キカイダー01全話解説

第17話 大巨篇!! 恐怖の巨人(ジャイアント)デビル始動

脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦
コムソウドクロ登場


 冒頭の舞台は東京駅前。突如六人組の虚無僧が現れ、訝しがる人々を尺八に擬態した火炎放射器で襲撃するという物騒な展開で始まった。
 そして場面はとある企業の社長宅に移った。そこを襲撃したのはシャドゥナイト。事前に社長夫人や運転手を眠らせて、TVの中から笑い掛けるとその中から這い出て社長・大貫(神田隆)を恫喝して来た‥‥‥‥‥……ギャグマンガ時代の名残を残す『キン肉マン』のウルフマンかよ(苦笑)。

 シャドゥナイトの狙いは、大貫の会社が開発したウラニウムの一〇倍のエネルギーを持つハイセリウムの設計図だった。これは大貫自身言及したように、善用すれば夢のエネルギーだが、悪用すれば水爆以上の悪魔の兵器となる。
 大貫は重役会議の場でその設計図を破り捨てる意志でいたが、シャドゥナイトはそれを我が物にせんとした。そして大貫を脅迫する為の手段が冒頭の東京駅前襲撃だった。
 大貫宅のTV画面に映っていた、襲撃される人々は彼の会社の社員達だった。大貫は大慌てで何の罪もない社員達への襲撃を止めるよう懇願したが、勿論それを聞き入れる為にシャドゥナイトが条件としたのは設計図の譲渡である。

 苦渋に満ちた表情で大貫はそれも拒否した。社員の命も大事だが、ハイセリウムがテロ組織の手に渡れば眼前の悲劇の何十倍何百倍の人命が失われるか分かったものではない。
 勿論、だからといって社員が次々殺されるのは大貫にとって耐え難いことで、シャドゥナイトは大貫の気が変わるまで社員達が殺戮されるのを眺めるが良いと嘲った。

 狙いが大貫の会社の社員とはいえ、場所が場所故に、シャドゥのやっていることは無差別テロと変わりなく、現場にはミサオとヒロシもいた。
 多くの人々が為す術なく、死の恐怖に曝されいてたが、そこに何の脈絡もなく01が乱入して来た(苦笑)

 しばしの格闘後、そのままでは分が悪いと見たか、虚無僧達のリーダーが正体を現した。「シャドゥロボット背番号3」と名乗ったコムソウドクロ‥‥‥……赤い鉄柱が首から計器のようなものをぶら下げたその姿は‥‥………虚無僧のまんまの方がよっぽどカッコ良かったな(苦笑)。
 おまけに「この俺を怒らせたらどうなるか見せてやる!!」と啖呵を切りつつ、あっさり戦線離脱したのだから、コイツも駄目だこりゃ系かな?(苦笑)。

 01の妨害を受けて、社員の命をたてにとっての恫喝が出来なくなったシャドゥナイトは傍にいた大貫を拉致し、シャドゥマン達と共に剣や槍を突き付けて拷問せんとしたが、大貫は「死んでも云わん!」の一点張り。業を煮やしたシャドゥナイトは大貫の体に剣を突き立てんとしたが、そこにいつものギターの音色が鳴り響いた。
 シャドゥナイト達と対峙したジローはキカイダーにチェンジし、大立ち回りの末にこれを追い払った。

 危機を脱した大貫対してジローはシャドゥがまた狙ってくるであろうとして、護衛を申し出たが、大貫はそれを不要とした。大貫は設計図をアタッシュケースに入れてあり、それは午後三時に爆発するよう時限爆弾をセットしていた。
 大貫は次に襲われた際にはわざとこれを渡すとした。アタッシュケースは無理にこじ開けようとしても爆発する仕掛けになっており、元より設計図を消す気でいる大貫にしてみれば爆発は予定の内で、シャドゥを巻き込めれば尚良し、という計算だったのだろう。
 ともあれ、大貫は自分の身は心配ないので、社員達を守って欲しいとジローに要請した‥‥‥‥‥……『ウルトラマンレオ』での高倉長官並みに良い人だ‥‥‥……本当、普段は悪役が多いのだが、善人も悪人も見事に演じこなす神田氏の演技力には改めて畏れ入る。

