キカイダー01全話解説

第24話 悪魔の業!? 地球ブタの惑星計画

脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦
マッドピッグ104、マッドピッグ105、ピッグマン登場


 冒頭、静かな公園で仲の良い親子がピクニックを楽しんでいた。その親子を怪しい笑みでシルクハット、SMアイマスク、カイゼル髭、タキシードの怪しさを絵に描いた男が見つめていた。
 その怪しい気配を音で察知したのはリエコ。アキラは何も聞こえないとするが、リエコには聞こえると云う。前話に続いてリエコの秘められた正体への布石だな。ともあれ、ピクニックを楽しむ親子は突然豚人間達に襲われ、そこへリエコ・アキラが駆け付け、親子を介抱したのだが、父親(山田禅二)は邪険な態度で何事も無いとしてリエコの介抱を拒絶した。

 その頃、シャドゥアジトでは、ビッグシャドゥが豚に向かって人間への反抗を呼び掛けていた。長年家畜として棲息して来た豚を人間に虐げられた存在とし、その恨みを地球豚の惑星計画にて晴らせ、と云う訳だが、人間と豚の立場逆転でも狙っているのだろうか?

 ともあれ、ピクニック中を襲われた父親―平和電気株式会社の社長―は、産業開発よりも地球環境を重んじて娘(広瀬隆子)に「みどり」と名をつける様な平和と自然を愛する人物だったのが一変し、重役会議で自社が兵器メーカーに転向すると告げ、従業員達にも馬車馬の如く働くよう命ずる鬼社長と化していた。

 父親の変貌振りに涙するみどりを偶然見つけたヒロシだったが、突然ミサオがその場に豚が現れたと云って慌てふためき出した。異常な存在に慣れっこになっているヒロシだが、逆に豚が現れたと云われる方がけったいに感じたようで、ミサオの言を否定したが、ミサオに「あなたも見たでしょ?」と問われた黒服の男が見せた顔は豚そのものだった。
 男は自らをシャドゥの豚の惑星計画によって豚から人型ロボットに進化したピッグマンと称し、気付けば10人前後のピッグマンが短剣を持ってミサオ達を包囲していた。

 だがそこへ鳴り響くいつものトランペット。いつもの啖呵を切ったイチローは高所から飛び降りてピッグマン達と大立ち回りを演じたが、程なくピッグマン達は撤収した。
 世界中の豚が同様の存在となって人間に反旗を翻すことの恐ろしさを懸念するイチローだったが、そこへ突如ハカイダーの銃撃が飛んできた。すわ、第2ラウンドか?と思われたが、ハカイダーは豚の惑星計画が順調であることだけ告げて立ち去った。意味あるのか?その行為?

 ともあれ、アジトに戻ったハカイダーシャドゥナイトとともに作戦が順調であることを認識し合っていた。シャドゥナイトは特にピッグマンの中でも104号、105号は優秀とし、ハカイダーも、他のピッグマン達をそれなりに優秀としていた。両者の会話に否定的な文言が全く出てこないとは珍しい傾向だ(笑)。
 ともあれ、二人はビッグシャドゥに計画の順調を報告し、ビッグシャドゥもそれに御満悦の様子で、計画の続行を命じた。

 この間、ミサオとヒロシを連れて自宅に戻ったみどりは父の影から、父がピッグマンに取って代わられていることに気付き、母・きくえ(笠原玲子)にそれを告げるも、母親は相手にしなかった。
 それもその筈、母もまたピッグマンに取って代わられていた。と云うのも、偽の母親は偽の父親の元に行き、父親=中西の工場を乗っ取ったのにここで気付かれてはまずいとしており、その会話からも二人がピッグマンにすり替わられたか、憑依された存在であることが伺えた。
 だが、偽夫婦がみどりを呼び出そうとすると、既にみどりはミサオ・ヒロシと共に中西邸を脱し、途中遭遇したリエコ・アキラと共に逃走していたのだが、両者は忽ち追いついた。

 本物の両親の振りをして優しくみどりを誘う偽両親だったが、ピッグマンであることを指摘されると両者はマッドピッグ104号マッドピッグ105号の正体を現した。他のピッグマン達とは異なり、黒の体色で、体つきも幾分マッチョに近い両者はピッグマン達に命じて一行を捕らえんとしたが、ここで前話に続きリエコが優れた格闘能力を発揮し、徒手空拳で次々とピッグマン達を蹴散らし、ミサオ・アキラも驚愕する程だった。

