仮面ライダーOOO全話解説
第8話 サボりと無欲と休憩中
監督：諸田敏
脚本：小林靖子
前回の「3つの出来事」は「１つ、駄目亭主小森が宝くじを当てる。２つ、鴻上から新たなコアメダルが届けられる。そして3つ、アンクが罠に嵌り、ウヴァに襲われた。」というものだった。
冒頭は前回、ウヴァにボコにされていたアンクの続きから。膂力でアンクからコアメダルを吐き出させて奪還したのは良かったが、その間にアンクは（泉刑事の体を離れて）姿を消していたた。ご丁寧にも「その目先の事だけに捕われる性格をなんとかしたほうがいいぞ！カザリによろしくな！」という捨て台詞を残して。
千載一遇のチャンスに僅かな成果で終わったウヴァは、アジトに戻るやカザリに八つ当たりを始めただった。物言いが子供っぽいのはガメルだが、直情的な意味で子供っぽいのは間違いなくウヴァだな(苦笑)。
冒頭からこのたまらんアホの子ぶり
結局メズールが仲裁し、両者は互いのメダルを交換することで本来の持ち主に返した。その際やはりウヴァは「俺のメダル！やっぱり持ってたんだな貴様…！」と激高しかけたが、それもまたメズールにたしなめられたから、４体のリーダーは間違いなくメズールである。
かくして両者はコアメダルの取戻しにより、スタイルも幾分マシになった。
一方、辛くも逃げおおせたアンクだったが、運悪く、小学生達に発見され、「ツチノコだ！」として石や棒で散々に攻撃され、泉刑事の体に戻るのだった。どうでもいいが、お子ちゃま達は「ツチノコ=蛇の一種」という認識はないのだろうか？
ともあれ、メダル不足と、それでも映司に弱みを見せるわけにはいかないことに苦悩するアンクであった。
場面は替わってとある河川の橋上。前回からの夫婦喧嘩の果て、桃子は前話で小森が当てた100万円の当たりくじを河中に放擲してしまい、小森は必死に川の中でくじを探していた。
そんな夫を橋の上から見ていた桃子は、過去の夫は違った、と映司に語った。桃子曰く、「昔はあんなじゃなかったのよ…「もっといい写真撮ってやる！」っていつもギラギラしてて。それが一度贅沢しちゃったら人間変わるものよね…仕事選り好んで断るようになって。最後は全然写真も撮らなくなってカメラまで売っちゃったの。あんな武、昔じゃ考えられなかった。」とのことだった。
つまるところ、駄目亭主・小森武は写真家で、しばらく前に凄い賞を取り、若くして成功したことから贅沢を知ってしまい、その途端に写真に対する情熱を失い、商売道具まで売ってダラダラした毎日を送っていたということだった。よくある堕落話である。
映司は、小森の気持ちを分かる、として、「夏休みの後って学校行きたくないじゃないですか。そんな時に限って親に「勉強しろ」って言われてると、余計イヤになるって言うか。」と例えたが、桃子から帰ってきた答えは「微妙。」で、彼女は小森が欲を無くした様に思っていた。
だが、「欲望」は本作を構成する重要なファクターである。映司は「そう簡単になくなりませんよ。人の欲って。」と返した。ただ胸の内をさらけ出したことで、桃子は少し落ち着きを取り戻したようだった。
場面は替わらず、時間が替わってその日の夜。
結局、くじは見つからず、ずぶ濡れになった映司と小森はパンツ一丁で焚き火に当たり、互いの身の上を話し合っていた。
ここで映司のパンツ観が披露された。映司曰く、「死んだ爺ちゃんが旅好きで、パンツはその爺ちゃんの遺言なんです。男はいつどこで死ぬかわからないから、パンツだけは一張羅履いとけって。」とのことで、さながら、戦に行く前に褌は綺麗にして出陣したという、古武士の心意気と言ったところだろうか。
そんな「裸の付き合い」にほだされたのか、小森は成功と途端に人生をさぼりたくなった気持ちを吐露した。映司は、その気持ちが分かるとして、またも妙な例えを持ち出した。
「俺、揚げまんじゅう大好きなんですけど、一気に２０個食った時はもう見たくないって思いましたもん。それと同じですよね？」というよく分からないものだったが、小森から帰ってきた答えは、「微妙。」だった。似たモン夫婦やな(笑)。
