仮面ライダーOOO全話解説

第5話 追いかけっこと巣とセレブ

監督:金田治
脚本:小林靖子
 「ここまでのハイライト」は「800年の封印中に人間が進化したことを語るカザリ」、「欲望を制御出来ない人間見下すアンク」、「人間の進化を述べてアンクと対峙する後藤」、「兄の変化に戸惑う比奈」、「過去の後悔から「手を伸ばす」ということにこだわりを見せる映司」だった。

 前話の最後に現れた里中。巨大タブレットに映る人物が鴻上ファンデーション会長・鴻上光生であることを紹介し、アンクは彼が「人間のクセにメダルを集めている」人物であることを悟った。
 巨大タブレットは一種のテレビ電話となっており、鴻上会長は映司とアンクに商談を持ち掛けた。取引条件は、鴻上ファウンデーションが映司達にバイクや武器といった装備を提供し、その見返りとして映司達が戦いで得たメダルを財団に提供する、というものだった。
 但し、財団側の取り分は「回収した分のほんの70%だよ。」だったから、暴政大名の七公三民もびっくりのぼったくりである (笑)。
 いくら詳細が明らかになっていないとはいえ、「稼ぎの7割を持っていかれる」となると、アンクならずとも「ふざけるな!」と言いたくなるだろう(笑)。だが凄んだアンクには横合いから後藤が威嚇射撃した。
 一方の映司は、里中から手渡されたカンドロイドの詰め合わせに夢中になっていた。特に緑色のカンドロイド(=バッタカンドロイド)が通信機にもなるのが御満悦の模様。
 結局、鴻上会長はすぐには交渉が成立するとは思っていなかったらしく、「何故メダルを集めるのか?」と問う映司には答えをはぐらかし、財団が今後必要になることを、アンクに返事は後日と告げて、里中を引き上げさせた。

 場面は替わってグリード達の隠れ家。アジト(?)ではカザリ (橋本汰斗)、ウヴァ (山田悠介)、ガメル(松本博之)達が人間達に怪しまれない為、人間の姿を取っていた。ちなみにメズールは外出中で、彼女だけ戻っていないのは「気に入った人間がいないのかも。」とのことだったから、他の3体も人間を乗っ取ったものと見える。
 ちなみにカザリの姿は銀髪・セミロングで派手な服を着たチャラ男系。ウヴァは緑の皮ジャンを着て、茶髪をオールバックにしたやや強面。ガメルはメッシュの上着を着て、髪は色も型も普通の大男。カザリが一番怪しまれそうだな(笑)。だが人間体にしたのはカザリが前回のアンクを見習ったものらしい。最初に見習った奴が一番怪しい恰好をしていては世話無いな(笑)

 そしてすぐに場面は替わって、どこぞの高級マンション前。そこではタクシーから降りた1人の女性(寉岡萌希)が運転手から大量の買い物袋を受け取って、御満悦な表情をしていた。取り敢えずその表情で、セレブっぽく振る舞って入るが、セレブでないことは分かる(笑)。
 その女性がエレベーター待ちをしていたところ、背後からセーラー服の少女(未来穂香)が声をかけてきた。少女は女性に大量の物を全部買ったのか?と問えば、女性は「たくさん?これっぽっちで?」と訝しがった。すると、少女はメズールと化し、「その哀しいまでに大きな欲望…気に入ったわ。」といって、女性の額にセルメダルを挿入した………………って、え〜!!!!この少女がメズールっっ!?!?ガメルとの会話からもっとお姉さんっぽい人を(個人的願望からも)期待していたのに………………。
 ちなみにメズール役の未来穂香さんを調べてみたら放映当時13歳……………比奈ちゃんでもストライクゾーンを大きく外れているのに、それより更にガキ………………いやいや、シルバータイタンの個人的願望は置いておこう。ともあれ、メダルを挿入された女性は気が付けば自室にいた。
 その室内は大量の衣服やバッグで溢れ返っており、金持ちなのも間違いなさそうだが、買い物依存症であることはもっと間違いなさそうだった。そして室内では卵塊の様なものが育ちつつあった。そしてそれを密かに観察し、ほくそ笑むメズールの狙いや如何に?

 翌日、場面は替わって比奈の通う専門学校(←服飾系らしい)。そのビル前で比奈は以前遅刻しそうになった時に車で送ってくれた泉刑事の記憶を思い浮かべ、その身、その行方を案じていた。
 事情を詳しく知らない比奈の旧友、七美(伊藤れいこ)、結花(森林永理奈)が、塞ぎ込む比奈を半ば兄離れ出来ていないとからかい、半ば励ましていたところ、話に気を取られていた比奈は、昨日のセレブ気取り女性―級友の山野遥とぶつかった。
 ヤンキーやスケ番ほどではないが、ぶつかったことに「気を付けろ」的なクレームをつけた山野は、ぶつかった際に落としたマフラー(?)を「それ昨日買ったばっか。」という一方で、クリーニングするという比奈に、もう要らないからあげるという矛盾した回答が返ってきた。
 「安物だけど少しはマシかもね。」と一言、二言余計な嫌味を付けくわえながら比奈に着ることを勧める山野。う〜ん……前作ならドーパントになること確定な女だ(苦笑)。
 七美と結花も、山野の金持ちを自慢するような感じの悪さを、「お嬢様学校にでも入れって。」と揶揄していた。