 だが、マッドピッグ104号が炎を吐いて加勢するとさしものリエコもピッグマン達に取り押さえられ、マッドピッグ104号は計画の手始めにリエコを殺すとしたが、そこにイチローが乱入した。
 程なくマッドピッグ104号マッドピッグ105号は爆竹を煙幕代わりに姿を消したのだが、気付けばアキラ・ヒロシ・みどりの姿が無かった。ピッグマン達に攫われたかと思いきやさにあらず。ミサオの予想では、本物の両親を探しに行ったのではないか?とのことだった。
 と云うのも、父親の変貌振りに悲しむみどりを見ていられなかったミサオは、きっと本当の両親はシャドゥ基地にいる、と告げており、ミサオをはそれを後悔していたが、一先ずイチローは手分けして子供達を探すとした。

 もう少し詳細に書くと両親を探して一人その場を脱したのはみどりだけだったのだが、その身を案じてヒロシ・アキラ兄弟が彼女を尾行していた。兄弟はみどりを尾行していたピッグマン達に石をぶつけて守らんとし、その騒動から偶然みどりはビッグマン達が神社の石灯篭をアジトへの出入り口としていることと、アジトを開く為の合言葉(「ハイル・シャドゥ!」)を聞き付け、潜入した。
 それを止めんとしたアキラとヒロシだったが、タッチの差で取り残され、中途半端に聞き付けた合言葉を間違えながらも何とか自分達も潜入せんとした。直後に駆け付けたリエコとミサオが自分達に任せるよう諭したが、結局4人揃って潜入した。

 先に潜入したみどりは牢屋に閉じ込められている本当の両親を見つけたが、両親は来るなと叫ぶ。まあ、そんな状態で云われるまま引き返す奴など皆無で(苦笑)、鉄格子に駆け寄ったみどりは忽ちシャドゥマン二人に取り押さえられた。
 だが、そこにリエコ達が駆け付け、イチローも全く別方向から乱入(笑)。イチローはみどりに両親は自分が必ず助けるから、としてリエコ達と共に逃げるよう促した。
 だが、リエコ達は罠に掛かって5人まとめて囚われの身となった。

 囚われのリエコの前に現れたのはハカイダー。牢獄の天井に時限爆弾を出し、リエコ達を抹殺すると宣言。これに対して、アキラやヒロシを殺せばジャイアントデビルを二度と造ることは出来ないと脅すことで子供達の介抱を要求せんとしたミサオだったが、ハカイダーはもはやジャイアントデビルに用はないとした。
 と云うのも、シャドゥは既に悪魔の使者・ザダムを完成させたとのことで、そう告げたハカイダーは恐怖を味わって死ねと云いつつ姿を消した。

 その頃、地上では本物の中西夫妻と偽物の中西夫妻が「自分が本物だ!」と云い張っていた。イチローによって首尾よく牢獄から脱した夫妻だったが、どうやら偽物がどこかで乱入して、どっちがどっちの状態になったらしい。
 だが、程なくイチローは偽物を見破り、飛び蹴りを食らわすとマッドピッグ104号マッドピッグ105号はその正体を現した。

 その頃、牢獄内ではリエコがミサオにヒロシ・アキラ達を託すと、空手チョップで鉄格子を破壊し、今まで誰にも告げていなかった自分の正体を明かした。その正体とは、彼女もまたイチロー同様人造人間とのことで、天井に飛び上がると爆弾の解体に掛かった。
 リエコ曰く、この爆弾は通常のものではなく、爆発だけではなく、アジト全体に毒ガスを充満させる機能もあるとして、ミサオ達に退避を促し、ミサオ達も苦渋の決断でそれに応じた。

 一方、地上ではチェンジした01がピッグマン達を蹴散らし、マッドピッグ104号マッドピッグ105号との1対2のハンディキャップマッチに臨んでいた。マッドピッグ104号がモーニングスター状の鼻で01を絡め取り、マッドピッグ105号が炎を吐いて加勢したが、取り立てて優勢に立つこともなく両者は01のブラストエンドでまとめて倒された。
 最近のシャドゥの計画発想は面白く、シャドゥロボット達も決して無能ではないのだが、肝心の戦闘となると01に丸で及んでいないのが泣けるな(苦笑)。

 そして一人地下に残ったリエコにはシャドゥマン達が妨害に掛かっていた。勿論イチローに及ばずとは云え、人造人間としての能力を発揮するリエコにとて雑兵に過ぎないシャドゥマン達は敵ではなかった。
 その間に、ミサオ達と共に地上に出たみどりは両親と無事の再会を果たせたのだが、イチローが唯一人姿を見せないリエコを案じる間もなく爆発音が地下から響き、牢獄のあった場所に転がる残骸はリエコの姿を留めていなかった。

 さすがに滂沱に暮れるアキラと、それを見守るしかないイチローだったが、その二人を例によって高所から見つめるハカイダーは既にザダムの魔手が迫っており、01の命も後僅かだと呟くのだった。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日