キカイダー01全話解説

第6話 魔術師対ゼロワンの秘密能力!!

脚本:滝沢真里
監督:永野靖忠
朱ムカデ登場


 冒頭、公園で数人の子供たちが遊んでおり、程なく帰宅時間を迎えて次々家路に就く中、モモコという少女だけがブランコに乗り続けていた。そんな少女の足下に一枚の紙が飛んできて、そこには魔術ショーへの案内が記載されていた。
 「恐怖の大魔術」と銘打った、魔術ショーで待っていたのはシルクハットにタキシードの怪しい魔術師(宮口二朗)。決して軍服を着ていた訳ではない(←何なんだそれは?)。

 魔術師の前口上は親の云うことを聞かずに遅い時間になってもほっつき歩く悪童を歓迎するという奇妙な物。そこにはモモコもいたのだが、魔術師は少女を老婆に変えたり、その姿を消したりしたりした後に、自らの姿を朱ムカデに変化させた。
 結局のところ、子供達を大量に拉致するのが目的だった訳だが、それならないもマジックを見せずとも、部屋を密閉して睡眠ガスでも撒けばイチコロだったと思うのだが、妙なパフォーマンスに走った結果、モモコに逃げられ、彼女を偶然通り掛かったイチローが保護した事でストーリーは進んだ(笑)。

 モモコが「ムカデのお化け」を怖がるのを聞き、例によってハカイダー一味の仕業と訝しがったイチローは一先ずモモコを母の元に連れ帰った。
 娘を無事連れ帰られたことに涙してイチローに感謝する母だったが、さすがにムカデのお化け自体は信じ難い風だった(←丸っきり疑っている訳ではない)。イチローは恐ろしい悪の組織があることを証言し、自分が近辺を調査するのでその間アキラを預かって欲しいと要請し、母親はそれを快諾した。

 だが、辛くも虎口を逃れたモモコは良いとしても、多くの子供達がハカイダー一味に拉致されたことに変わりはなく、子供達が泣き叫ぶ中、朱ムカデは見せしめ的にアンドロボットの一体を棘飛ばしで惨殺して見せしめ、子供達を毒液培養室に連行するよう命じた。
 直後の朱ムカデハカイダー達の会話によると、コイツ等は子供達に毒液を植え込み、より強力な毒薬を生成し、それを武器に東京を、引いては世界を征服せんとしていた。朱ムカデは自らの毒と能力に絶大の自信を持ちつつも、現場から一人の少女が逃げたことを懸念し、ハカイダーは毒薬生成と少女の追跡の双方を部下達に命じた。

 生成そのものは順調でも材料となる子供達が足りないと見た朱ムカデは更に子供達を拉致せんとして、造成地で遊ぶ子供達を襲い、アンドロボット達に連行させんとしたが、そこにいつものトランペットの音色が鳴り響いた。
 いつもの口上を切ったイチローは即座に01に変身し、朱ムカデの正体がレッドハカイダーであろうと告げると、朱ムカデもあっさりこれを認め、戦闘となった。
 元より前哨戦的に01に群がるアンドロボット達は敵ではない。だが他のアンドロボット達が逃げる子供達を拉致しようとし、それを助けんとする01の前には朱ムカデが立ちはだかった。
 妨害する朱ムカデゼロワンカットなる手刀打ちでバラバラに分割させ、子供達を救わんとした01だったが、勿論幹部クラスの敵キャラがかように呆気ない死を遂げたりはしない。朱ムカデは逆にバラバラになった体を利して、空中に浮遊すると次々と01に波状攻撃を仕掛けた。

 さすがにかかる妨害を受けてはアンドロボット追撃は叶わなかったのだが、子供達を連行するアンドロボット達の耳にはあのギターの音色が鳴り響いた。
 忽ちの内にアンドロボット達を蹴散らし、01に加勢せんとしたジローだったが、今度はそこにハカイダーシルバーハカイダーブルーハカイダーがバイクにて駆け付けてジローを迎撃して来た。
 これにはジローも即座にキカイダーに変身。直後にキカイダーは01の元に駆け付けたことで戦いは二つ巴、三つ巴の混戦となった。キカイダーは一人でハカイダー達を引き付け、兄に子供達の救出を促したが、01には尚も朱ムカデが迎え撃った。
 混戦の裏で、偶然その場に居合わせた頑太はいつものように特ダネ発見とばかりに写真を撮りまくっていたが、やがて物陰で様子を見ていたリエコに気付き、「僕ちゃん、こっちの方が良い!」と叫んで抱き着こうとして、リエコにひっぱたかれていた‥………一歩間違えりゃ、変態だな百地頑太よ………。
 ともあれ、頑太はリエコの容姿に似合わぬ力に驚愕し(←後々への伏線やね)つつも、リエコに促されるまま撤収した。
 そして戦場ではキカイダーが1対3の不利にもかかわらず互角以上に戦い、やがて朱ムカデの身を案じたハカイダーの号令で一味は撤収したのだった。