そして彼もまた自分に対して、妻と同様、「欲自体なくなっちまった。」と表現。映司は「やっぱり夫婦ですね。」として、彼にも人間の欲が簡単にはなくならないことを告げた。その根拠は「だって今も揚げまんじゅう好きですもん。」で、この例えは分かる気がした(笑)。
この台詞に続く、「あの最初に食べた時の感動が忘れられなくて」に小森は思い直すところがあったようで、一方の桃子も自分の責め過ぎを反省し、程なく、橋の上で再会した夫婦は気まずそうにしながらも仲直りした。
場面は替わって鴻上ファウンデーション会長室。そこでは後藤が映司達をOOOとして戦わすことに反対していた。その理由は映司を、「真面目なのかフザけてるのか解らない男」とするもので、それなら自分の方が相応しい、と言いかけた。
だがそれを制した鴻上会長は「そんな解らない男に振り回されるのはやめたまえ。キミらしくもない。」とたしなめた上で、OOOこそは800年前もグリード達を封印した張本人であることを告げ、「火野映司君のここまでの戦いぶりは十分にそれに相応しいモノだと思うがね。」とした。
それこそ「真面目なのかフザけてるのか解らない男」である鴻上会長(笑)の意見に、まだ納得がいかない様子の後藤だったが、そこに噂をすればなんとやら、で映司その人が現れたのだった。
目的はコアメダルの借用だった。
その後、映司とアンクは合流。特にこれといった条件もなしにメダルの借用に成功した映司をアンクは、「お前が使えるバカなのは間違いないな。」と相変わらずの毒舌ながらも幾分なりとも認めている旨を口にした。
2人して仲良くライドベンダーにまたがり、アンクの導きで前回逃亡したバイソンヤミーの元へ。アンクはガメルのヤミーの特徴を、「自分の能力を発動するのにメダルを消費するから倒しても美味くない。」としたが、映司はお構いなし。
ラトラバに変身するや、あっさりバイソンヤミーを撃破した。果たしてアンクの予測通り、獲得メダルは返済分に届かないものだった。
場面は替わってクスクシエ。知世子さんの口から小森がまたやる気を取り戻したことが伝えられた。「まずはカメラを買うトコからだから時間かかりますけどね。」とバツが悪そうにしつつも迷いのない小森に桃子はカメラを取り出した。
それは小森が質入れしたもので、それが桃子のもとにあることを訝しがったが、桃子曰く、「あの後すぐ私が買い戻しておいたのよ。いつかこういう日が来ると思ってね。」とのことだった。やはり言葉はきつくても良妻でしたね、この人。
夫婦に感謝され、それに便乗するように改めて知世子さんは映司にクスクシエに住み込みで働くよう持ちかけるが、その話題になった途端映司は逃げるように店を出てしまった。
どこぞのベンチで寝そべる映司は、樹上で本を読むアンクに人間の欲望について話したが、アンクは「お前のパンツまみれの欲望ならいらないからな。」と揶揄して真剣に取り合わなかった。しかく「パンツまみれの欲望。」って、聞き方間違えたら変質者みたいだ(苦笑)。
そこへ映司の後を追ってきた比奈が現れ、アンクと自分を近付けない為にクスクシエのバイトを断ったのでは？と確認してきた。
尚も映司は遠ざけようとしたが、比奈は「大丈夫です！」といい、「自分では嫌いなんですけど。」としながらも例の怪力で樹木ごとゆすってアンクを振り落とすと、兄の体を乗っ取っているアンクを近くで見るためにも、「傍に居たほうが安心なんです。だからお願いです！クスクシエで一緒に働いてください！」とした。
怪力で翻弄されたアンクは面白くなさそうだったが、映司は比奈の決意を認め、両者は握手を交わした。ここに主要メンバーである3人が常時ともにいる体制が整ったところで第8話は終わるのだった。
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平成二七(2015)年一一月二二日 最終更新