 場面は替わって、どこぞの建物の地階階段。映司の所持金残高を巡ってアイスの食い過ぎ云々でアンクと揉めていたところに、アンクが妙な気配を感じ取った。
 その気配はただならぬものらしく、アンクは自分からメダルを渡して相手が現れてもいないのに変身を促した。そして戸惑いながらも変身したOOOの前に現れたのはメズールだった!
 久々の邂逅となるアンクとメズールは、メズールが中途半端な復活でも相変わらず目敏さに長けていることを揶揄すれば、アンクはメズールのじめじめとした気配(←水棲系だからか?)を揶揄し返した。
 そしてアンクから、メズールがグリードの1人であることを知らされたOOOはメダジャリバーを抜いて格闘となったが、メズールは驚異的な素早さでOOOの攻撃を易々とかわすと、高所に身を移し、「OOOの坊や、またね♪」と告げて立ち去った。さては小手調べと言ったところだろうか?
 だが映司はメズールの「おちおち散歩も出来やしない。」という台詞から、別の目的があるのでは?と訝しがった。「ヤミーを仕掛けたってことかな?」と考えたが、アンク曰く、「そうだとしてもメズールのヤミーはそう簡単に見つからない。どこかに巣を作って人間の欲望を吸い取るタイプだからな。」とのこと。
 何処か分からないか?と尋ねる映司に、「さあな…。」と惚けたアンクの態度は明らかに芝居だったが、「おい、そんなこと言ってまたメダルが増えるまでヤミーを放っておく気だろアンク!どこにいるのか教えろよ!」と怒鳴りつけた映司も芝居だった。
 アンクの視線からマンションの高層階が怪しいと、映司は既に当たりを付けていた。何て目のいい奴だ(笑)。

 そして映司が駆け付けたそのマンションは山野遥の部屋で、そこに遥にマフラーを返しに来た比奈と鉢合わせた。
 映司は比奈にマンションに近寄ることが危険だと告げたが、それだけでは比奈にはどういうことか分からない(苦笑)。ところがその直後に緑色の皮ジャンを着た青年=ウヴァが現れ、グリード体に変身して襲い掛かってきたから、説明の手間が省けた形となった(苦笑)。
 ウヴァの目的は当然、前回奪われたメダルの奪還である。ただいずれにせよ、コアメダルをアンクに握られている状態では変身は不可能。映司は比奈を素早く逃がすと逃走しながらアンクと合流すべく連絡を取った。
 アンクも映司を討たれる訳にはいかない。自分が到着してメダルを渡すまで逃げ延びろ、と命じるとちょうど近くに設置してあったベンダーをバイクに変えて映司のもとへ急行……………って、800年封印されていたのにバイク運転できるのかよ!シルバータイタンは今バイクに乗りたくて堪らないが、8年以上運転してないから、次乗るの結構怖いのに………。
 するとすぐ横にあったビルのビッグビジョンから「我々の装備は役立っているだろう?」と呼び掛ける鴻上会長。逐一監視されているのも不気味だが、TVでも、携帯でも、タブレットでも、スマホでも画面さえあればいつでも話しかけられそうなのも、想像すると不気味だな(苦笑)。
 そう言われても機嫌や愛想が良くなる筈もなく、アンクは仏頂面のままバイクを走らせた。

 場面は替わって、山野のマンション前。取り残された比奈はそこで買い物帰りの山野と鉢合わせた。比奈は危険を告げよとしたが、マフラーを返しに来た、と思い込んでいた山野が「それはあげるって言ったじゃない。」というのはまあ分からなくはない。だが、それに続く台詞、「いるのよねぇ、観光気分でマンション観に来る人。まぁ気持ちは解るけど…。」が嫌味を感じさせる。
 もっともそう思う間もなく彼女の携帯が鳴った。掛けて来たのはアメリカにいるという彼女の父。わざわざ父親のいる場所を告げ、「ハロ〜パパ〜♪」と言いながら出るのがわざとらしくて、やはり嫌味だ。
 ところが、次の瞬間、彼女のセレブ気取りは関西弁へと急変した。電話の向こうの父親の声は全く聞こえないのだが、「え…倒産…?」で状況はモロ分かりであった。忽ち声が上ずり、「何…嘘言わんといてよ?ちょっとお父ちゃん!じゃあウチはどうなるん?仕送りは?バイトって…そんなん謝られても困るわ…ウチはどうすればいいんよ!」と、「父さんの会社が倒産」という、それこそ洒落ならんことが起きた訳であった。

 一方互いにライドベンダーに乗っていた映司とアンクは何とか合流に成功し、OOOに変身し、ウヴァとの戦闘に入った。「俺のメダルを勝手に使うな…返せ!」と怒りの露わにそれなりの強さを見せるウヴァだったが、アンクが「お前のメダル、1枚はカザリが持っていったって聞いてるか?」と叫ぶや、その動きが止まった。
 つまり先の戦いでOOOが奪われた1枚のコアメダルは元々ウヴァの所有物で、カザリはそれをウヴァに告げず、ポッポナイナイしていたので、ウヴァは狼狽え、その隙を突いてOOOはタカトラーターに変身。
 前回同様超スピードでウヴァに連続キックを見舞い、大きく蹴飛ばされたウヴァクワガタカマキリのコアメダルを落とし、アンクに奪われることとなった。同時に前回3枚のメダルを奪われたカザリ同様、ウヴァの体も貧相なものとなり、アンクは手にしたメダルにほくそ笑んだところで以下、次週へ。


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平成三〇(2018)年八月七日 最終更新