キカイダー01全話解説

第23話 悪魔のヒトデ女 人類絶滅寸前!!

脚本:押川国秋
監督:畠山豊彦
シャドウ鬼ヒトデ1号、シャドウ鬼ヒトデ2号、秘密工作員登場


 冒頭はとある山中で始まった。決して緑豊かとはいえない山だったが、イチローは自然を満喫する為と称し、野鳥や猿の姿が見えないのを残念がっていた。一方、同行していたアキラはイチローが日頃何かと傷心の多い自分を慰める為に連れ出してくれたもの、と見て「無理しなくていい。」としたが、イチローは「俺だってたまにはのんびりしたい。」として暗にそれを否定すると、何とか野鳥の声でも拾いたいと考え、聴力をアップさせた。するとイチローの聴覚には「獣の喉笛が鳴るような」とする音が捉えられた。

 音を発していたのは長い髪の、赤い服を着た女で、山中を苦しげにのたうつように歩いていたかと思うと車道に出るや走行中の車の前に倒れ込んだ。慌ててこれを解放せんとした運転手は次の瞬間首を締め上げられ、完全に血の気を抜かれた青白い苦悶の顔色となって息絶えた。
 女の正体はシャドゥロボとのシャドゥ鬼ヒトデで、乾燥剤に近い人間の血が一番のエネルギー源と云って不気味にほくそ笑むのと黒マントの男の姿となったのだった。

 直後、イチローが駆け付け、男が既に絶命しているのを確認すると、姿を隠していたと思われていたシャドゥ鬼ヒトデは即座にその姿を現し、名乗りを上げるや忽ち格闘となった。
 しばし互角に取っ組み合った後、イチローにマウントを奪われたシャドゥ鬼ヒトデは本来の姿を現してイチローをはねのけたが、その容姿は前作に登場したヒトデムラサキそっくり(笑)。
 何とかこれを振り解いて飛び蹴りを炸裂させたイチローだが、蹴りを食らったシャドゥ鬼ヒトデは煙を挙げるや元の黒マント男と数人の女シャドゥマン(←便宜上、以後彼女達をこう呼びます)に姿を変じた。珍妙な集団攻撃にイチローも01にチェンジして対抗。
 ゼロワンドライバーでもって女シャドゥマンを蹴散らす01だったが、女シャドゥマンはやられたと見せた次の瞬間には分裂してその数を増やしていた。そう、シャドゥ鬼ヒトデとは本物のヒトデ宜しく、きってもきっても分裂し―それも瞬時に―その数を増やす厄介極まりない存在だった。

 この様子をアジトでモニタリングしていたハカイダーシャドゥナイトは01劣勢をほくそ笑み、これにとどめを刺すべく自分達も出陣せんとしたが、ビッグシャドゥがこれに待ったをかけた。
 ビッグシャドゥは並々ならぬ能力を持つシャドゥ鬼ヒトデの能力もっともっと見極めたいとし、二人の幹部に手出しを禁じ、彼等には(まだ時間が掛かると見られた)シャドゥ鬼ヒトデ2号の製造従事を命じた。

 場面は替わってとある街中、ミサオとヒロシを見かけたリエコがこれに近づくと、待っていたのは二人に変装したハカイダーシャドゥナイト。リエコを取り押さえ、間もなくミサオやヒロシも自分達の掌中に落ちるとして彼女を拉致せんとする二人だったが、そこにいつものトランペットの音色が鳴り響いた。
 勿論奏者はイチロー。シャドゥ鬼ヒトデ一同と交戦中なのにどうやって?と思っていたら、しばしハカイダーシャドゥナイトと交戦している内にシャドゥ鬼ヒトデ達もその場にいた。どうやら倒しても倒しても数を増やすだけの相手に抗し得ず、戦線離脱をして来た様で、さしもの01もリエコを連れてダブルマシンでその場を脱するのが精一杯だった。

 とあるガスタンク付近でシャドゥ鬼ヒトデの恐るべき能力に打つ手なしかとぼやくイチローとリエコ。おまけにガスタンクはこの度の計画に用いる血液を蓄えたシャドゥの施設だったため、困り果てた様子はハカイダーシャドゥナイトにも筒抜けだった。
 だが、長所は短所とはよく云ったもので、シャドゥ鬼ヒトデが分身を増やせば増やす程、エネルギー源となる大量の血液を必要とした。おまけに血液が切れた状態での分身達はよろめき歩きしか出来ない半病人状態(ハカイダー曰く、「ただの女よりも力が無い。」)で、その状態で破壊されれば復活も分裂・増殖も出来なかった。
 このことはミサオとヒロシを襲おうとした分身の対応から、イチローにモロバレとなり、モニタリングしていたハカイダーは血を欠いた状態での無能振りに地団駄踏み、人々から血を奪うことを命じたが、まともに人を襲えない、襲っても簡単に逃げられる状態だった。

