仮面ライダーOOO全話解説

第22話 チョコと信念と正義の力

監督:田崎竜太
脚本:毛利亘宏
 前回の「3つの出来事」は「1つ、司法試験を失敗した男・神林の正義を望む欲望からヤミーが誕生。2つ、バッタヤミーが人助けをした。そして3つ、最後の一撃を放とうとするOOOの神林が立ちはだかった。」というものだった。

 そして前回の続きから始まったが、結局バッタヤミーの前に立ちはだかる神林父子を前にOOOはどうすることも出来ず、その隙にウヴァバッタヤミーはトンズラ。神林も「俺達の邪魔をしないでくれ。」と云い残し、隆を連れてその場を去った。
 こうなると根本の純粋さや正義感は失っていなくても、常軌を逸してしまっている。神林はそのまま警察がメスを入れられなかった楠瀧興業なるヤクザの事務所に乗り込んだ。
 案の定、チンピラやくざどもはバッタヤミーに次々と叩きのめされたが、どうでもいいが、チンピラキャラややくざの三下キャラが掃討を受ける際、「何だテメーは!?」以外の台詞を誰か聞かせてくれないだろうか?(笑)

 その頃後藤は、必死に体を鍛え、バースバスターの試射も行っていた(←以前に比べれば、かなり反動に耐えられるようになっていた)。その間も後藤の脳裏には前回の隆が云っていた「悪い奴がいてもいいの?」の台詞が生んでおり、後藤は「良い訳が無い。」と一人言を発していた。
 ここでOPになったのだが、人一倍正義感に苦しむ後藤が同神林父子と対峙するかが楽しみである。

 場面は替わって鴻上生体工学研究所の所長室。ここでは伊達とDr.真木が真っ向から対立する価値観を巡って醜い争いが繰り広げられていた。
 後藤に渡したバースバスターの代わりに2台目を持って行こうとした伊達に対し、Dr.真木は「他人に渡されては困る。」と云ってこれを止めようとした。Dr.真木の中ではバース装着員になる条件を蹴ってまで自分を拒絶した後藤は「他人」なのだが、伊達は「青い正義感」が結構気に入っていると云う。
 また室内に飾られた「終末」を描いた絵を「こんなのがあるから陰気なる。」として、「終末」よりも「誕生」を好む伊達は(勝手に)外そうとするが、勿論「終末」を理想とするDr.真木は全力でこれを阻止せんとした。

 その頃、順調に「悪い奴」をぶちのめし、悦に入る神林父子の前にウヴァ (人間体)が現れた。自分に力を与えてくれた相手と知って、礼を述べる神林だったが、ウヴァは不要だという(←勿論わざわざ現れる以上は何か企んでいる筈なのだが)。
 そして視線を隆に移したウヴァは良い笑顔で「お父さん、悪い奴いっぱいやっつけて凄いな!」と語り掛けた。勿論子供心にこういう台詞は凄く嬉しいものがある。また隆に笑顔を見せるウヴァは普段と同じ服装・髪型なのに凄く人懐っこかった。この辺り、役柄になり切る職である俳優・山田悠介氏の力量が凄く良く表れていて感心した
 いずれにせよ、ウヴァは父子の心を上手くくすぐり、更なる悪人誅罰を唆し、神林も次は黒崎代議士なる悪徳政治家を標的に定めていた。

 場面は替わってクスクシエ。知世子さんから神林の近況を聞かされ、正義感の暴走について分析していたら後藤が、「悪いやつをやっつけるヤミーなんだよな?それでも倒さなくちゃいけないのか?」と投げ掛けて来た。それに対し、メダル第一のアンクは「倒さなければメダルは手に入らない。」と己が立場を述べた。
 自己中なアンクはさておき(笑)、この難しい命題に映司は躊躇うことなく、「倒さなくちゃいけません。」と云い切った。「何故?」と、詰問口調ではなく純粋な疑問として投げ掛ける後藤に映司は、

 「いっぱい見てきた。誰かを守りたいという気持ちや、自分達の正義を守りたいという気持ちはどんどんエスカレートすることがある。正義の為なら人間はどこまでも残酷になれるんだ。」

