仮面ライダーアマゾン全話解説

第11話 金色カタツムリは死神の使い!?

監督:山田稔
脚本:鈴木生朗
獣人カタツムリ登場
 冒頭、マサヒコは悪夢にうなされていた。
 夢の中でマサヒコは獣人カタツムリに追われ、必死に逃げ惑っていた。アクション自体はマサヒコも、彼を追う獣人カタツムリもスローモーションで、めちゃくちゃ迫力があった訳でもないのだが、その恐怖に駆られながら逃げ惑うマサヒコを演じる松田洋二氏の演技は迫真で、放映当時のチョイ役である子役の演技が見るに堪えないのに対して、完全に松岡氏のそれは群を抜いている。
 当時、アマゾン役の岡崎徹氏が、個人としては年端も行かない松田氏に演技のアドバイスを求めたと云うのも強ち大袈裟な話ではないと頷かされる。
 そして、この獣人カタツムリだが、人間がアクションする為の手足部分を除けば、ヘビ獣人ワニ獣人同様、モデルとなった動物がそのまま大きくなった容姿で、逆にそのことが不気味さを醸し出していた。
 全くの余談だが、道場主の二人いる妹の内、年上の方はドラえもんがネズミを、オバQが犬を苦手とするのと同様にナメグジ・カタツムリが大の苦手で、彼女にこの第11話を見せたら大変なことになると思う(苦笑)。

 余談はさておき、りつ子に起こされて悪夢から目覚めたマサヒコは襲撃が悪夢であったことに胸を撫で下ろした。りつ子は傍らにある小瓶を指して、カタツムリなんか飼っているからそんな夢を見るとして、捨てるよう促したが、学校に持参して友達に見せびらかすと云う目的を持っていたマサヒコはこれを拒んだ。
 だが、当然そのことが騒動の元となった。

 カタツムリを見ていたマサヒコと、それを見ていた級友の元に新選組を名乗るクソガキ二人組が現れ、パチンコとバットをちらつかせながらカタツムリを寄越せと強要し、これを取り上げてしまった。
 ゲドンの獣人にすら棒を持って立ち向かう勇気(無謀?)の持ち主であるマサヒコは体格で勝る二人組にも怯まず、アマゾンバリの構えで応戦態勢を見せたが、そこに始業のベルが鳴り、一緒にいたチサコ(伊藤つかさ)が馬鹿は相手にするべきではない的な台詞で撤収を促し、教場に向かった。

 その様子を見て、「様あみろ。」と云っていた二人組、呆れ果てたクソガキである。
 そして自分達も教室に向かわんとしたが、そこにアマゾンが立ちはだかった。

 いきなり現れた異装の大人を前にたじろぐクソガキ達にアマゾンは強奪を咎め、返すよう求めたが、クソガキどもは応じるどころか、アマゾンの片言を詰り、バットで殴りかかる始末だった!
 勿論そんな攻撃がアマゾンに通じる訳なく、逆にバットを折られたことで、ビビりながらも「怪人だ!」と罵り、カタツムリを置いて逃げだしたのだった。
 しかし、フィクションとはいえ、このクソガキども、どんな教育を受けたらこんな素行・性格に育つのだろう?ジャイアンの「のび太、良いもの持っているじゃねぇか?ちょっと貸せよ!」がポピュラー過ぎて軽く見られがちだが、やっていることは立派な恐喝・強盗である
 シルバータイタンは、子供のやった悪行を大人と同じように裁けと云うつもりはないが、「子供のやったこと」という認識の下、その悪行を軽く捕らえる風潮は個人的に昔から腹に据えかねている。
 「万引き」は完全な窃盗出し、「いじめ」は(内容もよるが)傷害・名誉毀損で、「カツアゲ」を初め、相手に意に添わぬ譲渡・貸与を強要する行為は強盗と同じで、完全な犯罪である
 だからと云って、年端も行かない子供を懲役刑に処せとは云わないが、かかる悪行を咎める際に、成人の為したことなら懲役に相当する犯罪となることを周囲の大人は教えないのだろうか?
 道場主だって、幼少のみぎりに何一つ悪いことをしなかった訳ではないが、大人と同じ罰を受けずとも、罪は罪として一通りの教育を親・教師・地域から受けている。特撮番組においていじめや、不良行為・素行不良を描くなとは云わないが、それ等の行為が立派な犯罪であることを言及し、それを咎める描写は欠かして欲しくない。
 少なくとも、小学生時分の道場主が弱い物相手に暴力をちらつかせて物品の譲渡・貸与を強要するようなことをしていれば、亡き父から顔の形が変わるほどぶん殴られただろう……………実際、子供の頃に隠れて飲酒したのがバレた時はめちくちゃ殴られたもんなあ………(しみじみ)。

