キカイダー01全話解説

第18話 史上空前絶後!! 人造人間大爆発

脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦
ジャイアントデビル登場


 冒頭はシャドゥアジトから始まった。
 いまだ心臓部の設計図を入手していないにもかかわらず、ビッグシャドゥはもうジャイアントデビルが完成したかの様子でいた。
 と云うのも、前話の終盤でジャイアントデビルは会話も出来、能力テストにて頭部のみだけで工場地帯に大火災を起こす程の破壊力を発揮していたのだから、気が早いものを感じつつも、根拠がないとまでは云えない。

 その破壊力は、自らの手で兄弟の仇を討ちたがっているハカイダーも絶賛し、「01・キカイダーが束になっても敵ではない。」とし、帰還した頭部をシャドゥナイト、シャドゥマン、素顔の科学者達と共に諸手を挙げて迎えた。シャドゥでは珍しい光景だ(笑)。
 ともあれ、既に意志を持つジャイアントデビルは心臓を欲し、当然の様にビッグシャドゥシャドゥナイトハカイダーにアキラの背中に記された図面を入手するよう命じた。

 その頃、そのアキラは自らの背中にある設計図を消さんとして、上半身裸になるや洗車機に飛び込まんとした。勿論これはリエコに止められ、危険を諭されたのだが、アキラは背中の設計図の為に昨夜の様な大破壊が起きたことを疎ましく思い、それぐらいなら命を落とす羽目になったとしても設計図を消してしまいたいとの意を明らかにし、年端も行かぬ少年の痛ましい決意にリエコも胸を打たれるのだった。
 涙を浮かべながら優しく抱きしめるリエコの両腕を振り切って再度洗車機に飛び込まんとしたアキラだったが、今度はジローに止められ、ジローはジャイアントデビルを必ず破壊することをアキラに誓うのだった。

 場面は替わってシャドゥアジト。
 そこにはアキラの偽物ロボットが2体用意されており、その完成度は丸で五島義秀氏自身が演じているようだった(笑)。シャドゥナイト的には外見は完璧でも、機械独特の異音がする出来で完全に満足いくものでは無かったが、これらを用いたキカイダー兄弟抹殺作戦を敢行した。

 それは偽アキラをダミーとし、キカイダー兄弟を罠にかけるもので、1体は入水自殺に見せかけて海に飛び込ませてこれを追って来たジローと共に海中で爆発した。何せこの偽アキラロボット、キカイダー兄弟が触れた途端に爆発するという特性を持ち‥‥‥‥‥‥……そんなピンポイントな特性を持たせられるなら、何もアキラそっくりなロボットじゃなくても二人を罠に掛けられるアイテムなんていくらでも出来そうな気がするな(苦笑)
 ともあれ、爆音を聞いたリエコが駆け付けると、海面にはギターだけが浮かんでいた………。

一方、もう1体はハカイダーに拉致されたと見せかけてイチローに追わせ、罠に嵌めるのに使用された。
 偽アキラを小脇に抱えてバイクを走らせるハカイダーの前にトランペットを吹き鳴らしながら崖上に現れたイチローは、自分と勝負すればアキラを見逃すと云うハカイダーに対して、「貴様に恩など売られたなくない!」と一喝するや01にチェンジして打って掛かった。
 そんな01に対して、前言とは真逆に逃げの一手のハカイダー。当然これは01を嵌める為の行為で、アジトでモニタリングしていたシャドゥナイトハカイダーがいつもの様に自分の手で01を討ちたがって独断専行に出ないかを懸念しつつも作戦通りに動いていることを良しとしていた。そしてその横には縛られた本物のアキラがいて、敵に取り押さえられた特撮子役定番台詞(=「放せ!」)を連呼していた。

 ともあれ、01はハカイダーに追い付き、見せかけ程度の格闘を展開したところでハカイダーは偽アキラを捨てて遁走。勿論、01は偽アキラの元に駆け付けたのだが、手触りから何かおかしいと感じた次の瞬間、偽アキラは爆発し、そこにはトランペットだけが残されたのだった(ストーリーに直接関与しないが、ミサオとヒロシは2つの爆発直後に駆け付け、ヒロシは多少なりとも驚いていたが、ミサオは爆発が起きたと認識しながら平然としていた)。

 そしてBパートに入ると、シャドゥアジトではアキラの背中から設計図を写し取ることに成功し、その場にいた一同が歓声を上げると云う悪の組織では珍しいワンシーンが再度展開された。
 上機嫌のシャドゥナイトハカイダーと共に01とキカイダーも討ち取ったことをビッグシャドゥに報告。そのことに懐疑的なビッグシャドゥに対してシャドゥナイトは万一キカイダー兄弟が生きていてアジトに乗り込んで来たとしても3種類の罠が仕掛けてあり、決して踏み込んでこれないと豪語した。

 その絡繰りをシャドゥナイトは01に扮させたシャドゥマン実演で披露したのだが、Aルートでは床の仕掛けが人造人間が踏めば作動して爆発し、Bルートでは金属探知機が人造人間を十数本の槍で串刺しにする仕掛けで、Cルートのセンサーは僅かな空気振動でもキャッチすると幾つものプラスチック爆弾を放ち、これが人造人間に吸着して5歩で爆発する仕掛けになっていた。
 この性能披露の為だけに破壊される01役シャドゥマン、いと哀れなり………だが、もっと哀れなことにこれらのトラップはことごとくその性能を発揮し得なかった(詳細後述)。