 という持論を述べた。
 この映司の台詞をフィクションの1コマとして一笑に付すことは出来ない。これは現実世界においても極めて重大なテーマである。分かり易い例を挙げると宗教テロである。テロリストの肩を持つ気は一切ないが、連中のほとんどは彼等の「正義」に駆られて「正攻法では通じない」と思った時に「手段を選べない。」としてテロに走る。根が純粋で、「正義の為」と猛進しているから如何なる不利に在ろうと諦めないし、「敵」と見ればどんなに残酷な手段でも取るし、女・子供・老人・病人にも容赦しない。
 それこそ一括りにするのは危険だが、イスラム教でも、キリスト教でも、そして仏教でも残忍なテロを起こす者には、所謂、「原理派」が多い。そして彼奴等はその純粋さゆえに、自分達が間違っているという疑問を一切抱かないだけに、利権で動く輩より厄介である(最悪、殲滅するしかない)。
 話が逸れまくるついでに、当菜根道場が人生に指南書としている『菜根譚』にある言葉を紹介したい。
 それは前集の一八七にある、
 「縦欲の病は医すべし、而して執理の病は医し難し」(原文:縦欲之病可医、而執理之病難医)
 というものである。意味は、
 「『欲望』という名の病は周りの環境に影響されることもあり、何かのきっかけで矯正されることもありますが、『理屈』に凝り固まった理屈っぽい、頑固、自己主張というタイプの病は、人の意見に耳を貸さないゆえに治し難い。」
というものである。かなり脱線が過ぎたのでこれ以上の解説は割愛するが、何かの縁でこの頁を見て下さった方々には、一度は真剣に考えて欲しい言である。残念ながら、道場主=シルバータイタンの「執理の病」はかなりの重症である(苦笑)。

 ともあれ、映司は「取り返しがつかなくなる前に。」と云って、アンクとともに神林を探しにクスクシエを飛び出した。

 場面は替わってとある料亭。そこでは神林が狙いをつけていた代議士・黒崎が企業の関係者らしき者から正に賄賂を受け取っていた。
 自社に有利な工作を依頼する企業主に、「私は政治家なんだよ。ふふっ、そんなことをすると思うのかね?」と笑いながらほざく黒崎に、企業主は酒を注ぎながら「はい、思っおります(笑)。」………………これが現実と変わらないから日本の政治家は本当に情けない(怒)。漫才やってんのか、こいつ等?
 背後の掛け軸に掛かれている四字熟語が『信賞必罰』なのは、絶対狙った皮肉ですよね、制作陣の皆様?(笑)
 ただ、このシーンを見ても恥を覚える政治家なんてほとんどいないんだろうなぁ(嘆息)。

 いかん、いかん、どうも今回は私情を挟んでしまうところが多い………話を戻すと、そこに神林父子が現れ、例によって「悪い奴は許さない。」とばかりに襲撃が始まった。

 その頃、バースバスターの訓練を行いながら後藤と伊達の会話が為されていた。後藤は伊達に何のために戦うのかを尋ね、「1億円」の為、と聞くとそれを何に使うのか?と聞くも伊達は回答を拒否。逆に後藤はなんのために戦うのかと聞かれ口籠った。
 以前の後藤なら躊躇うことなく「世界の平和の為」と答えただろけれど、警察官でもなく、ライドベンダー隊隊長の任も放棄状態で、地位も力も自身もない後藤には答え難いのだろう。だがそんな後藤に伊達は「自分に自信を持て。道を間違えたら誰かが教えてくれる。だから自分を信じて自分のやりたいようにやれ。」と云った。
 自由を尊重しつつも、周囲の声に聞く耳を持てと云っているところが単純な自己中とは大きく異なる。「間違っていたら誰かが教えてくれる。」という台詞はある程度人格を認められる人間でないと云ってやれない台詞でもある。同時に、後藤が周囲の意見に耳を貸さない人間だと思えば、「やりたいようにやれ。」とは決して云えない。今週は本当に重い言葉が多いな、映司と云い、伊達と云い(笑)。

