仮面ライダーOOO全話解説
第33話 友情と暴走と残されたベルト
監督:石田秀範
脚本:毛利亘宏
冒頭のダイジェストでは、Dr.真木が持ち出した紫のコアメダルから、暴走とプトティラコンボが生まれたことが触れられた。
そして話はいきなり戦闘から始まった。既にバースとプテラノドンヤミー(雄)(←前話ラストでDr.真木が生んだ分)が交戦中で、カザリが例のウザい笑顔で遠巻きに見ていた。程なく駆け付けた映司、そしてアンクの「またこのタイプか!?」という台詞から、同じタイプが既に何体か現れているようで、カザリも2人の到着を待ち構えていたようだった。
プテラノドンヤミー(雄)はプトティラコンボに完敗したとはいえ、ヤミーとしてはさすがに強く、バースは一騎打ちにで明らかに劣勢に立たされていた。バースはOOOの暴走を懸念して加勢を断ったが、映司は暴走時には自分を撃てと告げてOOOに変身。その背後ではアンクが紫のメダルの力があれば身体を取り戻せるかも知れない、と腹に一物抱えていた。
そして戦いは2対1故に格闘ではWライダーが有利に立ったが、電撃を放たれるとOOOの変身が強制解除、後藤が加勢しようとしたが、この時が好機とを見たアンクは後藤を止め、わざと映司を危機に陥らすことで紫コアメダルが出てくるのを待ち構えた。
目論みは半分図に当たり、映司の体からは紫コアメダルが飛び出して、プテラノドンヤミー(雄)を弾き飛ばし、アンクは紫コアメダルの掌握に成功した。だが紫コアメダルが持つ力はアンクに制御出来ず、握り続けることが出来なかったという意味ではアンクの目論見は外れだ。
結局前回同様、紫コアメダルは自動的に映司をプトティラコンボに変身させ、OOOはプテラノドンヤミー(雄)をパンチ一発で瞬殺したはいいが、バースに襲い掛かるところまで前回と同様だった。
何とかバースに加勢せんとする後藤は、その場にカザリがいるのに気付いて一計を案じると、至近距離に詰め寄ってOOOを銃撃。これはOOOの意識を自分に向けさせるもので、後藤は自分に襲い掛かろうとするOOOがその背後にいるカザリを襲うように誘導した。
タジャドルコンボと互角の戦闘力のカザリでは、プトティラコンボを相手にするのは分が悪く、勿論カザリはトンズラ。OOOはタイミングよくエネルギー切れを起こし、変身を解除すると映司は地面に倒れ伏した。
そしてカザリとは異なる場で死闘を観戦していたDr.真木は自分とOOOのどちらが終末を呼び込むのに相応しい存在なのかと自問自答していた。
伊達と後藤に連れられてクスクシエに帰還した映司。意識を取り戻して尚、苦痛を残す映司を見て、後藤は自分と伊達とで戦うから当分戦うな、というのに対し、アンクは人間ごときがグリードに勝てない、その勧めを拒否して紫コアメダルを制御できない映司を詰った。
云われた映司は、最前作戦に失敗したお前に云われたくないとばかりに掴みかかり、結局全員が割って入った比奈の怪力にぶっ飛ばされ、KOされた。
お約束は良いが、知世子さんが入室した時に、映司、伊達、後藤の野郎三人が同じベッドに入って「何でもありません。」とにこやかに微笑む姿は気持ち悪かったぞ(苦笑)。
ともあれ、知世子さんの入室は映司への手紙を知らせるもの。差出人は高校時代の親友を名乗る者だった。中身は近々開園予定のレジャーランドの招待券だったのだが、映司はメッセージカードに書かれた北村雄一という名前が思い出せずにいた。
その頃、クスクシエの門前ではその北村雄一(中山卓也)が映司の名を呟いていたが、親友を尋ねて来たにしては妙なほど無表情だった。
OPが終わり、レジャーランドには映司、比奈、後藤、伊達、アンクの5人でやって来た。ちなみにアンクまでついて来たのは、次こそ紫コアメダルを逃さない為に映司に張り付く為らしい。
ともあれ、程なく映司は北村に再会(?)した。だがやはり映司は思い出せない。「俺のこと思い出せないのか?冷たいなぁ。」と云いつつも、北村は隣のクラスだった上に引きこもりだった自分が覚えられていないのも無理はない、と勝手に結論付けた。
「ほら、よくノート届けてくれただろ?」とまで云われてようやく思い出したようで、両者は旧交を温め出した。何でも北村は若手ベンチャー企業の社長で、大手レジャーランド経営にも乗り出していて、新設のレジャーランドは彼の所有だという。驚く一同に北村は引きこもりの自分が立ち直り、出世できたのも高校時代のお節介な映司の感化あってのことで、今回の正体はその御礼でもあった。
やがて北村は仕事に戻り、一行は純粋にフィールドあすれっちっくを満喫開始。アンクを除く4人はそれぞれに楽し気(一番はしゃいでいたのは伊達)だったが、その一行をカザリとアンク(ロスト)が虎視眈々と狙っていた。アンク(ロスト)にアンクを吸収させたいのだが、制御し切れていないとはいえ、プトティラコンボと戦うリスクをもう冒したくなくて映司とアンクが離れる機会をうかがういやらしさが何ともカザリらしい。
そして一行がアスレチックに興じる中、危機が訪れた。巨大迷路を一着でゴールインした比奈に大網が被せられ、悲鳴と鞄を残して比奈が消息を絶った。展開からするとカザリかヤミーの仕業と見たいところだが、アンクにもゴリラカンドロイドにも反応は無し。