 ジャイアントデビルの心臓部も急ピッチで製造中であることを報告されたビッグシャドゥはもうアキラに用はないとばかりにその殺害を命じ、ハカイダーシャドゥナイトがアキラを手に掛けようとしたが、そこに警報が鳴り響いた。
 監視モニターはAルートを歩くイチローの姿を捉えていたのだが、Aルートは全く作動せず、Bルートの槍も発車されず、Cルートのセンサーはプラスチック爆弾を発するも、人造人間である筈のイチローの体はこれらをことごとく弾き、爆発は起こらなかった。
 三段構えの罠をあっさりスルーしたイチローはアキラを助け起こして連れ去らんとしたが、この時点でハカイダーは、「3ルートの罠が作動しない」 → 「対象者が金属のボディを持たない」 → 「やって来たイチローは人造人間じゃなく生身の人間が化けたものとの」との推理を働かせていた。
 果たせるかな、やって来たイチローの正体はリエコで、忽ち二人して囚われの身となった。

 改めて十字架に掛けられ、処刑されんとした二人だったが、シャドゥナイトから執行を命じられたシャドゥマン達は手にした剣をじわじわ近づけると云う悪の組織にありがちな必敗パターン的無駄な動き(苦笑)で機を逸した。

 あわやと云うところでいつもの如くトランペットが鳴り響いたのだが、奏者は何とジロー。驚くハカイダーに、ジローは海中での沈み振りから寸前でアキラが偽物であることを見破っ(て難を逃れ)たと告げたのだが、一方で自分の持つトランペットの本来の持ち主である兄・イチローの姿が見出せないことへの苛立ちと怒りを露わにしていた。
 そんなジローを討たんと構えるハカイダーシャドゥナイトだったが、すると今度は本来ジローが弾いている筈のギターの音色が鳴り響いた。
 勿論展開でバレバレな奏者はイチロー(笑)。ちなみに楽器は替わっても、後ろ向きなのは替わらなかった(笑)。

 偽アキラの爆発よりも飛んで逃げ得たことを告げたイチローはジローと互いの楽器を投げ寄越し合って交換すると、兄弟は即座にチェンジした。
 しばしの立ち回り後、01は自分がジャイアントデビルを討つとして、キカイダーに解放したばかりのリエコ・アキラの避難誘導を託した。

 シャドゥアジトに飛び込んだ01は群がるシャドゥマン達を蹴散らし、ジャイアントデビルの元に駆け寄った。程なく、ジャイアントデビルへの攻撃を阻止するかのようにシャドゥナイトも乱入し、後からハカイダーも駆け付けたが、リエコ・アキラの避難を終えたと思われるキカイダーも駆け付けた。
 一時、ハカイダーは01を背後から羽交い絞めにし、シャドゥナイトは刺殺の好機を得たが、何故か先程リエコ達を処刑せんとしたシャドゥマン達宜しく、喜び交じりに剣を振り回している間にキカイダーの乱入を許して好機を逸したのだった(嘆息)。
 結局、シャドゥマンが全滅するや、残ったハカイダーシャドゥナイトも煙幕を焚いて遁走したのだった。

 01はキカイダーに最前託したリエコとアキラの安否を尋ね、キカイダーは心配ないと答えたが、そこにキカイダーの台詞を揶揄するように、「お前達のことはどうかな?」と嫌味ったらしい台詞と共にジャイアントデビルが始動し、巨岩から爆発性の光弾を放ってきた。  逃げ惑う01とキカイダーに頭部に搭載した2本のミサイルと放つジャイアントデビルだったが、躱された挙句、別段目を見張る破壊力を出すでもなかった。
 どうも鳴り物入りで登場した割には強敵感の無いジャイアントデビルだが、それでも勝負を長引かせるのは危ないと見たか、01は即座にキカイダーと共に奥の手を使うことを決意した。その奥の手とは、ダブルブラザーパワーと云う名で、所謂合体光線である。

 ウルトラマンシリーズで云えば、レオ・アストラ兄弟のウルトラダブルフラッシャーに相当する技と見受けられるが、アクション・発動は単純で、01とキカイダーが力を合わせる様に腕を組んで01が左手を、キカイダーが右手を前方に突き出すとそれぞれの手から光弾が発射され、忽ちジャイアントデビルを瞬殺した。
 イチローとジローは炎上するジャイアントデビルの元から脱兎の如く必死に屋外に走り出、程なくシャドゥアジトは大爆発。何とも呆気ないジャイアントデビルの最後だったが、ジローの言によるとダブルブラザーパワーの源であるキカイダーダブルパワーはタイミングを少し間違えるだけでも二人をも爆発させかねない諸刃の剣とのことで、イチローも二度と使いたくない技で、かかる技が必要とされないことを願うのだった(実際、ダブルブラザーパワーの出番はこの第18話一度きりで、二度と発動することは無かった)。


 そしてラスト。ビッグシャドゥの口から、ジャイアントデビルが完成目前で破壊されたこととアキラ・ヒロシの背中から得た設計図も(いつの間にか)焼失したことを悔しがり(←コピーぐらい取っとけよな(苦笑))、それでもジャイアントデビルを再製造せんとの野望の元、アキラ・ヒロシを捕らえよとの意が発せられていた。
 かくしてジャイアントデビルによる脅威は一応去ったが、アキラ・ヒロシは引き続き狙われる訳で、同時にハカイダーはそれよりも01抹殺に燃えている意を示して第18話は終結した。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日