キカイダー01全話解説

第4話 怪奇!幽霊ロボット消滅!?

脚本:長坂秀佳
監督:畠山豊彦


 冒頭、前話で紹介された幽霊ロボット・銀エビが少し古風な洋館に迫るところで始まった。
 館内には母(金井由美)と娘・ミドリ(佐久間真由美)が団欒中で、そこに在った四人家族の写真には何とアキラの姿が映っていた。
 母子の会話によるとアキラは3ヶ月前にいなくなったことだった。母娘は諦めたのか諦め切れないのかよく分からない会話を展開していたが、娘が(自分で云い出しながら(苦笑))もう兄の話は止めよう、といった直後に銀エビの襲撃が始まった。

突如部屋の照明が明滅を繰り返し、母はそれに対して「嫌ねえ、パパの出張中に…。」と説明っぽい独り言をこぼした(笑)。
 やがて送電線が完全に断ち切られ、邸内は闇に覆われた。うむ、断電するだけでこうも時間が掛かる銀エビ、早くも二流以下の予感(苦笑)。ただ、邸内に入り込むと銀エビの行動は素早く、母娘はあっという間に拉致された。

 ミドリを縛り上げて吊るした銀エビは母にアキラの写真を見せ、彼女の息子は交通事故で亡くなっているが、自分達が探し求めるアキラと顔も名前も全く同じであることを説明し、自分達の命じるままに芝居するよう強要した。
 もし逆らえばミドリの命がない、と脅迫したのは悪の定番だが、それが脅しでないことを示すのに傍らにいたアンドロボットの首を刎ねていたのはさすが、ハカイダーの部下だった(苦笑)。
 そしてその様子をアジト内でモニタリングしていたハカイダーは、やがて01がアキラを連れてこの家を訪ねて来るであろうことを推測し、そこに罠を張り、アキラを捕えて、01を抹殺せよ、と伝えた。

 場面は替わってとある郊外。
 イチローは改めてアキラに、リエコの行方を突き止めることでアキラの家族を探し当てようと告げ、当初無表情だったアキラも笑顔を示して握手を交わしていた。その隙を突く様にレッドハカイダーがイチローを狙撃せんとしたが、そこに(意図していなかったのだろうけれど)ミドリの母が割って入った。
銀エビに命じられてアキラとの再会に驚く芝居を演じていたのは分かるのだが、勿論これによってレッドハカイダーは狙撃の機会を逸した訳で、ハカイダー部隊の連携バラバラやな(苦笑)。

 ともあれ、イチローは彼女が何者かと誰何し、母と名乗るのを訝しがった。
 イチロー=キカイダー01には相手がアンドロイドか判別する機能があり、それを駆使して眼前の女性が間違いなく人間であることを判別しながらも、それでも彼女を怪しんだ。
 まあ、タイミングが良過ぎると怪しいと思うのは世の常で、イチローは彼女にアキラの母であることを証明出来るか?と詰め寄った。
 母はその問いに家族写真を見せるが、リエコとのツーショット写真が引っ掛かっていたイチローはそれでも疑念を拭えず、記憶の戻らないアキラも彼女を受け入れ難そうにする反応を見せた。

 するとそこへレッドハカイダーの狙撃が襲った。
 ウザい高笑いを伴いながら当たりもしないボウガンを連射するレッドハカイダーに対峙したイチローは場合が場合なので、彼女にアキラを託した。
 だが、イチローが01にチェンジしたときにはレッドハカイダーはその姿を消していた。そしてアキラと母(?)はアンドロボット達の襲撃を受けていたのだが、そこにギター音色が鳴り響いた。
 勿論弾き手はジローで、口上を全く述べずアンドロボット達を蹴散らしにかかった。となると、レッドハカイダーの狙撃は陽動なのかな?と思ったが、01には樹上で姿を消していたのが分かるようで、ゼロワンドライバーを駆使するとその一撃でレッドハカイダーはグロッキーとなった。
 だが即座にブルーハカイダーが現れてこれを救うとバイクで撤収。そしてそれを手助けするように巨玉に化けた銀エビが割って入った。益々分からんな、ハカイダー部隊のチームワーク(苦笑)。
 ともあれ、銀エビはなかなかに膂力に優れるようで、01相手に互角以上の白兵戦を展開した。これを見たジローは即座にキカイダーにチェンジして加勢。二人の人造人間に対峙した銀エビは二人同時に相手するほど馬鹿ではないと告げて即座に撤収した。

