仮面ライダーW全話解説

第2話 Wの検索 / 街を泣かせるもの

監督:田崎竜太
脚本:三条陸
 自分が見た「すんごいクルマ」=ボルギャリーと、「半分コ怪人」=仮面ライダーWに驚愕し、説明を求める亜樹子。
 「半分コ怪人じゃない。Wだ」と言いながら、肝心の戸川洋介をティーレックス・ドーパントに咥えられ、連れ去れてしまったことに翔太郎は頭を悩ませていた。
 その時、ラジオから戸川の水死体が発見されたとの報が流れて来た。彼の遺体を発見し、通報した真里奈は翔太郎の前で泣き崩れ、翔太郎は力なく詫びるしかなかった。

 真理奈の為にも戸川を殺した共犯者を何としても挙げたい翔太郎は、再度戸川が襲った最初のビルを調べていてティーレックス・ドーパントと再遭遇した。
 翔太郎はスタッグフォン&バットショットのガジェットで応戦し、何とか怪人を撃退。ちなみにガジェットとはフィリップが設計・製作した探偵7つ道具のような3種類のツールで、戦闘に捜査に活躍する便利アイテムである。

 ここで翔太郎が情報収集を頼んでいた馴染みの情報屋・ウォッチャマン(なすび)が初登場。
 ガイアメモリの売人と戸川が会っているのを目撃した人間がいたことと、その売人の風体を聞き出したが、その売人とは前回園咲冴子が口にしていた「婚約者候補」だった(勿論翔太郎の知らない話だが)。

 翔太郎はウォッチャマンから得た情報を基にフィリップに戸川を殺した犯人を突き止めるべく、星の本棚による検索を要請。
 キーワードは、「ウインドスケール」、「羽根」……しかし最後のキーワードが翔太郎には言えなかった。間違いであってほしいと念じながら口にしたそのキーワードとは「女」で、検索され、フィリップによってホワイトボードに書かれた答えは「MARINA TSUMURA」だった。
 ビルでティーレックス・ドーパントを撃退した時、そこに残されていた羽根の柄が描かれた服が手掛かりで、真理奈もまた戸川と同じくウインドスケールをクビになった元・社員=デザイナーで、2件のビル破壊は、会社に恨みを持つ2人の共同正犯だった……。
 つまりは戸川の死も、マグマのメモリに飲み込まれて暴走した戸川から事件の発覚を怖れた真理奈が始末したもので、捜査依頼はカモフラージュだったのである。

 思い詰めた表情で事務所を飛び出ようとする翔太郎を、フィリップは非情になれない翔太郎では真里奈に喰い殺されかねないので、始末するしかないことを告げる。
 真里奈を信じたい翔太郎はフィリップがハードボイルドを基に諭すのに却って腹を立て、「やっぱりキミはハードボイルドには程遠い半熟卵・・・言わばハーフボイルドってトコかな」の台詞にパンチを見舞うのだった。
 「お前の力は借りねえ!」という捨て台詞とともに自身の持つ3つのガイアメモリを机の上に叩きつけて事務所を飛び出した翔太郎は真里奈にビル破壊の犯人、ドーパントの正体、戸川を殺害した犯人を告げた。
 すべてを突き付けられた真里奈は会社にいた、彼女から仕事も功績もすべて奪い取って、追放した重役への恨みからの犯行であることを白状し、翔太郎に幼馴染みの情で見逃してくれるように訴えかけた。
 だが翔太郎は真理奈が罪を償うことを望み、既に周りは(翔太郎が呼んだと思しき)刃野刑事が率いてきた警察関係者とパトカーによって包囲されていた。
 だが真理奈は翔太郎が見逃さないと知るや、彼を嘲笑し、ティーレックス・ドーパントに変身。警察達の包囲を容易く蹴散らし、翔太郎と、様子を見に来ていた亜樹子の2人を追い回し始めた。
 勿論、メモリを事務所に置いてきた翔太郎に為す術はなかった。そんな絶体絶命のピンチに当然の様に駆けつけたリボルキャリーには勿論フィリップが乗っていた。
 「あれからずっと考えたんだけど解らないんだ。僕は何故殴られたんだい?」と言いながら相棒に手を差し伸べるフィリップの悪意のない笑顔に毒気を抜かれた翔太郎はその手を強く握り返し、彼が持ってきた自分のガイアメモリを受け取った。

 仮面ライダーWに変身した2人は戦闘に突入。
 しばらく戦ったWはフィリップのサイクロン・メモリを「ヒート」にチェンジ。赤黒半分のWヒートジョーカーに多段変身した。
 拳から火炎弾をボンボン撃ち出す攻撃にたまらず逃げ出したティーレックス・ドーパントだったが、その身体に吸着した瓦礫の中にパトカーが丸々1台くっついていた。そのパトカーの中には意識のないフィリップの肉体を引きずりこんで避難していた亜樹子がいた。

 一般道を超スピードで逆走する巨大ティーレックスと、それを追走するハードボイルダー。並走し、車内の亜樹子に「飛び移れ!」と助言するW。笑顔で頷いた亜樹子だったが、次の瞬間憤怒の形相で、「出来るかぁっ!!」…………そりゃそうだよな(苦笑)。
 更にビルの屋上へと逃げるティーレックス・ドーパントにWは、バイクによる追走から並走していたリボルキャリーに一旦バイクを格納させ、テールユニットを換装し、ジェットモードに変形させて、上空への追跡を続けた。

 翔太郎はメモリをジョーカーから「メタル」にチェンジし、仮面ライダーWヒートメタルに変身。『ヒートメタルマキシマムドライブ』から「メタルブランディング!!」を経て、最後はヒートメタルのガイアブレイクでティーレックス・ドーパントを完全粉砕。巻き込まれた亜樹子も無事救い出したのだった。


 真理奈は逮捕され、戸川はもう帰らない悲しい結末に、「今はこれが現実だとしても、いつか必ず俺が変えてみせる。」と、PCが発達したこの現代にタイプライターで今回の事件の報告書を作成する翔太郎。しかも日本語のローマ字表記(笑)。
 そこに入る、「ORE」を「ORETACHI」にすべき、というフィリップのツッコミ。更に亜樹子は立ち退き要求を撤回する代わりに、「鳴海探偵事務所 所長・鳴海亜樹子」との看板を持ち出してきた。

 その頃、一連の事件元凶・園咲家では、新たなる家族が迎えられようとしていた。冴子の婿となる須藤霧彦(君沢ユウキ)だったが、若菜に言わせると、「過去最高の販売実績を残したエリート」である上に、「お姉さまと付き合って命のある男」というのが興味深いらしい。
 勿論、褒め言葉ではなく、あて付けに軽く抗議した冴子は父・琉兵衛に霧彦を紹介。園咲家の人間おろか、ペットの猫=ミックまで怪人形態となって大広間で迎え入れる異形な光景の中、涼やかな男ぶりで入ってきた甘いマスクの好青年・須藤霧彦は全裸にベルトだけ装着した紳士スタイル(爆笑)。
 琉兵衛は霧彦に「園咲の人間にだけ与えられるガイアメモリ」を受け入れる覚悟があるかを笑顔で問う。普通の人間なら差しただけで命を落としかねない物騒なものらしい(通常のガイアメモリも精神を暴走させかねない、充分に恐ろしいものだが)。自信を漲らせつつ、メモリをベルトに刺した霧彦が光に包まれたところで次週へ。


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平成三〇(2018)年五月二九日 最終更新