ウルトラマンレオ全話解説

第12話 冒険野郎が来た!

監督:筧正典
脚本:阿井文瓶
風船怪獣バンゴ登場
 冒頭、ゲン、百子、猛は山中にてスポーツセンターの練習生と共にランニング中だった。そしてそれを微笑ましく見つめる一人の怪しい男がいた。男(東龍明)のいでたちはアフリカの原住民にコスプレした酔っ払い、という感じで、トオルが一瞬気を取られたが、猛が「相手にするな」と言わんばかりに先を急がせた(苦笑)。

 するとそこへ猛烈な地響きを伴って、地中から風船怪獣バンゴが現れた。さすがにトレーナーとしての活動中で、MAC隊員としての武装を持たない状態とあってはゲンも練習生達の避難誘導に努めた。
 するとそこへ最前の妙な男が槍と楯と風呂敷包みをもって駆け寄って来た。男は槍を地面に突き立てると人心を惑わしているとしか思えない踊りをかまし (苦笑)、猛の避難誘導もガン無視した。
 ゲンが何をしているのかを尋ねると、サイマ族の戦い前の踊りと祈りとのこと…………あ〜はいはい、実在するマサイ族のもじりね………。現地からクレーム来んかな………。
 ともあれ、怪しい踊りと礼拝をおこなうや男は槍を掲げてドン・キホーテ宜しく、バンゴに向かって突進していった!
 ところが、いざ怪獣と対峙すると男は妙な踊りを踊り出し、眠そうな表情でそれを見ていたバンゴは同じように踊り始めてしまった!そしてその隙を突く様に男の投げた槍は見事に鼻面に命中し、致命傷には程遠かったものの、バンゴは地中に逃れた。その際、元から異常に鼻息の荒いバンゴは猛烈な鼻息で男を吹き飛ばしたので、痛み分けと云えた。

 バンゴが去り、一応の安心を得たゲンはこのことをMACに報告しようとしたが、戻って来た男が既に報告したという。突如敬礼した男はMAC本部から派遣されてきた佐藤三郎と名乗り、戸惑うゲンを尻目に本部からの命令として、おヽとりゲンにつくのでよろしく、と関西弁で宣言した。
 三日前までアフリカにいたという佐藤を猛などは「本当にMACの隊員ですかぁ?」と訝しがったが、佐藤は風呂敷包みから制服を出してこれを証明(←これであっさり信用されるから凄い。コスプレマニアかとは誰も思わんのだろうか?)。
 ライオンの尻尾を出して奇妙なまじないをする佐藤はそのコミカルさも手伝って、忽ち子供達の人気者となった。

 かくして、ゲンとコンビを組むことになった三郎(←後にレギュラー入りする佐藤大介隊員と区別する為にも名前で表記します)だったが、それまでサイマ族の民族衣装を着ていたためか制服に不慣れで、しかも車の運転が出来ないと来た(アフリカでは象に乗って移動していたらしい‥‥…って、アフリカのどんなところを活動してたんだ?)。
 パトロールの為、計器類を監視するよう言われても、自分の嗅覚の方が上と豪語しつつも、居眠りをかます三郎に半ば呆れつつも、憎めないキャラに渋々付き合うゲン。調子のいい三郎に言われるままに車を降りて昼食を食べていたのだが、その三郎が偶然おにぎりを落としたところがバンゴの鼻の孔だったため、コミカルムードは一変。数多く存在するウルトラ怪獣にあってバンゴは然程凶暴ではなく、好奇心旺盛でコミカルな側面も強い存在なのだが、それでも怪獣は怪獣。何かに興奮したのか団地の給水塔をもぎ取るとそれを棍棒代わりに暴れ始めたのだから、こうなるとやはり脅威である。
 ゲンはMAC本部に怪獣出現を報告するとMACロディーからバンゴを砲撃するが、マッキー2号・3号を加えての掃射も例によって然したる効果は上がらず(苦笑)。このままでは埒が明かないと見た三郎は、「わい、あいつをちょっと脅かしたりまっさ。」というや、ゲンが止めるのも聞かず単身遊園地に向かった。