 その頃、クスクシエを飛び出した映司とアンクの方だが、例によってアンクがヤミーの気配を察知した。伊達もゴリラカンドロイドからの通報を受け、後藤に「実践訓練だ!」と告げ、後藤も無言ながらも生気を取り戻した表情で首肯した。
 そして現場である料亭では黒崎がバッタヤミーに締め上げられ、企業主が必死に神林に許しを乞うていた。自分一人で逃げない企業主もどこか悪に染まり切っていないし、必死に謝る相手に「悪いことをしたのはお前等だ!」と云いつつもどこか気まずそうな神林もまだまだ人間臭さを残していた。
 そこへ料亭に駆け付けた映司がのっけからガタトラに変身。そのOOOに「邪魔をしないでくれって云っただろ!」と抗議する神林だが、OOOは哀れなまでに逃げ惑う企業主を差して、「あれが神林さんの考える正義ですか?あれがやりたかった事なんですか!?」と怒鳴りつけると、隆を連れて逃げるよう促してバッタヤミーに向かって行った。

 根が善人の神林は一方的な暴力に迷うところが大きかったと見える。OOOに勧められた様に隆を連れてその場を去ろうとしたが、そこにウヴァが立ちはだかった。勿論先に隆に投げかけた笑顔はない。そしてグリード体になったウヴァは神林を張り倒すと隆を捉え、これを人質としてOOOに取引を持ち掛けた。勿論隆とコアメダルの交換である。
 案の定、アンクは「バカなこと考えるなよ。」と云って止めようとするが、OOOが、否、仮面ライダーがメダルと子供のどちらを優先するかは視聴者にとって愚問だろう(笑)。OOOから戻った映司はウヴァに約束反故が無いよう、「同時にだ。」と云うって、互いの所有対象を放り出すよう提案しつつ、裏ではしっかりクジャクカンドロイドを用意していた(笑)。
 勿論、約束違反なのだが、ウヴァに守る気が無かったから用心としてもこれは許容範囲だっただろう。だが、果たしてウヴァは約束を反故にして再び隆を捕らえ、映司が放り投げようとしたクジャクカンドロイドは飛び出したアンクと衝突したため、コアメダルだけが一方的に奪われてしまった!

 幸い、隆はメダルを奪ってニンマリするウヴァの隙を突いて映司の元に駆け付けて来たが、映司はOOOに変身出来ない……。バッタヤミーに抗し得ず、アンクも散らばった1枚である黄メダルを見つけるもウヴァに踏んづけられる始末。「お前等の仲が悪いおかげで助かったよ!」とグリードに云われるとは何とも皮肉である。メズールガメルに云われるならまだ分からなくもないのだが、ウヴァやもんなあ……(苦笑)。
 ともあれ、そんな八方ふさがり状況に神林がウヴァに人が傷つくことが耐え難いことを理由に止めてくれと懇願するも、勿論聞き容れるウヴァではない。だがそこに伊達&後藤のバースバスターコンビが来援。
 「手助けが必要かぁ?」と尋ねる伊達に「お願いします!」と答える映司が素直でいいぞ(笑)。そして伊達はバースバスターを掃射しながらバースに変身。映司は神林を、後藤は隆を退避させに掛かった。
 これを見たウヴァバッタヤミーも退却に掛かり、バースはこれを追った。

 その場に残り、神林を介抱する映司の胸倉を掴むアンク。云いたいことは書くまでもない(笑)。先手を打って「必ず取り戻すから!」と云う映司に、「ガキの命とコアメダルどっちが大事だと思ってんだ!」と詰問するアンクだったが、詰問が終わる前に映司は「命!」と叫んでいた。まあアンクも分かっていても詰問せずにはおれなかったという心境だろう。グリードである彼にとって、「コアメダルは俺にとって命だ…。」と少し悲しげに云われるとチョットだけアンクにも同情するが、「分かってんのか!?」と叫びながら振り返った時そこには映司と神林の姿はなかった(笑)。

 そしてその映司と神林は料亭の一角に避難していたが、落ち着きを取り戻した神林は始まりとは少し異なった自己嫌悪に陥っていた。
 そんな神林に映司は、
 「誰が正しくて誰が間違ってるってとっても難しいことだと思います。自分が正しいと思うと周りが見えなくなって、正義の為なら何をしてもいいと思ったり…きっと戦争もそうやって起こっていくんです。」
 と述べた。「戦争に巻き込まれない為に軍備を増強するんだ!」、「核戦争を起こさない為に核武装するんだ!」と叫ぶ人達に聞かせたい台詞である。
 古今東西何処の世界にも表立って「侵略」、「領土拡張」を外部に声高に叫んで軍備増強や軍事独裁を行う者などいない。あからさまな侵略戦争でさえ、「領土保全」、「自国民保護」、「我らが信仰を守る!」という大義名分が掲げられ、「悪」を自認した独裁者など皆無である。

