キカイダー01全話解説

第27話 秘境の激戦!! ザダムの地獄の罠

脚本:長坂秀佳
監督:今村農夫也
地獄河童、水爆河童登場

 冒頭は前回のおさらいである。念力遮断装置を巡る01とシャドゥの戦いは01がテングムササビに勝利したものの、装置を開発した内村博士の娘・かつらはシャドゥに囚われの身となっており、ザダムは新たなシャドゥロボット地獄河童シャドゥナイトのコンビで01を地獄の罠に嵌めんとしていた。

 ダブルマシンを駆って、かつらの行方を探して回るイチローだったが、程なく小脇にかつらを抱え、バイクで連れ去るハカイダーを発見して、これを追った。だが、ザダムはかつらを、01を罠に嵌める為の小道具と見ており、恐らく追わせているのもその一環なのだろう。
 ハカイダーを追う01目掛けて、四方八方からシャドゥマン達が飛び掛かって来た。

 勿論シャドゥマン達の攻撃は時間稼ぎにしかならないのだが、逆を云えばそれを役割とするなら、彼等はそれなりに任務を果たしている。数人を蹴散らす内にハカイダーは逃げおおせ、崖上に現れたザダムがイチローと対峙した。
 前話ではザダムの超能力に翻弄された01だったが、今は念力遮断装置が体内に埋め込まれている。それに自信を得たイチローは即座に01にチェンジしてザダムに突っ掛かった。

 確かにザダムが念動力で01はぶっ飛ばすことは不可能となっていた。ただ、それはザダムの念動力が01の体を動かすことが封じられた訳で、念動力そのものがなくなった訳ではなかった。
 ザダムはテレポーテーションで01の攻撃を躱し、念動力で岩石を動かしては01の頭上に降らせ、その超能力をそれなりに活かし続けていた。だが、一瞬のスキを突いて01がゼロワンキック(←ただのドロップキック)を食らわすと、妙な狼狽えを見せつつ、地獄の罠が01が待っているとして姿を消した。
 直後、ミサオ・アキラ・ヒロシが駆け付けてくるとイチローは、かつらを抱えたハカイダーが逃げたのをミサオが見ていたのを確認し、手分けしてかつらを探すとした。

 場面は替わってシャドゥアジト。そこではモニターを前にザダムがくどいぐらい口にしていた「地獄の罠」について解説していた。
 モニターにはウォータージェットが映っており、ザダムシャドゥナイトに瀞峡(とろきょう)の吊り橋に待機し、地獄河童には水中から01を襲うよう指示した。これに対し、シャドゥナイトは筋書き通りに01が来るのか?と疑問を呈したが、ザダムは01を目的の場所に誘き寄せる為にかつらを利用すると宣した。
 要するに、かつらに時限爆弾入りのベルト(←無理に外そうとすると爆発する)を装着し、午後3時にセットされた爆発を避ける為にはウォータージェットに乗って瀞峡の吊り橋の下に行くよう暗示をかけた(吊り橋の下に行けばベルトは外れるとした)。
 程なく、ザダムの罠を仕掛けられたかつらは解放され、気を失っているところをヒロシ・アキラ兄弟に発見された。気を失った状態のままホテルながやまに連れられたかつらは医者の診断済みで、異常なしとされており、一応の安堵を取り戻したイチロー達は食事に掛かった。

 ミサオ達が海の幸を前にご機嫌な中、一人イチローは浮かない顔をしており、アキラ達は最初、人造人間であるイチローが御馳走を食さないからかと思っていたが、イチローが考え込んでいたのはザダムの弱点についてだった。
 どんなロボットにも弱点はある筈、とするイチローだが、手掛かりに乏しい。だが、ミサオが「月で生まれた悪魔のロボット」と口走ったことと、今までの対峙から、イチローは月生まれのザダムが日光に弱く、日光の下では5分と戦えないのではないか?と踏んだ。
 それにしても、太陽電池で動くキカイダー01に対し、日光が苦手なシャドゥ最高幹部ザダム……………シナリオ成立の観点上、設定、ミスってません?制作陣の皆様?? (苦笑)

 ともあれ、自らの推測を確かめんとしたイチローは、ミサオ達にかつらを託すとホテルを飛び出し、次のシーンでは海岸にてザダムと対峙していた。
 イチローは時間を稼ぐようにチェンジせず、無言のまま構えだけ取って対峙しながら様子を窺がった。そしてザダム、特に左側の赤い頭部が苦しそうにしているのを看破し、業を煮やしたザダムが攻撃を仕掛けて来たのに重ねて変身ポーズからゼロワンズサンなる呼称でヘルメット前頭部の変身時に回しているミラーから太陽光を強力に反射させた。
 これには堪らず、ザダムは捨て台詞も残さず撤収し、その様子からイチローは陽光下でのザダムの活動制限時間は僅か3分と確信した。或る意味ウルトラマンと好対照だな(笑)
 ともあれ、当然、このザダムの迂闊さはビッグシャドゥの叱責を買った。ビッグシャドゥザダムに対して最高幹部としての作戦指揮を一任しており、作戦遂行はハカイダーシャドゥナイトに行わせればいいと諭し、迂闊に前線に出ることで弱点が01にバレることを懸念していたのだが、手遅れだったな(笑)

 一方、ザダムの張った罠そのものは計画通りに進んでいた。目を覚ましたかつらには与えられた暗示が彼女を動かし、地獄ベルト=時限爆弾の恐怖に駆られ、ミサオ達が止めるのも聞かず瀞峡に向かわんとした。
 訳を話せというミサオ達に、辛うじて40分以内に瀞峡まで行かないと爆発して死んでしまう、とだけ告げ、結局かつらはミサオ達を振り切ってホテル外に飛び出してしまった。

