忠実ならず、野心を捨て切れていないと詰問するシャドゥナイトを見ても、外部者を抱えた悪の組織の在り様が伺えて興味深かった。そしてハカイダーはそれに肯定も否定もせず、アキラを攫うのは自分だと宣した。

 場面は替わって地震研究所。そこにはイチローが来ることを予想していたリエコが待ち受けていた。イチローはリエコにホテルに行ってアキラを保護することを要請し、リエコもそれに応じた。
 ただ、このワンシーン、チョットした矛盾を孕んでいた。イチローが今回の地震をシャドゥ組織の仕業かもしれないと述べたことに対して、リエコが驚きを示していたのだが、それなら何故地震研究所にイチローが来ることを予測出来たのか辻褄が合わなくなる。
 何よりもアキラの安全を第一に考えるリエコなら、シャドゥの動きを警戒し、それを阻止せんとするイチローの行動を追うだろうから、地震研究所に現れると云うことは、リエコが地震をシャドゥの陰謀と見ればこそ、としか考えられない。

 ともあれ、イチローは所内に向かった。
 だが、所内は人っ子一人なく、イチローはそこに潜伏していたシャドウロクロの奇襲を受けた。シャドウロクロは長い首を巻き付けてイチローの首を締め上げ、振り解かれると今度は両手を飛ばして再度イチローの首を締め上げた。
 離脱した手による締め上げはかなり強力で、片手だけの締め上げなのに苦痛に悶絶するイチローはひたすら耐えるだけだった。だがイチローが01にチェンジするとあっさり振り解かれ…………前言撤回だな(苦笑)
 ともあれ、01はシャドウロクロと争うよりも混乱を沈める方が先決としてダブルマシンに騎乗するや戦線離脱したのだった。

 場面は替わってホテルえびな。扉を叩く音にイチローが帰ってきたと思い、満面の笑みで出迎えんとしたアキラだったが、待っていたのはハカイダーシャドゥナイト………結局互いに譲らず、二人で来たのね(苦笑)
 さすがに幹部クラスの2体に襲われてはアキラにはどうにもならず、一時ホテル外に逃れられたのが精一杯で、リエコがホテルに駆け付けたときには海岸にて虜となっていた。

 アキラをアジトに連れて行かなかったのはハカイダーの提案で、愚図愚図して01が駆けつけてしまわない内にアキラの体を調べようとの意図だった。
 だが、ハカイダーが短剣を取り出してアキラの体を切り刻んで調べようとすると、その手柄は自分の物だと云わんばかりにシャドゥナイトが止めに入り、ここでも両者は相譲らず、終には互いに撃剣を展開してしまう体たらくだった…………駄目だこりゃ(苦笑)
 ただ、性格的にはシャドゥナイトの方がやや冷静な様で、しばらく撃ち合った後に、同士討ちよりもアキラの機密を探る方が先だと述べ、ハカイダーもならば二人で切ろう、と同意した。万事この調子なのだろうか(苦笑)。

 いずれにせよ、アキラ絶体絶命のピンチとなった訳だが、それを阻止するようにモーターボートの轟音が海の方から響いてきた。ボートを操縦していたのはリエコで、彼女はホテル到着直後にアキラがいないのに気付いて追って来たのだった(どうやって探索し得たのかは不明(笑))。
 リエコはボートから爆薬を投げてハカイダーシャドゥナイトを威嚇。丸で側にいるアキラの事を意に介していないかの様に海岸沿いを旋回しつつ、爆薬を投げ込んだが、これは陽動作戦。ハカイダーシャドゥナイトがボートを追って駆け付けると船内はもぬけの空で、リエコはこっそり上陸していてアキラ救出に向かっていた(←ちなみに水着姿!(嬉々))。
 かくしてアキラを保護し、ともに遁走せんとしたリエコだったが、さすがにハカイダーシャドゥナイトはそこまで甘くなく、二人は忽ち挟撃された。おまけにシャドゥマン達まで押し寄せ、二人とも拘束されたが、そこにトランペットの音色が鳴り響いた。

 地震研究所を後にしたイチローもまたえびなホテルに戻り、そこでリエコが残した置手紙からアキラが攫われたことを知り、これを追ってきていた。
 姿を現せというハカイダーの呼び掛けの応じ、即座に現れたイチローは忽ちシャドゥマン達を蹴散らしてリエコとアキラを救出。相変わらずこの番組の悪の組織に拘束しているものを人質にして状況を有利にするという発想は希薄である(苦笑)
 イチローはシャドゥナイトを取り押さえるやリエコにアキラを連れて避難するよう促したが、それに応じて逃げようとしたリエコ達の前にはシャドウロクロが立ちはだかった。最前の様に両手を飛ばしてアキラを拘束したシャドウロクロは即座に姿を消し、まんまとアキラは攫われてしまった(目的を達成したためか、シャドゥ一味も全員同時に姿を消した)。

