キカイダー01全話解説

第5話 恐怖!青ワニ島で卵が笑う!!

脚本:滝沢真里
監督:永野靖忠
青ワニ、朱ムカデ登場


 冒頭はとある漁師町で始まった。おやつを食していた漁師の父子が沖合に黄色の、明滅する球体を見つけ、漁師は息子に村人を呼びに行くよう告げた。
 村人達が大挙して駆け付けた頃には球体は沿岸に辿り着いていた。発見者の漁師は棒を槍代わりに対峙していたが、他の村人が爆発を恐れて要らざる攻撃を止めた。だが、そうこうする内に笑い声供叫び声ともつかぬ奇声と共に中から怪物が現れた。

 その姿は全身真っ青な直立したワニで、全身をイボに覆われ、鶏冠を持って不気味さを醸し出す一方で、だらしなく開いた口がカッコ悪い(苦笑)。タイトルからコイツが青ワニなのはまあ予想がつくし、前話から推測するに、ブルーハカイダーの正体なのだろう。
 ともあれ、青ワニはパニックに陥る村人に捕虜とする旨を伝え、同時に逃げ出す者は殺すとも告げた。当然村人達は逃走を試みるのだが、逆側からはアンドロボット達が大挙して押し寄せて来た。
 そして、見せしめの意味もあったと思うが、青ワニは一人の漁師を呑み込むと忽ち消化し、骨だけを吐き出した。インパクトは満点に近いが、しょーもない揚げ足を取ると、ワニは食べた動物の角も、蹄も、骨も消化してしまいます(笑)。
 そしてワニ特有の長口吻は飛ばして攻撃することも可能だった。

 漁民達が逃げ惑う中、冒頭で父親と喫茶していた少年は船の中で寝ていた頑太と偶然遭遇し、頑太は自分の寝ていた場所に少年を匿った。しかし、自身はこれを特ダネと捉えて撮影に掛かっていたところを青ワニに見つかり、少年の身代わりになるように捕らえられ、青ワニ島へ連行された。

 連行された頑太&漁民達を待っていたのは強制労働だった。足に鉄球付きの鎖を架せられるというベタな奴隷スタイルで奴隷同然にこき使われる漁民達の中、自分も虐待されながら漁民達を庇い、虐待に抗議する百地頑太良い人過ぎ(笑)。能力はともかく、人格面では前作のコメディリリーフだった服部半平よりも遥かに善人である(はんぺんも回が進むに連れて徐々に良い奴になって行ったけどね(笑))。

 場面は戻って最前襲撃のあった海岸。双眼鏡で浜辺を見ていたアキラが残された白骨に驚きの声を挙げ、イチローを呼んだときには既にイチローは現場に駆け付けていた。
 残酷な現状を目の当たりにし、ハカイダーの仕業と決めつけるイチロー。否、間違っちゃいないのだが、現実の世界で四半世紀前に起きた地下鉄サリン事件以後しばらくの間、異臭騒ぎを初めとする様々な事件が起きる度に反射的に「これもオウムの仕業か!?」と世間が色めき立った記憶が有るから(実際、オウムの仕業もあれば、無関係もあれば、騙りもあった)、何でもかんでもハカイダー一味の仕業とするのもどうか、と今なら思う(苦笑)。
 ともあれ、程なくイチローは泣き声を聞き付け、襲撃時に頑太が匿った少年を見つけた。恐怖の冷めやらぬ少年は会話もままならず、イチローは優しく話しかけ、様々な問いを投げ掛け、Yes or Noの回答を引き出すことで、人々が浜辺で襲われ、下手人達が沖合の島(=青ワニ島)にいると推定した。