 危地を脱したイチローはアキラを、ジローは母を伴って久保邸にやって来た。ここでジローは去って行ったのだが、先刻承知の様に久保邸はハカイダー部隊の支配下に在った。イチローと共に邸内に入るアキラを不安そうに見送る彼女に、改めてアンドロボット達が指示通り芝居するよう強要した。
 だが、暗がりに潜んでいた(つもりの(苦笑))アンドロボット達の存在はイチローにはバレバレで、即座に大立ち回りが始まった。
 一方で、母によって2階に連れ込まれたアキラには着実に魔の手が迫っていた。アキラは出されたケーキを、「お兄ちゃん(=イチロー)と一緒に食べたい。」として手を付けなかったが、果せるかなケーキの正体は銀エビ (大笑)。
 イチローに対する陽動が効いていると確信してか、アキラは既に掌中にあると思い込んでか、余裕綽々の銀エビは邸内を逃げ惑い、バリケードを築いて逃れんとするアキラを嫌味なほどゆっくり、しかし着実に追い詰めていった。

 一方のイチローはアンドロボット達を蹴散らす内に縛られているミドリを発見。彼女を救い、それによって憂いの去ったミドリの母は、アキラが自分達の子でないことをイチローに白状した。それを見てアキラの身を案じて駆け付けるイチロー………って、おい!邸内にアンドロボット達が数多く屯している時点で邸内が危険地帯であることに気付けよ!

 そして慌ててアキラがバリケードを築いた部屋に駆け付けたイチローだったが、そこにアキラの姿はなかった。その代わりという訳ではないが、彼が見つけたのは、外から邸内を伺うリエコの姿だった。
 リエコを追うイチローだったが、逃げるリエコは通りすがりのダンプ運転手(佐藤晟也)に「悪い奴等に追われている。」として助けを求めた。
 見るからにガタイが良く、馬鹿力に優れていそうな運転手は「そんな奴俺がぶん殴ってやる!」と息巻いてリエコをダンプに乗せたが、逆にリエコが降りるのを許さなかった。というのもその正体はブルーハカイダー
 荷台にはアンドロボット達が潜んでおり、更には待ち構えていたレッドハカイダーと共にリエコを挟撃して追い詰めたブルーハカイダーは下卑た笑い声を上げながらリエコに鞭を振るった。
 鞭を打たれながら、悲鳴を上げて地面をのたうち、転げ回るリエコ………子供番組で、こんなシーン描いていいのか?!?

 程なく、取り押さえられ、拉致されようとしたリエコだったが、そこにいつものトランペットの音色が鳴り響いた。
 いつもの口上を述べ、リエコを解放せよと告げるイチローに、ブルーハカイダーは腕づくで取れとしてこれを拒絶し、いきおい白兵戦となった(その間隙を縫ってリエコはダンプで戦線離脱)。
 しばしの格闘後、01がゼロワンドライバーを駆使するとブルーハカイダーレッドハカイダーも手が出ず、アンドロボット達も次々と蹴散らされた。するとそこへバイクで黒煙をけたたましく上げてハカイダーが乱入した。
 だがこれは加勢ではなく、01の周囲を旋回し、黒煙を発していたハカイダーは文字通り01を煙に巻き、これを煙幕に一味は撤収したのだった。

 アジトに戻ったハカイダー部隊はもめにもめていた。
 ハカイダーブルーハカイダーレッドハカイダーの勝手な行動を詰って両者に鉄拳を加えた。それに対し、ブルーハカイダーレッドハカイダーは手向かいこそしなかったものの、「馬鹿はどっちだ!?」という、おおよそボスに向けたものとは思えない乱暴な台詞を発してまで激しく反発した。
 ブルーハカイダー達の云い分は、リエコとアキラから秘密が01に漏れれば、ハカイダー部隊の世界征服計画が頓挫するゆえ、二人の確保は何より急務とするものだった。それに対してハカイダー銀エビに任せた以上、余計なことはするな、と重ねて命じ、万一それが失敗に終わった際は、その時にこそ自分のサタンダークネスがあると力説した。
 ブルーハカイダー達がその名を聞いて、さっきまでの猛反発が鳴りを潜めさせてその名を呟いたサタンダークネスとは一体??