 ともあれ、映司の云うことに理解を示しつつも、「悪い奴等を放っておけない。」とする神林。それに対して映司は「目の前で起こってる事に一生懸命になるしかないんです。小さな幸せを守る為に。自分が出来ること以上のことは出来ませんしね。」とした。
 確かにこれは神林が続けていったように難しい問題である。だがそれに対して映司は「でもやるしかないんです。自分にかかわった人、皆を幸せにする為に。(チラッ)そうすればひどい奴もきっと分かってくれます。」とした。
 ちなみに話中の「チラッ」というのは、映司が遅れてやって来たアンクを見たもので、すかさずアンクは「今一瞬、俺を見たろ!?」と詰め寄って来た。
 アンクよ、「ひどい奴」に自覚があるだけ、お前はまだましなキャラクターだ(笑)。

 一方、バースの追撃をかわし切れないと見たウヴァバッタヤミーにバースを迎撃させると、自分はその場をだち去り、次なる目的の為に隆の方へ向かった。
 その隆はどこぞの工場で後藤の保護を受けていたのだが、彼もまた落ち込んでいた「お兄ちゃん、やっぱり僕間違ってたのかも?」と述べる隆に、ここはここで別の説教が始まった。
 「世界を守りたい、俺はそう思ってる。」(後藤)
 「お兄ちゃんが?」(隆)
 「ああ。けど今の自分じゃ力が足りない。無理なんだ。でも俺はそうしたいと思った気持ちを信じる。自分を信じる。」(後藤)
 「自分を信じる?」(隆)
 「そうだ、自分を信じろ。隆はどうして良い事をしたいと思った?どうして?」(後藤)

 と云った会話が交わされ、隆が答えようとしたその刹那、ウヴァが襲い掛かって来た。勿論後藤が隆を庇って迎え撃たんとしたが、接近戦に持ち込まれてはバースバスターも思う効果が挙げれず、おまけに触覚から放たれる電撃で隆も逃走を封じられた。
 ウヴァの目的は神林に続き、隆の欲望も使って更にヤミーを生み出そうとするもので、隆の額にもメダル投入口が浮かび上がった!後藤が取り押さえに掛かるもさすがに生身ではグリードに抗し得ない。「正義の味方になりたいんだろう?」という殺し文句で隆の欲望を解放しようとするウヴァだったが、後藤が「隆!どうして良いことをしようと思った?答えろ!」と尋ねたことで状況が変わった。
 「悪は許さない」という隆の正義感は、それ自体を幼い心から願ったものではなく、「お父さんに帰ってきて欲しかったんだ!」という純粋な親子の愛情から来たもの。それを隆が口にした途端、メダル投入口が消えた。
 というのも、隆のこの「欲望」はウヴァの期待を裏切るものだった。個人の望みレベルの欲望ではヤミーを生み出すのには不充分だったのだ。

 当てが外れてがっかりするウヴァの間隙を縫って後藤がバースバスターを掃射。不意を打たれたウヴァが後退したタイミングで映司とアンクもやって来た。
 助けられる立場なのに「遅いぞ!」と文句を云う後藤もまだ人間が出来ていないが、ともあれOOOに変身使用した映司。ところが、メダルが2枚しかない!それしかないと惚けようとしたアンクだったが、このままではどうしようもない。「絶対取られんなよ。」と云いながら出そうとした赤いメダルは台詞を言い終わる前に映司に取られていた(苦笑)。