 Bパートに入り、アジトに戻ったハカイダー朱ムカデの行方を案じていたのだが、そこにズタボロ状態で朱ムカデが戻って来た。
 呻き声を上げつつ、01を殺ったと云う朱ムカデだったが、ハカイダーは遺体が見つかっていないことを理由にこれを認めず、朱ムカデを殴りつけた。キカイダー兄弟に妨害され、結局は子供達も取り逃がしたことで毒液作戦は進まないどころか、自分達の存在自体が世間に知られかねないと見たハカイダーは相当な危機感を抱いていた。
 だが、手下3人は組織的な危機感よりも、目前の作戦が妨害され、ボスに認められていないことの方が悔しいらしく、モモコの家にアキラもいることを指して、朱ムカデは苦痛の声を挙げながらも逃がすものかと息巻いていた。

 一方、イチローの方も負傷状態にあり、ジローによる修復を受けていた。イチローは既に捕らえられている子供達を救出する為にも、取り逃がした子供達を再度奪取に来る時がその好機と睨んでいた。
 そして案の定、朱ムカデはモモコ宅にやって来た。朱ムカデの姿を見た母娘が悲鳴を上げるのを聞いて、逗留中のイチローが駆け付けたが、姿を消した後だった。だがこれはイチローの読み通りだったらしく、イチローは心の中でアキラに何かを託していた。
 果せるかな、一人読書するアキラの元には朱ムカデの魔手が迫っており、アキラはあっさり拉致された。だがイチローは既にそれを読んで尾行。途中でジローも加わった。
 かくしてハカイダーアジトの発見に成功した二人は、潜入に気付かれるもこれを強襲。あわや毒人間にされようとしている子供達の元へ飛び込んだ。キカイダー二人を前にしても微塵も恐れる様子を見せない朱ムカデだったが、地下室では太陽光が届かずイチローは01にチェンジ出来ない、ジローには悪魔の笛(それも以前の1000倍に強化済み)で動きを封じられるとの勝算があった。
 朱ムカデの読み通り力を発揮出来ずにいた兄弟だったが、イチローは「最後の手段」としてジローと共にクロスボディと称して体を絡ませ、そのままダブルジャンプで地上に出て太陽光を浴びるやダブルチェンジで二人揃ってキカイダーにチェンジした。

 ナレーションによると極限状態で初めて発揮出来る手段とのことだったが、ともあれ01とキカイダーは前者がキカイダーの、後者がその他の子供達の救出を達成した。
 かくしてAパート同様、01VS朱ムカデ、キカイダーVSハカイダーシルバーハカイダーブルーハカイダーの二つ巴戦が展開された。
 朱ムカデは例によって棘飛ばしで勝負を有利に展開せんとしたが、それに対して01はゼロワンタイフーンなる技で烈風を起こして棘爆弾を弾き返した。そして朱ムカデがこれに怯んだ隙を突いて01はゼロワンドライバーブラストエンドを繰り出し、崖下に転落した朱ムカデは爆発・炎上した。

 朱ムカデ敗退を目撃した3人ハカイダーは即座に撤収。かくしてハカイダー一味の悪巧みは阻止され、子供達は無事親元に返された。
 子供達に別れを告げ、途中イチローとジローも分かれたが、それを見ていたハカイダー一味の中にはレッドハカイダーの姿もあった。そしてハカイダーはブラックドラゴンなるものの力で今度こそ01を倒すと宣していたのだった。



次話へ進む
前話に戻る
『キカイダー01全話解説」冒頭へ戻る
特撮房『全話解説』の間へ戻る
特撮房へ戻る

 最終更新 令和四(2022)年一〇月二一日