映司、伊達、後藤は三手に別れて比奈を探す中、映司の動きを双眼鏡で追う者がいた。その正体は北村。映司の様子を見て、「よし、そろそろ。」と云いながら移動しようとした北村は自分の眼前に立ちはだかる子供−アンク(ロスト)に気付いた。園の責任者らしく、迷子か?と訝しがる北村だったが、アンク(ロスト)はメダルを投げつけ、白ヤミーが生まれた。果たしてこの男に如何なる欲望があるのだろうか?(企業の経営者だから、欲望があって当たり前という気がするが……)。
ともあれ、異様な事態に腰を抜かす北村にカザリは「面白い欲望持ってる」として、自分の云うよう唆した。
勿論ヤミー誕生はアンクとゴリラカンドロイドの察知するところとなり、アンクと伊達は白ヤミーの元へ走った。だがそれに気付かない映司は比奈を探して奔走する内に北村と遭遇した。
連れが行方不明と聞いて、協力を申し出る北村。どうも映司を騙すことで欲望が叶っているらしく、バースと交戦中だった白ヤミーはフクロウヤミーに成長した。
フクロウヤミーの翼力はかなり強く、バースを吹き飛ばすと変身を解除するほどの突風を起こし、バースドライバーの外れた伊達は黒い帯にぐるぐる巻きにされて拉致されてしまった。
その頃、映司は北村の誘導で、拉致された人が監禁されそうな園内各所を、比奈の姿を求めて走り回っていたが、北村は突如、映司に自分の会社に来ないか、と勧誘し出した。
「一緒に世界の恵まれない子供達を救う事業を立ち上げたっていい。」という提案は普段の映司ならのめり込みそうだが、映司ならずとも「こんな時にどうしたんだ?」というけったいなタイミングである。だが北村は映司の周囲にいる者達を、映司を利用しているとして、自分は利害ではなく、映司がより映司らしくいられるように尽力する、「本当の親友」として動きたいという。自分を変えてくれた映司の為に。
何ともタイミング的にはおかしな告白だが、それでも比奈を必ず見つける、とする北村の好意に感謝しているところに、アンクから放たれたタカカンドロイドが飛来。それを見た映司は北村に謝してカンドロイドを追ってその場を去った。
アンク、後藤と合流した映司はフクロウヤミー出現、伊達がベルトを残して拐われたことを知った。だが鳥系ヤミー出現にこれを追うことを優先するアンクに対し、映司は比奈捜索を優先すると主張したため、両者は喧嘩別れして、別行動になった。
不貞腐れ、単独で彷徨うアンクの前に北村が現れ、映司の前から消えるよう要求して来た。勿論聞く耳を持つアンクではないのだが、映司への想いを語る北村がヤミーの親と気付き、にじり寄った。だが、北村の論に気を取られていたアンクはその場に仕掛けられた罠に気付かず、地中に埋められた網に救い上げられ、囚われるというベタな罠にかかった。
そしてアンクに捨て台詞を吐きかけ、北村は映司に再度合流すると比奈がいそうな場所に目星がついたと告げた。アンクを捕らえた手口から、比奈を捕らえたのも北村と推測されるのだが、映司はまだ北村を信頼していた。やがて案内された場所で映司は気絶していた比奈を発見。だが比奈の介抱に掛かろうとした映司にフクロウヤミーが襲い掛かって来た。
伊達とアンクを欠いた状態では映司と後藤は、北村に比奈を連れて逃げるよう託して生身で戦うしかなかったが、それで敵うほど敵は甘くなかった。
その頃、アンクは何とか自分を拘束する網を破り、ヤミーを追ったが、映司と後藤はフクロウヤミーによって空中でダブルネックハンギングツリーに囚われる始末。映司はプトティラコンボ発動を試みんとしたが、後藤は暴走時に自分では止められない、としてこれを制止した。
ならば後藤がバースになるべき、と映司は促したが、後藤は自信が持てず、プテラカンドロイドを放つも、カンドロイドともに伊達同様黒布拘束を食らい、結局映司は瞳を紫にしてプトティラコンボ発動…………となりかけたが、そこへアンクが駆け付け、「変身するならコイツにしとけ!」と白のコアメダル3枚が投げ込まれ、それらが紫コアメダルを弾いたため、プトティラコンボ発動は避けられ、久々のサゴーゾコンボ発動となった!
久々の登場とあってか(笑)、サゴーゾコンボは殴り合いで完全にフクロウヤミーを圧倒。秒殺してもおかしくないほどだったが、後一歩のところでフクロウヤミーは簀巻きの後藤を盾にしたため、逃げられた上に後藤まで攫われた。
そこへ北村が気付いた比奈を伴って現れ、「いつもあんな危ないことをしてんのか?」と詰問調に述べ、映司への再勧誘を始めそうに見えたが、そこへ(北村にとって)いない筈のアンクが怒気を孕んで現れたため、北村は大いに狼狽えた。
勿論、アンクを罠に嵌めたことをしゃべられるとまずいことになる。だがアンクは睨みつけるだけで、映司はまだ信用し、礼を述べ、伊達と後藤の行方に気を取られていた。居た堪れなくなってその場を逃げ去る北村。そしてそれを遠巻きに見ていたカザリが「フフフ…アンク、次に消えるのは君だよ。」とキショい笑みを浮かべ、その背後では樹上のアンク(ロスト)もまた子供にしては君の悪い笑顔を浮かべたところで以下次週へ。
ちなみにここまで言及していなかったが、人間の子供体でのアンク(ロスト)はこの時点に至るまで一切喋っていない。
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令和三(2021)年五月五日 最終更新