仮面ライダーW全話解説

第6話 少女…A / 嘘の代償

監督:黒沢直輔
脚本:三条陸
 辛くもあすかを凶弾から守った翔太郎だったが、いい加減我慢ならず、あすかのために真実を告げることと、3度の失敗でどんな手を使ってくるか分からない鷹村からあすかの安全を図る為にも政治利用であすかを連れ歩かないことを訴える翔太郎だが、楠原は恐ろしい程に頑なだった。

 またあすかにも何故「パパ=仮面ライダー」と思うのか探りを入れた。
 その理由は、夫の死後、みやびがそれを娘に伏せるも、大好きなパパに会えない寂しさからあすかが見る見る衰弱していったため、それを防ぎたい一心で、「お顔に怪我をしちゃって仮面の騎士になった」と告げたのが事の始まりだった。それゆえあすかは「風都の皆を守る仮面の騎士から届いた。」とされるフェルト製の人形を後生大事に持っていたのであった。
 彼女に真実を伝えるべきか否かに悩む翔太郎。それを「相変わらずのハーフボイルド」と揶揄するフィリップ。

 一方で、捜査は難航していた。メモリブレイクしたアノマロカリス・ドーパントの正体は鷹村の部下で、鷹村本人が関与を全否定している上に、警察の捜査でも証拠が出ず、フィリップは部下が持っていたものは実験品で、売人なら客に実験品など絶対に売らないと断言。
 そこから鷹村はガイアメモリ流通の関係者であることが推理された。

 その頃、その鷹村は冴子に楠原暗殺の失敗を叱責されていた。
 平謝りする鷹村に、彼の工場は本社で作られたガイアメモリの最終精錬をする下請けに過ぎず、代わりは幾らでもいることを上から目線で告げた。
 後の無い鷹村は霧彦の力を借りて挑みたいと答え、仮面ライダーに前々から興味を持っていた霧彦はこれを快諾した。

 場面は代わって、屋台のラーメン屋。そこで丼を埋めかねないほど巨大なナルトの風都ラーメンを食しながら情報交換を行うウォッチャマンとサンタちゃん。
 亜樹子は亜樹子でここからも情報を得ていた。
 その頃翔太郎は、あすかに父親の真実を告げなければならない、と念じて彼女を呼び出すが、やはり伝えられなかった。そこが翔太郎の「ハーフボイルド」と呼ばれる所以なのだが、視聴者的にも翔太郎には冷徹であって欲しく、まだまだ若さに任せた熱さがあって欲しいところである。

 楠原の嘘に協力した形になったことで却ってほっとした翔太郎だったが、その虚を突くようにアノマロカリス・ドーパントが出現。翔太郎を出し抜き、あすかを連れ去ってしまった。
 すぐさま変身してこれを追うWの前に、霧彦の変身したナスカ・ドーパントが迎撃に来た。Wの姿を差して、その身を真っ二つに割ってみたい、と嘯くナスカ・ドーパント
 ベルトにメモリドライバーを着けているのを見て、ナスカ・ドーパントが敵組織の幹部であることを告げるフィリップ。その間もヒートメタルにてその華麗な剣捌きのナスカ・ドーパントとやり合うWだったが、もたもたしていてはあすかが危ない。
 翔太郎はナスカ・ドーパントの急降下唐竹割りを受け止めると、トリガーのメモリを装填し、自身をも巻き込む零距離から全弾を叩き込み、ナスカ・ドーパントを撃退した。
 勿論両者ともに大ダメージを負い、霧彦はWの捨て身の戦法に呆れながらも爆発に紛れて逃げ仰せ、Wはアノマロカリス・ドーパントを追った。

 当然の様にあすかを人質に取る鷹村と、そこに駆け付ける楠原とW。
 Wは怯えるあすかを宥め、自分を信じているかを問いかけ、あすかが肯定するとトリガーマグナムを発射!通常であればあすかをも危険にさらすところだったが、ルナの能力で放たれた光弾はあすかを避けるように大きく弧を描き、アノマロカリス・ドーパントだけを狙い撃った。
 追い詰められたアノマロカリス・ドーパントはビルの外へ逃れ、巨大化してWを水の中に引き摺り込み、得意の水中戦に持ち込んだが、Wはリボルキャリーを発進し、ハードボイルダーを水中戦装備に換装しこれに対抗した。

 「さあ、お前の罪を数えろ!これで終わりだ!ルナトリガーフルバースト!」の技名とともに一斉射撃がなされ、巨大アノマロカリスも倒れ、鷹村は警察のお縄となった。

 事件は解決したが、あすかへの真実を告げるか否かの問題が残っていた。
 だが、もはやWの答えは決まっていた。Wと楠原はパパが「風都のみんなを守る正義の味方」と告げて、去ることに同意させた。
 見送る「パパ」に頭を突き出し、いつものアクションを求めるあすかだが、当然翔太郎がそれを知る訳はなく、最後の最後に嘘が付き通せないかと狼狽。だが、こっそりそのコミュニケーションを検索していたフィリップがWの右半身を動かして、あすかの頭をくりくりと撫で回し、最後にポンポンと2度叩いた。
 「行ってきます」の挨拶に「パパ」を確信したあすかは満面の笑みでWを見送った。

 その頃、冴子は社長室の電話で計画の失敗を父・琉兵衛に詫びていたが、その内容は部下の無能に責を帰そうというもので、鷹村の工場破棄を告げた。
 電話を切り、「全く使えない・・・どいつもこいつも」と呟く。失敗に対して眦を上げる冴子の怒りには果たして旦那も含まれるのか……?

 最終的に、楠原みやびは議員を引退し、第二風都タワー建設は無期延期となった(ん?ミュージアムの思い通りになったんじゃないのか?)。だが母は政治より娘の方が大切であることを悟り、悔いなく市議を引退出来ることを見て、翔太郎はいつの日か…そう遠くない未来、母は娘に真実を話すのだろうと推測し、その日が来るまで自分達は彼女のことを裏切れないことを自らに言い聞かせるのだった。


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平成三〇(2018)年六月八日 最終更新