 三郎はアドバルーンを見つけるやロープを伝ってバルーン上に上るとバンゴの注目は明らかに三郎に向いた。そして三郎はバンゴを充分に惹き付けると煙草でもってアドバルーンを破裂させてバンゴに一撃を与えた。当時のアドバルーンの中身は水素だったのだろうか?ヒンデンブルグ号事件以来、水素は危険でヘリウムに取って代わられたと思っていたのだが………??
 当然それによって三郎は地面に放り出されたのだが、幸い大した怪我もなくバンゴ撃退には成功した。というか、大怪我したら阿呆だろうと思うのだが、バルーンを破裂させたら、落ちることを忘れていたと云ってゲンと笑っていたから、阿呆かも知れない……………(←一緒になって笑っていたゲンもな)。

 ただ、撃退は一時出来なもので、すぐにゲンの元にB33地区にバンゴが現れたとの報が入った。先行したマッキー2号・3号が攻撃を仕掛けていたが、効果の程は言わずもがなである(苦笑)。
 そして先の戦いで三郎に痛い目に遭わされたバンゴはその痛みを他者にも味わわせたいとの思いから、ガスタンクを投げつけてその爆発でマッキー2号・3号を撃墜すると、燃え残りの廃材を熱そうにしつつもそれを得物に次々とアドバルーンを破裂させて回った。

 現場に付いた三郎はバンゴが自分の真似をしている、と激昂(←怒るところ、そこかい?!)。
 思案首投げ状態に陥ったゲンと三郎だったが、程なくゲンはバンゴに興味深いことを真似する癖があることに気付き、スーツの上に着られているジャケットが伸縮自在であるのを利用し、『イソップ童話』「牛とカエル」宜しく、バンゴを自爆させる作戦に出た。
 ジャケットの右胸部はMACガンのカートリッジが5本常備されているのだが、三郎はその内一か所から水素ガスを注入し、人間アドバルーンとなって上空に浮き上がるとバンゴと対峙した。
 バンゴを挑発すべく、煙草を吹かしたり吸ったりする三郎。二人の作戦は図に当たり、バンゴは腹をパンパンに膨らませたが、その内三郎の真似をして煙突を折って喫煙をも真似出した。だが、コミカルなのもそこまでで、やがてバンゴは鼻息を荒くし出し、強風に煽られた三郎の命綱が千切れ、三郎は空中に放り出されてしまった。

 こうなるとただ見ている訳にはいかない。ゲンはレオに変身し、三郎を受け止めると彼を地上に降ろしてバンゴと対峙した。
 レオ対バンゴの一戦はややレオ優勢に進んだ。バンゴはパワーこそそこそこありそうだったが、元々どこか鈍重で好戦的でもなかった。動きの切れは明らかにレオの方が上で、しばし格闘の後、額のビームランプからビームランプ光線バンゴの足に放つとバンゴは行動不能に陥った(←元々MACガンの銃撃でダメージを受けるほど足は弱そうだった)。
 そして行動不能のバンゴを尻目にレオは尻尾を取ってレオブローバンゴの体内に特殊ガスを吹き込むことでバンゴを空高く浮かび上がらせ、そのまま宇宙に送還したのだった。
 レオの吹き込んだ特殊ガスの正体は不明だが、風船が水素やヘリウムで浮き上がるのはそれらが空気より軽いからであって、当然空気が薄れる上空より上では浮力を持たなくなる。もし特殊ガスの正体が水素やヘリウムの類なら、『ウルトラマン』のスカイドンの話から成長しとらんことになる(苦笑)が、もしツッコまれたら、「『特殊』だから大丈夫。」で逃げるんだろうな(苦笑)。

 そして最終場面。
 スポーツセンターでは登山スタイルに身を固めた三郎がスポーツセンターの面々に別れを告げていた。その理由はレオに救われた際にMACではもう充分手柄を立てたから、雪男を探しに行け、と言われたという大嘘臭く、且つ、話としても不可解なものだった。
 そこへダンが現れ、三郎との別れを残念がりつつも、雪男を捕まえたらまた戻って来てくれと(何故か敬語で)告げた。別れ間際、猛に請われた三郎はライオンの尻尾を残して去ったのだが、ダンにはそれを「イボイノシシの尻尾」と言っていたらしく、そのいい加減な言動とキャラに「面白い人だ。」とほほ笑むダンの見送りを受けて佐藤三郎隊員は去って行った…………おおっ!ダンが起こったり、殴ったりせずに終わったのは初めてじゃないか!!(笑)
 敵がコミカルだと、その敵の怒気も殺がれるものなのかな?(笑)


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令和二(2020)年一〇月五日 最終更新