キカイダー01全話解説

第21話 吸血の館 美人女子寮の恐怖!!

脚本:長坂秀佳
監督:今村農夫也
吸血コウモリ16号、17号、18号登場


 冒頭、人気のない夜の街を怪しげなマジシャン風の男がシャドゥマンを率いて若い女性を襲った。連中は恐怖する女性を力づくで抑え込み、強引に血液を採取するとそれを妙な機械で分析した。
 分析の結果、不合格と断ずるとマジシャン風の男は即座に女性の殺害をシャドゥマン達に命じた。

 悪の組織が若い女性を襲撃するのも、生き血を強奪するのも珍しい話ではないが、その際に連中は何故か被害者女性を上半身半裸にひん剥いていた(嬉々)。
 さすがに子供番組ゆえか、乳首が露出することはないとは云え、もうこの第21話の時点で断言するが、『キカイダー01』はエロエッセンスが多い方と云える作品である。まあ、シルバータイタンも男だからエロ描写は嫌いではないどころか大好きだが、こうでもしないと裏番組である『8時だよ!全員集合』に視聴率で抗し得なかったのだろうか?

 ともあれ、サブタイトルが出た直後、連中はセーラー服姿の女子高生を襲い、彼女の血液をようやく「合格」と判定した。「合格」と判断された少女がどうなるかと思った次の瞬間そこにいつものトランペットが鳴り響いた。
 高所から現れたイチローは、マジシャン風の男がシャドゥナイトであることを告げると大立ち回りが展開された訳だが、しばしの白兵戦後、シャドゥナイトは本来の姿を現し、イチローに突っかからんとしたが、そこへハカイダーが現れ、「今度だけは助けてやる」、「今回の計画は俺の仕事」、「身の程を弁え」と云った台詞を連発してシャドゥナイトを撤収させた。
 前話までとは完全に立場が入れ替わっていた訳だが、ビッグシャドゥから優遇措置が告げられたいたハカイダーに対し、果たしてシャドゥナイトの待遇や立場はどうなるのか?
ともあれ、危ないところをイチローに救われた女子高生だったが、見た目大きな外傷もなく、本人も如何な被害を受けたのかも分からぬ風で、シャドゥの狙いが見えないことにイチローも訝しがるしかなかった。

 そして翌日、被害に遭いかけた少女は居住地である純心女子学園寮なる学生寮に帰宅した。だがそこで眩暈と吐き気に襲われ、通りかかったリエコとアキラが介抱しつつ救急車を呼ばんとしたが、寮長と思しき女教諭がこれを断った。
 女子寮には専属の女医もいるので、自分達で対処するとのことだったが、自らの学園を「一流高校」と称し、助けを断る態度は高飛車で排他的なものだった。
 少女の容態からも「部外者」を追い出さんとする態度に抗議したい気なリエコだったが、寮内から数人の女学生が駆けつけ、少女―ユカを搬送し、専属の女医に診せると云われては、リエコもそれ以上食い下がる訳にも行かなかった。

 一応、教諭は宣言通りにユカを保健室に運び、専属女医である秋山先生に診せたのだが、体調を崩したユカが変な目で見られて学校の品位に関わることを恐れており、その意を汲んだ秋山も秘密で治療するとした。
 非行の果ての怪我や、不純異性交遊による体調変化ならともかく、単に体調を崩して倒れたことで学校の品位が落ちるとは思えんのだが、この教諭は自校の生徒を信用していないのだろうか?
 ともあれ、秋山は秘密の治療の為、ユカ以外の者達を引き取らせたのだが、この秘密主義は裏目に出た。女子寮には、「合格者」であるユカのデータを狙うシャドゥの手が回っていた。

 幸い、ユカがシャドゥに襲われた人物であることを知っていたリエコとアキラは事態を座視していなかった。一応はイチローに寮外で見張るよう云われていたようだが、二人は寮内にこっそり侵入し、保健室で縛られ、猿轡を噛まされていた秋山先生を発見した。
 介抱された秋山先生は、リエコ達に促されて寮外に逃げつつも、ユカが怪しい者達によって手術室に連れていかれたと証言した…………ん?手術室?この学生寮には手術室が有るのか!?!専属の医師が常駐しているだけでも凄いのに、何て寮なんだ(笑)。

 ともあれ、程なく二人は手術室らしき所に横たわらせられたユカを発見した。ユカの体からは血液が抜き取られ、その血は妙な機械に掛けられた後、並べられているベッドに流れ込むのだったが、やがて赤子の泣き声を発したこと思うとベッドから黒いフードを纏った人形が本物の赤ん坊の様に直立し、シャドゥマン達は一斉に成功だと歓声を上げた。
 シャドゥ基地でもその様子をモニタリングしていたビッグシャドゥが同じく実験の成功を喜んでいた。悪の首領が喜びながら自らの計画をべらべら喋る黄金パターン(笑)が語るところによると、優秀な血液型を持った女性の体からロボットを製造すると云うもので、一種のクローン技術を確立したと云う事だろうか?