 かろうじて一体がアベックを襲い、吸血するのに成功し、力を取り戻すとそれを目撃していたヒロシとミサオに気付いた。行きがけ駄賃とばかりに2人を襲わんとしたシャドゥ鬼ヒトデだったが、そこへイチローが駆け付けた。
 さすがに敵を知れば百戦危うからずで、イチローは01にチェンジするとシャドゥ鬼ヒトデを牽制するように戦い、ゼロワンドライバーを食らわしたところでエネルギーが切れたと見るやゼロワンカットシャドゥ鬼ヒトデを討ち取った。

 一連の流れに、優れた能力を持ちつつも長時間活動出来ないという欠点を抱えたシャドゥ鬼ヒトデ1号ビッグシャドゥは「完成を急ぎ過ぎた」存在とするも、シャドゥ鬼ヒトデ2号をもって作戦を続行するとした。
 ビッグシャドゥの、シャドゥ鬼ヒトデの分裂・増殖能力に対する惚れ込みは相当なものの様で、計画が上手くいけばあのジャイアントデビルをも凌駕する人類に対する武器となるとし、ハカイダーシャドゥナイトに分身達を人間の多くいる場所に連れて行って更なる増殖を図るよう命じ、改良改造を施したシャドゥ鬼ヒトデ2号を召喚したのだった。

 その頃、ミサオとヒロシのみを案じたイチローは例によって聴覚でシャドゥ鬼ヒトデの声を捉え、それをもとに荒野にあるプレハブ小屋に駆け寄った。
 プレハブの中には10名近い作業員が死体となって倒れていて、その酷さに怒りを燃やすイチローだったが、このプレハブ小屋自体が罠で、忽ち爆破・炎上された。
 イチローの身を案じたリエコとをアキラが駆け寄ると四方八方からハカイダーシャドゥナイトシャドゥ鬼ヒトデ2号、分身達が包囲するように駆け寄り、二人を拉致せんとしたが、ここでリエコが思いもよらぬ戦闘能力を発揮して分身達を蹴散らし始めた…………見事だった………ショートワンピースで殺陣を展開しながらパンツが全く見えなかったのだから……痛てっ!(←下品な発言を咎めた道場主に殴られたらしい)。

 さすがにシャドゥ鬼ヒトデ2号には抗し得ず、羽交い絞めにされるとハカイダーが彼女の血をそっくり奪うようシャドゥ鬼ヒトデ2号に命じ、リエコ絶体絶命のピンチ化と思われた。  だが、血を奪わんとしてリエコの頸動脈に手を当てたシャドゥ鬼ヒトデ2号は次の瞬間驚愕した。何とリエコには血が流れていないというのである!
 訝しがるシャドゥ一味だったが、そこにトランペットの音色が鳴り響いた。難を逃れていたイチローはあれしきの爆破で自分が吹っ飛んだと思っていたシャドゥ一味を馬鹿呼ばわりすると即座にチェンジしてリエコ達の下に駆け寄った。
 一先ずリエコ達を避難させんとして後部ウイングの噴射口から火炎弾ゼロワンファイヤーを発しつつ戦線を離脱せんとしたが、これはシャドゥナイトの剣先から発する破壊光弾・デッドインパルスに妨害された。
 そこにハカイダーシャドゥナイトが追いすがった来たのだが、01が迎撃する間に運転席にリエコが騎乗。そのままアキラを連れて避難するかと思いきや、リエコはダブルマシンを駆使して分身達を次々に蹴散らした。
 本体のエネルギーが不充分だったためか、分身達もエネルギーを欠いているようで、撥ねられて爆発した分身達が増殖・分裂することはなかった。終いには本体も撥ねられてシャドゥ鬼ヒトデ2号の姿を現し、01は殴り合いでシャドゥ鬼ヒトデ2号が消耗した頃合いを見計らってブラストエンドを放ち、これを討ち取った。

 かくして作中でもかなり厄介な部類に入る難敵を倒した01=イチローはダブルマシンで戻ってきたリエコの健闘を称えた。それに笑顔で応じたリエコだったが、程なく表情を曇らせた。
 何故、シャドゥ鬼ヒトデ2号はリエコの血を吸えなかったのか?本当にリエコには血が通っていないのか?の謎を残すも、イチローはその事を知らない。イチローの労いに僅かに笑顔を取り戻したリエコだが、謎と不安を秘めて第23は終結したのだった。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日