 その頃、青ワニ島対岸を歩いていたリエコは、青ワニ島からの救助を求める手紙の入った瓶を拾ったところで青ワニとアンドロボット達に襲われた。すぐにギターの音色が鳴り響き、ジローが助けに入ったのだが、対01戦に備えてブルーハカイダーから強化改造された青ワニにジローの姿では抗し得ず、キカイダーにチェンジせんとしたが、そこに悪魔の笛の音が鳴り響いた。
 前作同様悶絶するジローだったが、そこへアキラ達を三日月ホテルに避難させたイチローが駆け付けた。ジローの危機を知ったイチローが次々とアンドロボット達を投げ飛ばすと、破壊されたアンドロボットの爆発音が笛の音を遮断し、ジローはチェンジに成功した。作品が変わっても、笛の音を逃れる手段の滅茶苦茶さは変わらないのね(苦笑)

 ともあれ、キカイダーが青ワニを迎撃している間に気絶させられたリエコを救わんとしたイチローだったが、そこにハカイダーシルバーハカイダーレッドハカイダーが割って入った。これを受けてイチローもキカイダー01にチェンジした。
 しばし乱戦が展開された後、01はゼロワンドライバーを発動。ゼロワンドライバーレッドハカイダーシルバーハカイダーハカイダー、そして青ワニに一撃を与え、ハカイダー一味は撤収した。弱いぞ、お前等!!(笑)

 ハカイダー一味を追い払ったイチローはリエコを病院に連れて行くようジローに託し、自身はアキラ達の身を案じて三日月ホテルに戻った。
 その頃、アキラ達はホテルのイベントである台湾ショーに見入っていたが、案の定、ハカイダー一味の魔手は迫っていた。道化を務める少女にアキラと少年が舞台裏に連れていかれると、そこには本物の道化が縛られて転がっていた。
 直後にイチローがホテルに戻ったが、勿論二人の姿は見当たらない。ホテルマンの証言で台湾ショーの楽屋裏に忍び込んだイチローは道化の少女から二人が拉致されたことを知った(と云うか確認した)。

 即座に青ワニ島に向かうイチローだったが、勿論ハカイダー一味はこれを待ち受けていた。青ワニ島海岸を探索していたイチローは助けを求める女性の声を聞き付け、溺れている(様に見える)彼女を助けんと飛び込んだが、勿論ベタ罠である(笑)。
 女はイチローを海草の様な物で絡め取り、海中に沈んだイチローはカプセルの中に閉じ込められた。海中に沈めば勿論太陽光は届かず、太陽電池は起動しない。更にカプセルの沈みゆく海底には時限爆破装置が待ち構えていた。
 だが爆破装置接触直前に今度はキカイダーがそれを救った。海中から海面に押し上げられたことで太陽光を得たイチローは01にチェンジ。かくしてキカイダー兄弟は地上に降り立ち、漁民達を虐待していたアンドロボット達を次々と蹴散らして漁民達を解放した。

 海岸にはハカイダー一味も駆け付け、乱戦の末、01対青ワニ、キカイダー対ハカイダーレッドハカイダーシルバーハカイダーの図式となった。強化改造を経た不死身を謳う割には青ワニは明らかに格闘で01に劣り、またもゼロワンドライバーに怯み、卵に戻っては仕切り直すように飛び出してかかってくるという行動を繰り返した。
 やがて口吻を飛ばしたことで幾許か01を苦しめた青ワニだったが、またもキカイダーが駆け付けると形勢逆転、口吻は即座にひっぺがされ、卵殻の中に青ワニのリモート・コントロール装置があることをキカイダーが看破したことで二人はこれを処分して勝利した。
 その際の青ワニ及びハカイダー一味の狼狽えようは情けないほどで、いずれにせよリモコン装置爆破と共に青ワニも悶絶して爆発した。

 かくして漁民達と頑太・アキラはキカイダー兄弟によって救われた。だが、アキラやリエコに関する謎は残り、ハカイダーは何とか生き永らえたブルーハカイダーを詰りつつ、朱ムカデ(←言及は無かったが、展開や状況からレッドハカイダーであることは丸分かり)に次なる出撃を命じたのだった。



次話へ進む
前話に戻る
『キカイダー01全話解説」冒頭へ戻る
特撮房『全話解説』の間へ戻る
特撮房へ戻る

 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日