 だが、イチローがリエコに必ずアキラを救出することを誓うや、次の瞬間にはもうダブルマシンがハカイダーのバイクとシャドゥナイトの乗る車を追っていた。姿を消したのにどうやって追えたのだろう……???
 シャドゥナイトはイチローの追跡が続けばアジトの場所がばれることを懸念し、同乗していたシャドウロクロに01迎撃を命じた。シャドウロクロは単身車を降りると背後から両手を飛ばしてダブルマシンのハンドルを握るイチローの手を襲わせた。
 これはなかなかに効果的且つ怖い攻撃で、さしものイチローもダブルマシンを制御するので精一杯となった。そして追い打ちにシャドウロクロは長首を飛ばしてイチローに襲い掛かった。シャドウロクロは高笑いしながらイチローを崖下に転落させると宣言したが、苦悶のイチローが01に変身するとまたもシャドウロクロの攻撃はあっさり振り解かれた。
 シャドウロクロの能力・攻撃は決して悪いものではないのだが、基礎となる筋力・腕力が致命的に不足していた様である。丸でヘイルマンと戦ったティーパックマンだな(苦笑)。

 この後状況はめまぐるしく展開した。
 シャドゥのアジトでは正にアキラが切り刻まれようとした直前に01が乱入。迎撃に出たシャドゥナイトの眼光攻撃や剣撃を物ともせずにこれらを振り解いてアキラの元に乱入した01はハカイダーと対峙。
 アキラは01の姿を見ると歓喜の声を上げて身を起こした(←拘束ぐらいしとけよ、シャドゥナイト!)。01は即座に逃げるよう促し、脱出に掛かったアキラの元に共に拉致された筈のリエコが助けに現れた。
 「どうやって逃げたの?」と疑問に思う間もなく01は彼女が偽物であると告げ、次の瞬間リエコの姿はシャドウロクロに変じ、アキラは三度取り押さえられた。
 シャドウロクロは長首を飛ばして01の体をスプリングマンばりのデビルトムボーイで搾り上げ、首から下の体がアキラを連行した。絵的になかなかの動きだったが、長過ぎる首を逆に01に締め上げられ、顔面を強かに殴られては悶絶した………こいつは耐久力も難あり、だな(苦笑)

 直後、シャドゥナイトは01を爆殺せんとしてアジトの自爆装置を起動。アジトは即座に爆発・四散したが、この手の自爆攻撃が正義のヒーローを討ち取れた例は皆無で(苦笑)、体に首を戻したシャドウロクロが01の最期をほくそ笑む間もなく、01もまたその姿を現した。まあ、首が逃げられたのだから、一緒にいた01が逃げられても不思議はないな(笑)。

 01の生存を悔しがり、「これを受けて見よ!」と叫ぶシャドウロクロが右手を振りかざし、どんな攻撃が展開されるのか?と身を乗り出したのだが、展開されたのは只のシャドゥマンによる集団攻撃(苦笑)。
 勿論01相手に功を奏する筈もなく、手を飛ばしての攻撃も両手とも弾き飛ばされて爆発。だが、手を切り落とした箇所は銃口となっており、マシンガン掃射が01を襲った。うん、この攻撃の方が余程「受けてみよ!」に相応しい(笑)。だが、多彩なシャドウロクロの攻撃も決定打に欠け、01に然したるダメージを与えることもなく、01が長首にブラストエンドを放つやシャドウロクロは絶叫を挙げて絶命。残された体も爆発・四散した。

 戦いが終わり、01はアキラを連れて撤収。そしてそれを崖上から悔しそうに見送るハカイダーシャドゥナイト。いつの間に仲良くなったのやら(笑)。ま、束の間の友情なんだろうけれど(苦笑)。
 ともあれ、改めて01打倒とシャドゥによる世界征服を宣言する両者だったが、その際にシャドゥナイトはアキラの体に潜む秘密を「無敵の力」としていた。この謎に迫るのも間もなくとの伏線だろうか?
 ともあれ、第13話は終結。シャドウロクロの能力やハカイダービッグシャドゥの在り様や作戦展開は面白かったのだが、イチロー達による追跡が余りに簡単に為されたり、シャドウロクロの攻撃が力的に01に全く通じていなかったのが些か残念だった……………で?一緒に拉致られていたリエコはどうなったの?!?



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日