 ともあれ、自社に向かった大貫だったが、案の定シャドゥマン達が再度襲ってきた。形ばかりの抵抗をしてアタッシュケースを奪われた大貫だったが、これは前述した様に想定の範囲内だった。
 アタッシュケースを奪ったシャドゥマン達はこれをコムソウドクロの元に届けたが、コムソウドクロはアタッシュケース内から時限爆弾の音がするの察知し、それを捨てさせた(←ついでに怒りに任せてアタッシュケースを持ってきたシャドゥマン達を射殺する辺り、何ともな奴だ)。
 ともあれ、コムソウドクロは、時限爆弾入りアタッシュケースを拾った奴が爆死することが良い見せしめになる、と云って意味不明なほくそ笑みをしていたのだが、このアタッシュケースはスリや置き引きで生計を立てているミサオ(←ちなみにこのシーンの前にも行き倒れの振りをして大貫の財布をすっている)が拾い、彼女を見つけて追いかけて来たイチローをまくために捨てたことで、直後に通りすがったリエコとアキラが拾うこととなった。

 様々な手掛かりを求めてミサオを捕まえんとするイチローだったが、間一髪バスに乗って逃げられ、尚も追わんとしたが、そこにハカイダーが(衆人環視の中にも関わらず)襲い掛かって来た。
 テーマソングがBGMに流れる中、因縁の対決かと思いきや、ハカイダーはあっさりバスに乗ってその場を離脱。何しに出て来たのやら、と云いたくなるハカイダーハカイダーなら、ミサオを忘れたかのようにハカイダーを追うイチローもイチローだった(苦笑)。
 そしてそれが仇となり、バスに乗った筈のミサオとヒロシはシャドゥマン達に襲われたのだった。

 ともあれ、とある工場付近にハカイダーを追い込み、「もう逃げられんぞ。」と宣うイチローに、誘き出したのは自分だとして、改めて三兄弟の仇討ちを宣言するハカイダー
 これに対してイチローもハカイダーを生かしておくことが世の為にならないとして、変身シーンを経ずして01となり、因縁の対決が展開された。
 だが、戦闘は盛り上がりに欠けるもので、初めこそ銃撃やアクロバティックなアクションを展開し、ゼロワンドライバーに耐えたハカイダーだったが、これと云った優勢を見せることなく、ゼロワンカットを受けて撤収した。
 そして、この体たらくはBパートに入るやシャドゥナイトに即座に揶揄された。シャドゥナイトハカイダーが01やキカイダーと戦うことを禁じられていることを述べ、尚も戦意を隠さないハカイダーに、「貴様では01に勝てん。」と断じた。
 この断言を受け、キレたハカイダーは、敗戦直後のグロッキー状態にもかかわらずシャドゥナイトに殴り掛かった。この辺りの人間臭さ・執念深さが彼を特撮界屈指の有名悪役にしているのだろう。だが、忽ちシャドゥナイトの長剣に取り押さえられ、「ゼロワンカットを食らっただけでその様だ。ブラストエンドではどうなる?」と痛いところを突かれてぐうの音も出ないのが泣けるところではあった(泣笑)。

 ともあれ、両者の諍いはビッグシャドゥに止められた。
 止めたというより、新たな指令で割って入ったことで止まっただけなのだったが、ビッグシャドゥは最前シャドゥマン達がヒロシを拉致して来たことで、背中の設計図からジャイアントデビルのボディは製作可能だが、肝心の心臓部の設計図を得る為にはアキラの身柄が必要だとして、ハカイダーに殺してでもヒロシを連れて来いと命じ、ハカイダーもこれに応じた。

 アキラの設計図を写し取ったシャドゥはジャイアントデビルの製造を開始し、まんの悪いことにミサオの(大貫から掏った)財布が調べられたことで、ハイセリウムの方程式までもがシャドゥナイトの手に落ちてしまった。
 シャドゥナイトは必要な情報を得た上はもう二人に要は無いと云わんばかりにヒロシとミサオを処刑せんとした。
 一方、その頃、アキラとリエコにも危機が迫っていた。アタッシュケースを交番に届けに来た二人はパトカーに乗せられて移動していたのだが、乗車時間が長いことを訝しがったリエコは強引にパトカーから離脱。これを逃がすまいとアクロバティックな動きを駆使して2人を追う警察官の正体はハカイダーだった。