 瀞峡に向かうかつらをモニタリングしていたザダムは、シャドゥナイト地獄河童に作戦通りに動くよう命じたのだが、シャドゥナイトは自分一人で充分として地獄河童との共闘を拒絶した。
 これに対してザダム地獄河童の能力を見せるとし、促された地獄河童ハカイダーにしがみついた。一言で云えば、子泣き爺で、驚いたハカイダーは必死に振り払わんとするも、叶わなかった。
 そんな能力が何の役に立つ?としらけムードのシャドゥナイトだったが、ザダム地獄河童が01に組み付いたところでシャドゥナイトの眼力殺人光線を照射すれば分かるとした。
 想像シーンによると、地獄河童がイチローに組み付き、シャドゥナイトが眼光を発すれば、地獄河童はミイラ化した様な姿の水爆河童となり、水爆を背負ったも同然のイチロー・01にシャドゥナイトの眼力殺人光線を照射すれば、彼を核爆発で討ち取れるとしたものだった。
 説明に納得するシャドゥナイトと、作戦上の自爆の為だけに生まれた地獄河童を「恐ろしい奴」と認識を改めるハカイダー…………最初から兵器とされた地獄河童は良いとしても、光線照射可能な距離で核爆発を起こしたら、シャドゥナイトの命も無いんじゃないの??

 そうこうする内に、かつらはザダムの読み通り、瀞峡行きのウォータージェットに搭乗し、ミサオ達からそれを聞いたイチローも彼女を追った。
 イチローと地獄河童が追う船内では、3時まであと13分の時点で、瀞峡に間に合うか分からないと見たかつらが船長(轟謙二)に自らの苦境を訴え、3時までに瀞峡吊り橋に間に合いそうにないと云う船長に必死に何とかして欲しいと懇願した。
 いきなりな無茶振りにも、時限爆弾ベルトを外そうとする人の良過ぎる船長だったが、そこへ崖上から船内に飛び降りて来たイチローが下手に外すのは危険だと告げた。
 イチローは自分が時限爆弾を外すとして、船長にはウォータージェットのスピードを上げるよう促し、船長は「ピース。」と答えて運転席に戻った。よく分からんが、ウォータージェットの運転手の世界における独特な言い回しなのだろうか?

 ともあれ、地獄ベルトを外さんとするイチロー。手順を間違えると即座に爆発するらしく、瀞峡下に到着すれば自動的に外れるから、危険なことはしない方が良いと諭すかつらに、イチローはシャドゥ情報が虚偽である可能性を述べて、起爆装置取外しを続けた。
 そうこうする内に、ウォータージェットは瀞峡吊り橋下を通過したが、果せるかな地獄ベルトが外れることはなく、船長に停戦を求めたイチローは吊り橋上のシャドゥナイトを見て、一連の動きが自分を誘い出す為の罠と見た。
 だが、厄介なことに時限爆弾は本物で、まだ停止に至っていなかった。後2分以内に何とかしないといけないのだが、そこへ地獄河童が乗り込んで来た。直後にタイムリミットギリギリで起爆阻止に成功したイチローだったが、そこへ想像シーン同様に地獄河童が組み付いてきた。

 作戦はすべてザダムの読み通りに運んでいた。
 体にしがみついた地獄河童は01にチェンジしても振り解けず、そこにシャドゥナイトの眼力殺人光線が照射され、地獄河童水爆河童となった。即座に自分が背負っているのが水爆と分かる01が素敵過ぎるが(苦笑)、まさに大ピンチだった。
 だが、大ピンチはあっさり覆されたシャドゥナイトは01がジャンプしたところに二度目の殺人眼力光線を放たんとしたのだが、船中から飛び出した01は吊り橋上に降り立つやシャドゥナイトを殴り倒し、更にジャンプするとゼロワンドライバーの回転力で水爆河童をあっさり振り解いた。
 振り解かれて川中に落とされた地獄河童はその場で爆発。水爆が爆発したにしてはちゃちな爆発だったが、核爆弾と云えども地表で爆発する分には大きな破壊力をもたらせないと聞いたことがあるから、水中で軽減されたと考えよう(苦笑)。

 返す刀で吊り橋上に降り立った01はシャドゥナイトと最後の意一騎打ちを展開。
 格闘は吊り橋上から、河岸に移ったが、然程長く戦うでもなく、01の放ったブラストエンドの前に吊り橋上迄ぶっ飛ばされたシャドゥナイトは無念の声を残して爆発・四散した。  かくして、シャドゥ最初にして直属の大幹部シャドゥナイトは戦死したのだった。

 事件が一件落着し、あんな目に遭いながらも「楽しかった。」としてかつらはフェリーにてミサオ達に別れを告げ、見送るミサオ・ヒロシ・アキラも一様に楽しい旅だったとした。
 そして一人見送りに参加しなかったイチローを遠巻きに見ながら、二度目の作戦も破られたことに歯噛みするザダムハカイダーに雪辱に加わるよう命じ、「云われるまでもない。」としたハカイダーは、亡くなったシャドゥナイトに対して、「気に入らん奴だった」としつつも、「必ず仇は取る。」としていた。なし崩し的な共闘関係でも情は湧いていたと云ったところだろうか?
 ともあれ、敵も味方も個々に戦意を燃やしつつ第27話は終結したのだった。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日