 かくして映司はタカトラコンドルタカトラドルに変身。やはりコンドルのメダルが持つ影響力はかなりのもので、攻撃の軌跡を残像に残して連発される蹴り技は途中でバッタヤミーが加勢に駆け付けて尚、互角以上に渡り合った。だが3人の戦いが激しさを増す中、3人がもんどりうってコンクリートの壁に衝突するとその崩壊は広範囲に及び、崩落を隆が襲った!後藤の助けも間に合わないかと思われたが、すんでのところで隆は他ならぬ父・神林に救われた!
 助け起こす後藤に、「自分の幸せは…自分で守る!」と云い切る神林進………かっこいいじゃないか……。かくして後藤に促されてその場を退避した神林父子の危機は去った。

 そして戦闘もいよいよ終盤。2対1でも優勢に戦いを展開していたOOOにバースが加勢した段階でほぼ勝負は見えた。バースはドリルアームとクレーンアームの同時使用で遠距離からのドリル攻撃を展開。セルメダルシステムによる攻撃など効かない、と余裕をかますウヴァだったが、ドリルアームはダメージや痛みを与えていない様に見えてその実、ウヴァのセルメダルを着実に削っており、いつのまにか彼の持つコアメダルは剥き出しになっていた。
 「ははは。セルメダルだって大量に剥ぎとりゃダメージになるだろう?アンコ、今だ!」と促すバースに、その頭を腕だけの常態ではたきながら「俺の名はアンクだ!」と抗議するアンク。バースが分かっていて云っていることぐらい認識しているだろうに、ツッコミ体質の抜けない奴である(笑)。ともあれ、この好機を逃さずアンコ…じゃなかった、アンクは青と緑のメダル強奪に成功した。思わぬ不覚を取ったウヴァは逃げるしかなかった。

 直後、OOOもバッタヤミー相手に優勢に勝負を進めていた。電撃で少しはOOOを手こずらせたバッタヤミーだったが、アンクが駆け付けてクジャクのメダルを投げ寄越し、ダジャドルコンボに多段変身するともはや勝負は決まったも同然だった。
 先週披露できなかったギガスキャンに赤い3枚のコアメダルが装填され、スキャニングチャージを終えた瞬間、宙に浮かんだタジャドルの全身から凄まじい猛火が発生。それが見る間に火の鳥を形作るマグナブレイズ(設定破壊力100t!)が発動!
 バッタヤミーも負けじとライダーキックで対抗せんとしたが、戦力差は歴然で、一瞬して蒸発させられた。
 着地時にも一瞬羽根を大きく広げ、周囲には全く害をもたらさず終結したこの大技の完成度は素晴らしく高い。まあそれだけに変身解除後の映司の体力は著しく奪われていたが、勝負がついた後ならこれも没問題(No problem)だろう。
 後はバースとアンクが先の協力体制も忘れ、「それとこれとは別だ!」しながら醜いセルメダル回収合戦を繰り広げていましたとさ(苦笑)。自分を振り返らないアンク、後藤&神林未満(笑)。

 かくして「正義」という重いテーマを巡って、ストーリー的にも、思想的にも、シルバータイタンのツッコミ的にも濃密な展開の続いた第22話も無事に、そしてきれいに終了した。自宅に戻った神林は妻子を伴ってクスクシエへ御礼に来店した。
 そこでは如何にもモテなさそうな風貌の常連客が知世子さんからの(義理)チョコをあからさまに喜び、天使に扮した映司と後藤が佇んでいた(笑)。
 ともあれ、父が帰って来ることを告げる隆にそれまで無表情だった後藤が「良かったな。」と答え、神林は「みんなの小さな幸せを守るため。」に弁護士を目指して家族とリスタートすることを告げた。
 神林が神林らしさを取り戻したことを喜んだ知世子さんは「門出を祝って。」と称して義理チョコの大判振る舞い。個人的には仏教徒でキリスト教行事は関係ないと思っている上に、お返しの必要な虚礼義理チョコに散々嫌な思いをしてきた方だから、単純に神林父子に対する祝福だけで見ていたが、このチョコレートを巡っていきなり映司が幼児化した。
 知世子さんからのチョコを貰った後藤を「赤くなっている」とからかい、比奈からチョコを貰うとアンクに自慢しに走るというお子ちゃま振り。だが既に比奈から渡されたチョコアイスを手に御満悦のアンクも負けずにお子ちゃまでした、と(笑)。
 かくしてこれまでのストーリーにおいて屈指の名作に仕上がった第22話終了!


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令和三(2021)年五月二日 最終更新