キカイダー01全話解説

第3話 帰って来たジロー キカイダー

脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦


 日没で太陽エネルギーの補給がままならず、ハカイダー四段攻撃の前に両脚が不能に陥り、アキラを庇いつつ必死にハカイダー達の追跡から身を隠すので精一杯という大ピンチで終わった第2話の続きで始まった第3話。
 簡単な前話の解説によると日没から既に8時間が経過していたとのことだったが、放映日である5月26日を参考に、日の長い5月だとしても日没から8時間なら後1時間半は陽光を得ることは能わない。
 何とか日の出まで敵に見つからないことを祈りたいところ、ハカイダー一行はすぐ側に潜む01とアキラに気付かず通り過ぎることも有り、隠れおおせそうな気がしないでもないが、ハカイダーはアンドロボット達を殴りつけて01捜索を厳しく促した。

 泣きじゃくるアキラを励ましつつ、もうすぐ夜が明けることを期待した01だったが、次の瞬間、頭上の岩場をまたぐようにハカイダー四人衆が現れた!
 両足の利かない01のことをハカイダーは「丸太」と称し(←731部隊を彷彿とさせて危なくないか?)、更に「丸太踊りを踊らせろ!」と云って、ハカイダーショットを放ってキカイダーの逃げ惑う様を楽しんだ。
 その虐待振りは正に西部劇や極道物映画で足元に拳銃を撃って、逃げ惑う様を嘲笑うと云う「踊らせる」そのもので、ブルーハカイダーシルバーハカイダーも各々の得物で01を打擲して踊らせた。
 現実世界に対しても、つくづく思う‥‥‥‥……こんな虐待を最初に考え付いた奴も、それを喜んで受け継ぐ奴も最低最悪だ!!………と。

 話を戻します。
 嘲笑いながらいたぶり続けるハカイダー部隊に対し、両腕だけででも抵抗すると精一杯の強気を見せる01だったが、ハカイダー四人衆&アンドロボット達を前に、「上半身のみ」・「通常の10分の1」では抗い様もなかった。
 するとそこへ煙幕が流れ込み、周章狼狽するハカイダー一味が何者の仕業かと訝しがり、周囲を見回す中、崖の上からギター音色が響いて来た。

 勿論予告やサブタイトルから丸バレなのだが、ギターの弾き手はジロー(伴大介)である。
 放映的には約一ヶ月振り、ストーリー的には3年振りに対面した両者は、ジローがハカイダーの生存に驚きの台詞を発せば、ハカイダーは01とアキラをキカイダーが救出したことに憤りの声を挙げた。
 双方ともに相手の行為が許せず、ハカイダーがハカイダーショットを、レッドハカイダーがミサイルボウガンを放ったのが号砲であるかのように両者は激突した。
 崖から飛び降りて着地したときには既にジローはキカイダーにチェンジしてサイドマシンに搭乗していた。

 即座にアンドロボット達がキカイダーに群がったが、勿論敵ではなく、次々に投げ飛ばされては爆破・炎上した。
 その間、01は両足を修理していたが、程なく夜が明け、太陽電池は再び作動した。復活した01はブルーハカイダーの鞭に絡め取られたキカイダーを撃とうとしていたレッドハカイダーに飛び掛かった。

 完全復活したキカイダー兄弟の前に1対1では、ハカイダー三人衆は明らかに劣っていた。ブルーハカイダーはキカイダーに、シルバーハカイダーは01に投げ飛ばされ、両者は火花を散らしてグロッキーになっていた(直後に特ダネを求めて撮影に来た百地頑太を襲う姿勢を見せたが、出来なかった)。
 結局、キカイダー兄弟が頑太を助けんとして駆け付けた合間に、ハカイダーがバイクで土煙を上げて煙幕を張ることで、ハカイダー部隊はまんまと逃げおおせた。

 直後、イチローはジローとともに、戦いを物陰から見ていたリエコを追った。だがリエコの姿は見当たらず、イチローは駆け付けて来たアキラを満面の笑顔で抱き上げた。こういう笑顔を浮かべる「良き兄貴分」としての池田駿介氏の魅力は、『帰ってきたウルトラマン』で主人公・郷秀樹の良き兄貴分であった南猛隊員役のそれと二大双璧を為していると云って良い。

 場面は替わってとある幼稚園。
 そこでは頑太が園児達とジェンカを踊っていた。前作での服部半平がビジネス色満載だったことに比べると頑太は人当たりの良いキャラである。
 舞台が幼稚園なのは、「木を隠すなら森の中(ジロー談)」的にアキラを人の群れに隠すのが目的だった。だが園児の中で幾許かの元気を取り戻したアキラは結構いたずらっ子の様で、頑太を「ガンモ」と呼び、それに激昂する頑太の前でカメラのフィルムを引き出してしまった。
 デジカメが主流となった現代では忘れられたシーンだが、フィルム時代、現像前のフィルムは光に宛てるとパーになってしまった。カメラから引き出されるフィルムは「証拠隠滅」、「努力がパー」の代名詞ともいえる姿だった(しみじみ)。

