ウルトラマンレオ全話解説

第23話 ベッドから落ちたいたずら星人

監督:深沢清澄
脚本:若槻文三
虹怪獣レンボラー登場
 冒頭、無限に広がる宇宙の一角にあるコロ星にて、ベッドで飛び跳ねて遊んでいたコロ星人(演:増田康好)が飛び跳ねていたところをサブタイトルの如くベッドから転落し、それによって地球に転がり込むこととなった。宇宙の無重力や、万有引力を思い切り無視しているな、しかし(苦笑)。

 地球に(何故か落ちた筈のベッドと共に)転がり込んで来たコロ星人は空き地でMACごっこをしていたトオル達によって発見された。
 初めトオル達が気付いたのはベッドだけだったが、そこへカオルが「ミミズのお化けがいる!」といって駆け込んで来た。果たせるかな、「ミミズのお化け」とは地面に埋まり込んだコロ星人の尻尾が地上に出ているのを誤認されたもので、初めトオル達はこれを引っ張り出そうとしたが、地中から泣き声がするのを聞き付けて、掘り出しに掛かった。

 掘り出されたコロ星人はトオル達に感謝を述べるや空腹に耐えかねて昏倒。発見状況やその風体から相手が宇宙人であることは丸分かりながら、小柄で、子供にしか見えない(←後々言及されるが、実は曾孫までいる)相手にトオル達も戦意を抱かず、食べ物集めに奔走した。
 ところが、このコロ星人、好みがうるさいらしく、おにぎりも魚も食べようとせず、「110番」を求める。それが何を示すのか皆目見当もつかない一同だったが、ガキ大将・昭男(長谷川秀人)の持ってきたドーナッツがビンゴで、コロ星人は嬉しそうにこれを平らげに掛かった。
 昭男はパン屋の息子らしく、子供にしては大柄な体格と一同のおやつを握っていることをたてにリトルMACの隊長座にあり、ドーナッツは本来一同のおやつだった。しかしコロ星人は遠慮会釈なくすべて食べ尽し、更に求めて来た。

 この後、詳しい描写は無かったが、コロ星人は相当量のドーナッツを食したらしく、それによって「妙な宇宙人が東京じゅうのドーナッツを平らげた。」との通報がMACにもたらされた。
 ただ、コロ星人自身は悪戯好き・遊び好きでも地球に害意を持たない大人しい存在で、満腹状態に満足するとトオル達の質問に次々と答えていた。
 それによるとコロ星人は地球より二千年は進んでいるらしく、尻尾は通信装置で、虹怪獣レンボラーを制御すると云う。説明を受けた子供達は虹を食べるという怪獣レンボラーを見たがり、最初は断ったコロ星人も挑発されるや「ちょっどだけよ。」と加藤茶ばりのポージングを交えて宇宙空間にいるレンボラーを召喚した。

 レンボラーは見てくれこそ眠たそうな表情で、蛾をコミカルにした様な見てくれだったが、マッハ32の飛行能力を持ち、それがMACのレーダーに引っ掛かった。

 子供達はコロ星人レンボラーの存在を自分達の機密とし、カオルもゲンの質問をはぐらかして隠匿していたが、子供達の中の一人、京一(山瀬洋)が、レンボラーがなかなか来ない事からもコロ星人をことある毎に嘘吐き呼ばわり(風体からコロ星人に子供が43人、孫が60人、曾孫が14人いることも嘘と見做していた)していたが、まあ雰囲気的にも御愛嬌の範囲内だった。
 やがてレンボラーが着陸し、タイミングよく(悪く?)ゲンも駆け付けた。(ドーナッツ大量摂食を挙げて)露骨にコロ星人を怪しむゲンに、自分達が呼べと言っておきながらいざレンボラーが巨体を現すと恐れおののく子供達。
 勿論コロ星人に地球及び地球人への敵意はなく、召喚されたレンボラーコロ星人の命じるままにコミカルで軽快なアクションを取っていた。マッキー3号で駆け付けたダンもゲンとの通信からコロ星人レンボラーを帰らすようゲン経由で要請し、コロ星人もこれに応じた。