 ビッグシャドゥから受けた命令そのままに、逃げるなら銃殺することも辞さないと云いつつ銃を構えてにじり寄るハカイダーだったが、これにはジローが立ちはだかった。
 当然の様に、ジローとハカイダーの取っ組み合いとなり、その間隙を縫ってリエコはアキラを伴って逃走したのだが、その時ジローはリエコが持っているのが大貫の時限爆弾入りアタッシュケースであることに気付き、リエコにそれを捨てるよう命じた。
 だが、その声が聞こえていたのか、聞こえていなかったのか、リエコは逃げるのに必死で、アキラとアタッシュケースの両方をパトカーに乗せて逃げ、パトカーをハカイダーがバイクで追い、更にそれをジローがサイドマシンで追うという奇妙なカーチェイスが展開された。

 途中、パトカーを乗り捨て、徒歩で逃げていたリエコは転倒。その際、ミニスカの中身が見え………おおっ!純白(嬉々)‥‥‥‥‥‥……(以下、自主規制←道場主「何を今更………。」)。
 コホン……とにかく、追い付かれそうになったところで自棄糞気味にアタッシュケースをリエコはハカイダーに投げつけたのだが、何とこれが爆発を伴ってクリーンヒット。腹部内の機械部分を露出して苦悶するところにジローも駆け付け、ジローはハカイダーを自分に任せて逃げる様にリエコに促した。
 こうなるとアキラを攫うどころではなく、立っているのもやってのハカイダーだが、やはりキカイダー兄弟を眼前にすると任務よりも仇討ちを優先しようとするのだった。だが、そこにビッグシャドゥの横槍が入り、任務を優先するよう命じられた。

 場面は替わって、処刑場。今まさにヒロシとミサオが処刑されんとしていたところにいつものトランペットが鳴り響き、イチローが現れた。だがこれはシャドゥナイトの罠らしく、コムソウドクロ率いる虚無僧達が現れ、火炎放射攻撃を仕掛けて来た。
 ヒロシとミサオを背後に庇う形のイチローはこれを避けるに避けれず、危機に陥ったが、そこにキカイダーが乱入したことでイチローは虎口を逃れた‥‥‥………って、ハカイダーとの絡みはどうなったんだ?
 ともあれ、この直後ミサオは大貫から掏った設計図を取り戻さんとして最前まで自分達が拘束されていたシャドゥアジトに駆け込んだ。人の物を掏って生計を立てているのは褒められた話じゃないが、スリながらミサオなりの仁義が有るのだろう。
 勿論、ミサオはシャドゥマン達がうようよいる中に飛び込む訳だから、無事変身を遂げた01はキカイダーにミサオを守るよう託して自身はコムソウドクロとの決戦に挑んだ。
 ただ、事前に推測していたように、やはりコムソウドクロは駄目だこりゃキャラだった(苦笑)。ゼロワンカット一発で腕を折られて火炎攻撃能力を失い、最後の手段とばかりに頭部のリング状爆弾を駆使するも、まともに当たる様子もなく、直後にブラストエンドを食らって戦死したのだった。

 かくしてハイセリウムの設計図は奪還され、01が戦っている間にミサオによって大貫の元に返還された。ミサオは大貫の謝礼も辞退して逃げるように去った後だったが、(ミサオが盗んだことを知らなかったようで)大貫はイチロー・ジローの眼前で設計図を焼却し、ハイセリウムを人類には行き過ぎた技術として葬り去った。
 だが、イチロー・ジローの表情は晴れなかった。ハイセリウムの件は解決したが、ジャイアントデビルのボディ設計図はシャドゥの手に渡ったままで、そのシャドゥではジャイアントデビルのボディが既に完成していた。
そのボディは完全に巨人サイズで、ビッグシャドゥは、残る心臓部が出来ればジャイアントデビルは小指でキカイダー兄弟を潰せるとしてアキラ拉致を改めて厳命するのだった。

 そして恐怖の巨人・ジャイアントデビルを完成させるのを何としても阻止することをかつてない危機感と共にイチローとジローは誓い合って、アキラとミサオの行方を追うのだった。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日