 場面は替わって、とある神社の境内。そこではアキラが一人とぼとぼと歩いていた。ん?てことはさっき、銀エビが追い詰めていたのは何だったのだ?
 直後に、アンドロボット達とともに彼の前に立ちはだかり、俺からは逃げられん!と息巻いていたが、いくら広いとはいえ、邸内で捕えられないようでは丸で説得力は無かった(苦笑)
 まあ、銀エビもアンドロボット達と共に包囲してまで逃げられるほど間抜けではなかったが、そこに01も駆け付けて来た。勿論白兵戦が展開された。

 前作の『人造人間キカイダー』の放映時から云えることだが、本作のハカイダー部隊も前作のダーク同様、拘束している人質の身をたてに相手の抵抗中止を命じるという発想がない(苦笑)
 アキラにはあっさり逃げられ、アンドロボット達もゼロワンドライバーで次々蹴散らされ、自身もその猛攻を受けた銀エビはその鈍重そうな体格に似合わぬジャンプ力を見せて上空に攻撃をかわした。
 そして上空には一本のロッドが浮かんでおり、それを軸に大車輪を展開するのを見た01は銀エビの正体がシルバーハカイダーであることに気付いた。
 よくぞ見破った、と01を褒める銀エビだったが、「」を冠していることや、レッドハカイダーやブルーハカイダーが独断専行する中、シルバーハカイダーだけ姿を見せず、ハカイダーが作戦を一任していたことからも、察しの良い視聴者ならその正体に気付くの容易だったことだろう。

 ともあれ、銀エビの啖呵切りによると、シルバーハカイダー銀エビの姿でいるときは10倍の能力を発揮出来るとのことで、これに恐れをなしたのかは定かではないが、01は空中に逃れてアンドロボット達の妨害を突破するとアキラの保護を優先した。
 一連の経緯を見ていたハカイダーは今こそサタンダークネスを発するときと述べた。それは上空に飛んだハカイダーが黒煙を発して周囲を闇の帳で覆うという単純な技だったが、勿論太陽電池で動く01にとっては厄介極まりない攻撃であった。
 自らは10分の1の力しか発揮出来ず、敵はいつもの10倍の力を発揮している。つまり100倍の相手と対峙する危機に陥れられた訳だが、程なくキカイダーがやって来てサイドマシンにて暗雲を払うと間から太陽光が差し込み、イチローは01にチェンジした。

 01VS銀エビの一騎打ちは純粋な格闘に終始した。どちらが優勢とも云えない展開の中、01が突如して必殺技ブラストエンドを放った(技の形態はキカイダーのデンジエンドに酷似)。
v  これを受けた銀エビはもんどり打って崖下に転落。爆炎が挙がり、ブルーハカイダーレッドハカイダーが慌てて駆け付けて来たが、シルバーハカイダーは戦死にまでは至っておらず、仲間の助けを借りて遁走した。

 かくしてアキラの危機を救ったイチローとジローは夕日の中で握手を交わし、改めてアキラの身元を探すことへの意欲を高め、それを遠巻きに観るハカイダー部隊は銀エビが敗れても「恐怖の青鬼」がいると戦意を燃やしていたのだが、結局アキラの偽家族に仕立てられたミドリとその母については触れずじまいで、多少の消化不良を残して第4話は終結した。

 余談だが、この話でミドリの母親役として銀エビに脅されるままに偽母を演じた金井由美さんは『ウルトラマンタロウ』の第17話〜第19話で我が子の身を案じる余り、東光太郎を初めとするZATの面々にも冷たく当たる母親を演じていた。
 この後数年を経て彼女は芸能界を引退したのだが、「我が子を想う余り」がこれほど似合う女性も稀有で、もっと多くの特撮番組に出て欲しかったものである。



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 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日