 だが、ここでアクシデントが起きた。
 コロ星人の命令を受け、コミカルでも礼儀正し挨拶のジェスチャーを行ったレンボラーは帰途に就き、子供達も笑顔でこれを見送ろうとしたが、コロ星人の尻尾を得れば自分も怪獣を操れるようになると踏んだ昭男がこれを強奪せんとし、それによって、尻尾が引き千切られ、レンボラーコロ星人の制御から外れてしまったのだった!
 こうなると巨体で暴れるレンボラーは常日頃遭遇しているような凶暴な怪獣と変わらなかった。ゲンは子供達を廃バスの中に避難させ、ダンも梶田と共にレンボラーに攻撃を仕掛けたが、タイミングよく雨が降り出し、雨を苦手とするレンボラーは上空に遁走した。

 Bパートに入るとコロ星人は逆立ちをしていた。コロ星人曰く、尻尾は20時間で再生するのだが、逆立ちすることで早まるとのことだった。
 だが、雨上がりの空に虹がかかるや、虹を好物とするレンボラーが再び飛来し、バリバリと音を立てて虹を食べ始めた(←虹って、水滴の乱反射光なのに??)。勿論一心不乱に食事している間は害も無いのだが、コロ星人はゲンにこっそりと虹を食べたレンボラーが通常の百倍の力を発揮することを伝え、これを懸念した。
 駆け付けたマッキー2号も虹を食い終えたレンボラーに攻撃を仕掛け、ゲンもレオに変身してこれを迎撃した。

 ただ、勝負は何とも言えないものとなった。
 元々レンボラーは地球人に対して悪意的でもなければ、これを制御していたコロ星人も同様である。レオも殴る蹴るの攻撃を加えるが、一向にとどめを刺そうとはしない。
 レオ対レンボラーを見守る子供達も、レオに声援を送るのだが、おおよそ死闘には程遠く、コロ星人に至ってはどっちの味方をしているか分からない観戦態度だった。トオルが「今度はボクシングだ!」と叫ぶとレオは頷き、制御不能状態のレンボラーも何故かこれに応じた。
 途中、カオルがラウンドガールを務める悪ノリ振り(←水着は着ていません、念の為)で、第2ラウンドが示されたことでレオが地球上では2分40秒しか活動できない基本設定まで無視されていた
 途中、両者ダブルノックダウンも交えながら展開された悪ノリ試合は7ラウンドに及び、レンボラーがノックアウトしたことでコロ星人が御釜をゴング代わりに乱射したことでレオの勝利が宣告された。

 コロ星人がタオルを投入したのを見届けたレオはコロ星人の尻尾が生えるまで攻撃を中止すると約束し、レンボラーは横臥常態で鎖にて拘束され、コロ星人は尻尾再生促進の逆立ちに戻った。
 翌朝、コロ星人の尻尾はかなり再生したが、まだ完全ではなかった。だが、レンボラーは目覚め、拘束していた鎖も引き千切られたため、隊員達を従えて見張っていたダンはやむなく梶田にレンボラー爆殺を命じた。
 だが、掛かる手段で怪獣を殺せる筈もなく、ゲンは再びレオに変身してこれに立ち向かった。しかしながら今度は格闘中にコロ星人の尻尾が再生し、レンボラーは再びコロ星人のコントロール下に入った。

 制御下に入ったレンボラーコロ星人の命じた通りに(言葉は発しないが)周囲に頭を挙げて謝罪の意を示した。そしてコロ星人はもうベッドから落ちない様にというダンとゲンの忠告、そして詫びの印として昭男から受け取ったドーナッツを手土産にコロ星へと還って行った。
 何とも傍迷惑な騒動はかくして終わった訳だが、懲りていないのか、それとも珍しい経験が貴重だったのか、子供達はコロ星人がベッドから落ちる原因となった音楽を鳴らしたり、ドーナッツを上空に掲げたりしていたのだった。
 かくして何とも緊張感に欠ける第23は終結。ただ、アクシデントを受けて尚もコロ星人が子供達に悪意を抱くことなく、レオもMACも不必要にレンボラーを攻撃しなかった展開は大人の対応として評価出来るだろうか。


余談 この第23話でコロ星人の声を当てた故高橋和枝さんは『サザエさん』において28年の長きに渡って磯野カツオの声を務めたことで超有名である。
 残念ながら平成10(1998)年に同役を降板し、翌年に亡くなられた訳だが、同役を引き継いだのは冨永みーなさんで、この『ウルトラマンレオ』でカオル役を演じた冨永美子さんである。
 何とも奇しき縁ではあるまいか。


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令和二(2020)年一〇月五日 最終更新