仮面ライダーOOO全話解説

第7話 ダメ亭主と罠と大当たり

監督:諸田敏
脚本:小林靖子
 今回の冒頭はナレーションがなく、それでもこれまでのハイライトを示すかのように、「人の価値は俺が決めることじゃない。」、「手が届くのに伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ。」、「大切なのはその欲しいという気持ちをどうするか。」といった、キーとなる台詞が披露され、映像ではガタキリバコンボへの初変身と、それにより集団分身が披露されていた。

 今回冒頭はクスクシエ。学校のテストを終えた比奈が出勤すると、今回の民族料理のテーマは「江戸」で、知世子さんは赤い忍者着をまとい、更には映司も時代服をまとっていた。
 早い話、ついに路銀の尽きた映司はクスクシエで臨時のバイトしていたのだが、知世子に「映司君」と呼ばれ、語尾に「ござる」を付けて接客する溶け込み振りに驚愕する比奈。そんな彼女の驚愕を比喩するようにコケシが驚愕し、倒れたのだが、もしかしてあのコケシ、知世子さんが密かに夜中に………(シルバータイタン妄想中)………ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!…………子供番組にそんなの関係ないよな(苦笑)。

 その頃、グリード達は溜まり場にて思い思いの時間を過ごしていたが、そこにはガメルだけがいなかった。メズールがさりげなくその欲望に対する姿勢を述べていたことから、今回のヤミーを生み出すのは順番的にも、ガメルであることが伺える。
 そしてガメルの暗躍を予想させるかのように、一人の男・小森武(渋川清彦)が恐怖に顔を引きつらせながら、逃走に逃走を重ねていた。

 小森を追い掛け回していたのは、その妻・桃子(安藤玉恵)だった。
 早い話、小森は駄目亭主で、働きもせず、女房の財布から金をちょろまかしたらしく、靴をぶつけられて、追い詰められるや、「鬼嫁!」と逆切れした。
 これだけならよくある夫婦喧嘩だったのだが、間の悪いことに、そこにガメルがいたことが事件の始まりだった。桃子が小森に靴をぶつけた様を面白がったガメルは、笑いながらセルメダルを取り出すと、なんとそれを夫婦ではなく自分の額に投入した。
 するとその体からはバイソンヤミーが這い出て来た。バイソンヤミーが妙なエネルギー波の様なものを発すると人々の靴がスルりと脱げ、空中を飛び交って頭にパカパカ当たり始めた。何ともいたずらの域を出ないアホみたいな惨状(?)だが、取り敢えずガメルは面白いらしい。
 だが最初靴だったのが、やがて看板やベンチ、果ては自動車と、その力は見る間にイタズラレベルから災害レベルへと肥大化。メズールガメルの無邪気さゆえに考えなしに拡大する恐ろしさを認識したい様だった。

 場面は替わってクスクシエ。そこで着物で接客していた比奈は知世子さんから映司が臨時バイトとなった経緯を聞かされていた。路銀の問題だけでなく、ホームレス化していた映司を捕まえ、インドに行った時の写真の人物であったことを確信し、住み込みバイトを提案したのだったが、映司本人は比奈と顔を合わせるのが気まずい様で、比奈の復帰とともに店を去ろうとした。
 しかし妙齢の女性である知世子さんが映司を自宅に住まわせるのは……………………イカン、イカン、全話解説はシルバータイタンの妄想を語るところじゃなかった……。
 そして次の瞬間、クスクシエに先程の桃子が夫を探して飛び込んで来た。桃子は知世子さんと旧知の様で、店内に小森がいないと知ると、来店の折には亭主を捕まえておいて欲しいと告げてクスクシエを飛び出した。
 靴すら履いていない桃子の慌てぶりを案じた知世子さんは映司に彼女の追跡を委託した。

 場面は替わって鴻上ファウンデーション会長室。そこでは後藤がケーキ作り中の鴻上会長から現状を聞かされていたが、後藤は利用する対象にアンクがいるのが気に入らないのを明言していた。
 彼は元警察の人間で、警察を辞めて鴻上ファウンデーションに入ったのも、「世界平和」を実現するためで、鴻上会長もそれと同意であることを告げたが、その壮大な理念と逆行するように後藤に命じたのはケーキの運搬だった。

 その頃、小森はスピードくじを引こうとし、桃子はその小森を締め上げ、映司は夫婦喧嘩を(暴力だけでも)止めんとしていた。そこへガメル大暴れの余波が襲ってきた。
 少し前にガメルは再びバイソンヤミーを操って、街中のありとあらゆるものを乱舞させていた。そんな惨状がスピードくじで小森が100万円を当てたのが判明した瞬間に襲ってきたのだった。

 これに対して映司はOOOに変身して対抗せんとしたが、バイソンヤミーは、そしてガメルはかなり腕力に優れ、聡明そうに見えないコンビは馬鹿力でOOOに劣勢を強いていた。
 一方、ネットで緑のメダルの情報を得たアンクは持ち主に会いに行ったが、これは密かにネットをマスターしていたウヴァの罠で、ウヴァの人間体を知らなかったアンクは忽ちウヴァにとらえられ、ボコボコにされた。
 そんな劣勢にナイスタイミングで加勢したのは後藤だった。鴻上会長(正確には里中)から渡されたケーキを持ってきたのだが、「またプレゼント?」とOOOに言われると、運び屋にされている我が身に嫌気がさしたのか、「まただと?」と言って、物をOOOに渡すのを躊躇ったが、そこにガメルが奇襲してきたことで、危険を察知したOOOに突き飛ばされたことでケースが潰れ、中身を見せることとなった。
 顔面にケーキを食らい、哀れを晒した後藤の顔面にはコアメダルが張り付いており、それをセットするとOOOはライオンの頭部を持つ、ラトラに多段変身した。その鬣から出た閃光は瞬時にガメルバイソンヤミーをぶっ飛ばすという強烈なものだった。
 形成はすっかり逆転し、不利を悟った2体は自動車を投げつけOOOの隙を作るとそそくさとその場をトンズラ。ひとまずの退散に成功した。

 だが夫婦喧嘩はより一層ヒートアップしていた。100万円当たったことで狂喜乱舞する小森だったが、桃子の目先の金に目がくらんですっかり大志を失っている夫に深い悲しみを覚えていた。大金よりも亭主の心根を案じる桃子は鬼嫁ではなく、良い嫁なのかも知れないが、如何せん、怪物が暴れ、車が大破する惨状に延々と喧嘩を続けていたことには流石の映司も開いた口が塞がらなかった。
 そしてその頃、ウヴァの折檻を受けていたアンクはついに耐え切れずコアメダルを吐き出してしまったところで、以下次週へ。


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平成二七(2015)年一一月二二日 最終更新