 ともあれ、イチローは頑太にしばしアキラの面倒を見てくれと要請。その際に再度「ガンモ」と呼ばれた頑太は抗議し、「ガンモじゃありません!こう見えても甲賀流忍者・百地三太夫の子孫・百地頑太っていうんです!」と全くさり気なくないさり気ない自己紹介を行っていたが、忍者の子孫という人物設定が前作の服部半平の後継キャラクターであることをはっきりさせていた。
 人造人間シリーズは前作と本作の2作で終わってしまった訳だが、第3作があれば、「藤林」という姓のキャラクターが出て来たと思われる(笑)。
 そして名を巡る頑太の三枚目キャラシーンは続き、からかわれ慣れ過ぎた頑太はジローに「頼んだぜ、頑太。」と正しい呼ばれ方をしたのに、「頑太じゃありません!ガンモ!」と云い出す始末(笑)。勿論直後に自分の台詞がおかしいのに気付いたのだが、その次の瞬間には園児達に「遊んで、ガンモ!」と云われて、脱力するのだった。
 慕われているのか、からかわれているのか微妙やね(苦笑)。

 一先ずイチローとジローは別行動を取ることになり、両者は握手を交わした。ヒーロー同士の握手は定番なのだが、兄弟間の握手って、何か違和感が有るような、無いような………(実際、ウルトラ兄弟同志だとハグはあっても、握手するシーンは皆無に近い)。
 そして頑太がからかわれながらもアキラ達の面倒を見、それをリエコが密かに見守る間、イチローは昨晩ハカイダー部隊に苦戦を強いられた裸山を訪れ、アンドロボット達と白兵戦を展開した。同じ頃、ジローもまたすぐ近くで同様の戦闘を展開していた(さっきの別れのシーンは何だったんだ?)。
 その間、別動隊のアンドロボット達が幼稚園を襲い、頑太を呆気なくのすと、園児達の中からアキラを探すのは面倒とばかりに園児達をまとめて攫おうとしたのだが、程なくそこにトランペット音色が響き渡った。次いでギターの音色も響き渡り、いつもの様に高所から飛び降りたったイチローとジローは忽ちアンドロボット達を蹴散らした。
 だが助け出した園児達の中にアキラの姿はなく、更にアンドロボット達は弱いながらも数を頼みに(←ジローが「いつの間にこんなに増やした?」と呟くほどの数だった)空中攻撃や稲妻型の手槍(?)を投げつけてはイチロー達に抵抗を続けた。

 しかし雑兵は所詮雑兵、アンドロボット達は兄弟の前に全滅し、直後にイチローはリエコに保護されているアキラを見つけた。
 当然イチローは前々から抱いていた疑問・疑惑をリエコにぶつけた。だがリエコが敵ではないことをアキラが証言したことからイチローの敵意は氷解した。そしてリエコはアキラの身を案じて幼稚園から連れ出そうとしたことを認めたものの、イチロー達が抱く疑問には相変わらず沈黙し続けた。
 結局、肝心な回答は得られない内にアンドロボット群が再度襲撃して来て、イチローは割り切れないものを感じながらも、リエコが敵でないことを信じるとして、アキラを連れての避難を要請し、アンドロボット群に立ち向かった。

 執拗なアンドロボット群の攻撃に業を煮やしたジローは変身を呼び掛け、兄弟はそれぞれに変身し、自前のマシンに搭乗してアンドロボット群を次々に蹴散らした。
 やがて兄弟はアンドロボット群を全滅させ、ハカイダー基地内に突入した。そこにはアンドロボット工場があり、ハカイダー三人衆が待ち構えていた。だがキカイダー兄弟はその妨害を物ともせず、「最新最鋭のアンドロボット工場(ハカイダー談)」の破壊に成功した。

 逸早く基地外に逃れ、臍を噛んでいたハカイダーは三度目の基地破壊を口にするアンドロボットに激昂し、八つ当たり的にハカイダーショットでアンドロボット達を撃ちまくった。早くも前作で確立された宿敵キャラクターとしての雄姿に翳りが………(嘆息)。
 改めてハカイダーは第1話で部下達に伝えていた部隊の目的を語り、その為にはリエコの拉致も必要と説き、目的達成後は二人とも殺せ、とした。

 一方、すべての敵を撃退したイチローとジローがアキラの元に駆け付けたときにはリエコはまたも姿を消していた。その正体不明振りに釈然としないイチローだったが、アキラが彼女の存在を肯定していることも有って、彼女を見る目は明らかに軟化していた。
 イチローは彼女を慕うアキラの為にも彼女を探すとして、アキラと共にその場を走り去った。そしてそれを遠巻きに見ていたハカイダーは幽霊ロボット・銀エビが01達を倒すとしていたのだった。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日