 そしてそのロボットは黒フードのまま室外に出ると、リエコ達に気付くや空中に飛び上がって人間の大人大のサイズとなるや背番号16シャドゥロボット吸血コウモリの姿を現した。
 しかし、ビッグシャドゥやシャドゥマン達が諸手を挙げてその誕生を喜んだのが、等身大コウモリ型ロボット……………これが本当に満を持して生まれた存在なのだろうか?
 ともあれ小物感満載でリエコ達ににじり寄る吸血コウモリ16号だったが、すかさずイチローが乱入して来た。宿敵であるイチロー=キカイダー01に対峙しても人間の生き血をエネルギー源として育った自分は通常のロボットとは訳が違うとの啖呵を切る吸血コウモリ16号だったが、何が凄いのかいまいち伝わってこなかった(苦笑)。
 実際、コイツはチェンジ前のイチローとの格闘でも然程優位に立つ訳でもなく、イチローが01にチェンジすると投げ飛ばされただけで悲鳴を上げ、直後に食らったブラストエンドで秒殺された。

 呆気なく倒れた吸血コウモリ16号を前に、第二、第三の吸血コウモリが現れるであろうと推察する01だったが、そんなことを思う間を与えまいとばかりにハカイダーが襲撃して来た。どちらが優位ともつかぬ格闘後、ハカイダーはバイクで戦線離脱し、01はダブルマシンでこれを追ったが、まかれてしまった。
 そしてその頃、リエコ達は気まずい状態にあった。女教諭が吸血コウモリ16号の発した鳴き声から、寮内に赤ん坊がいると疑い、秋山先生に変装することで誤魔化したリエコだったが、肝心のユカが自分の身の上に起きたこと信じず、子供とは云え男であるアキラを伴っている状況を露骨に怪しみ、女教諭が秋山先生を伴って入室して来たので、偽物であることがばれてしまった。

 こんな状況にあっても、学校の名誉を気にする女教諭が滑稽過ぎたが、偽の秋山先生を詰問する秋山先生は自分に良い考えがある、としてリエコ達を罰すると宣言した。
 だが、続く台詞で、一流女子高生である寮生達の血を喜ぶ表情を見せたことからリエコは眼前の秋山先生がハカイダーであることを看破した。
 指摘を受けた秋山先生はあっさりハカイダーの正体を現し、女子高生達を生きたロボット製造機として利用すると宣言し、それに呼応するように他の女性の血から生まれた吸血コウモリ背番号17号が現れた。

 勿論、女教諭・女学生達は悲鳴を上げて逃げんとしたのだが、吸血コウモリ17号とシャドゥマン達によってリエコ共々忽ち取り押さえられたのだったが、そこにいつものトランペットの音が鳴り響いた。
 01登場に戦意を燃やすハカイダーは自分が01を迎撃すると宣言し、吸血コウモリ17号に女学生達の拉致・連行を命じた。屋外に飛び出したハカイダーは高所でトランペットを吹くイチローに自分が相手になると宣して、かかって来いと挑発したが、イチローはこれをガン無視してトランペットを吹き続けた。

 ハカイダーの呼び掛けにもどこ吹く風に見えたが、実はこれ、イチローの陽動作戦。マネキンとテープレコーダーと云うベタな偽装工作でハカイダーはまんまと誘き出され、その隙にイチローはリエコ達の下に駆け付けていた。
 吸血コウモリ17号は先達である吸血コウモリ16号よりは優秀な様で、両腕を切り離して飛ばし、01の首を締め上げるなどの善戦を見せたが、決定打と耐久力に欠け、途中で合流したハカイダーの加勢を受けて尚、然程優位に立てずブラストエンドの前に散った。

 勢い、ハカイダーとの一騎打ちとなり、ゼロワンカットハカイダーの左腕を切り落とした01。これにより戦意喪失したハカイダーは左腕を拾ってバイクで戦線離脱し、これを追う01だったが、そこに女教諭の血から生まれた吸血コウモリ18号が襲ってきた。
 正直、吸血コウモリ16号吸血コウモリ17号を見るに、吸血コウモリ18号も戦闘能力的には期待出来なかったのだが、吸血コウモリ18号はユカを人質に01に抵抗しないように要求すると云う、キカイダーシリーズで悪役が滅多に利用しない(笑)人質脅迫を展開した

 だが、首を飛ばして噛み付いたり、炎を吐いたり、と先達とは異なる攻撃を展開する吸血コウモリ18号も大したことはなく、いつの間にか01は吸血コウモリ18号の追撃をかわしてユカを取り押さえていたシャドゥマン2体をあっさり蹴散らし、吸血コウモリ18号ブラストエンド一発でくたばった。
 シャドゥはロボット量産よりも、耐久力を強化すべきだったな(苦笑)。そしてその耐久力の問題を意識したかのように、いつもの様に01を見下ろして復讐を誓うハカイダーの左腕は取れたままの状態だった。

 そしてラストシーン。危ないところを救われたユカは自分が世間知らずで、リエコ達を疑ったことを詫びていたのだが、これって「世間知らず」という問題なんかなあ?
 どうもこの第21話、一流女子高や深窓の令嬢が誤解されかねん気がする。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日