 閑話休題。
 そんな恐喝及び、取り戻しを観察していた赤ジューシャは即座にこれを十面鬼に報告し、十面鬼はマサヒコがカタツムリを採集していると情報を「使える。」とした。このとき十面鬼はマサヒコの名を口にしているが、首領が立花藤兵衛以外の主人公周辺人物の名を口にするのは珍しい(滝和也や岬ユリ子は頻繁にその名を口にしていたが、これは例外だろう)。
 ともあれ、十面鬼獣人カタツムリを召喚し、獣人カタツムリはその体を通常のカタツムリと同じサイズに縮小させた。どうやらマサヒコがカタツムリを採集しているのを利用してその傍近くに潜伏するのが目的の様である。

 その頃、城南小学校ではアマゾンがマサヒコの教室に取り返したカタツムリを届けに来たが、生憎授業中で、マサヒコは窓の外から笑顔で小瓶を指さすアマゾンに邪魔せず帰るようジェスチャーした。
 しかし、幾分日本語に慣れてきたとはいえ、一般的な人間社会になじみ切っていないアマゾンには何故マサヒコが邪険にするか、その機微が分からない。結局、アマゾンへの合図が授業を妨害していると見做されたマサヒコは立たされることになり、雰囲気でマサヒコが自分に対して気分を害したことに気付いたアマゾンは扉の外に小瓶を置いて、淋しそうにその場を去ったのだった。
 まあ、23年も野生で、人語を解さず生きて生きた男にそこまでの理解を求めるのは酷かもしれないが、立ち去ったアマゾンと入れ替わりに現れた赤ジューシャ達が小瓶の中に獣人カタツムリを投入したのだった。
 授業中とはいえ、野生児アマゾンにも、学校関係者にも気付かれずに校内に潜伏し、目的行動を遂げる赤ジューシャは前にも書いたように諜報員としては歴代悪の組織戦闘員の中にあってかなり優秀かもしれない。しかし、退却時に難があるようで、しっかり自分達が動いていることをモグラ獣人に目撃されていたのだった(苦笑)。

 そしてモグラ獣人はマサヒコに(一時的に)嫌われた、その理由も分からずしょんぼりしていたアマゾンの元に駆け付け、ゲドンがマサヒコを狙っているので学校に急行するよう伝えたのだが………赤ジューシャが引き上げているのを見ただけでそこまで推理するモグラ獣人って、無理があり過ぎるだろうに(苦笑)

 一方のマサヒコはアマゾンがカタツムリを取り返してくれたことですっかり機嫌を直していて、傍らにいた友達二人にもカタツムリを分けるとし、二人とも小瓶の中にいた黄金色のカタツムリを欲しがった。
 するとそこに再び新選組の馬鹿二人が現れ、自分達にアマゾンをけしかけた(←けしかけていないが(苦笑))ことへの恨み言を述べながら再度カタツムリ強奪に掛った。盗人猛々しいとはこのことだな(呆)
 だが、ここで獣人カタツムリが正体を現したので、忽ち子供達はパニックとなった。獣人カタツムリは白い泡を吐き、それに見舞われたマサヒコ達は忽ち身動きが取れなくなった。
 直後、ジャングラーでアマゾンライダーが駆け付けたため、獣人カタツムリの矛先はアマゾンライダーに向いた。普通、カタツムリと云えばその致命的なまでに鈍重な動きが特徴なのだが、この獣人カタツムリは殻に閉じ籠ると素早い回転で移動することが可能で、ジャングラーに撥ねられても然したるダメージを受けず、ジャングラーに乗るアマゾンにしがみついて格闘を為す動きを見せたが、やがて沼地に放り投げられると大量の白い泡を水面に浮かべて姿を消した。

 Bパートに入ると自身もバイクで駆け付けた藤兵衛がアマゾンのライディングテクニックを褒めたが、その実、自分の指導とジャングラーの性能の賜物としていたから完全な自画自賛だった(苦笑)。
 アマゾンはその言に耳を貸さず、泡に捕らわれているマサヒコ達の元に急行したのだったが。一足遅く、マサヒコ達は赤ジューシャ達に攫われようとしていた。
 即座にこれを追うアマゾンと藤兵衛だったが、途中、ついて行けないと見たものか、藤兵衛はアマゾンの背中に何かの罠である可能性を呼び掛けた。同時に、モグラ獣人もそのことを懸念していた。

 撤収する赤ジューシャ達の動きにおかしいものを感じていたモグラ獣人は、彼女達がアマゾン目掛けて煙幕を投げ付けると、アマゾンを自分の穴倉に引き摺り込んで避難させ、赤ジューシャ達の追跡を躱した。
 これに対してモグラ獣人の意図に気付かないアマゾンは「邪魔するな!」と声を荒げたが、モグラ獣人に云わせるとこれはゲドンが良く張る罠とのことで、マサヒコ達はとっくに別の場所に移されているとのことだった。
 確かに前話の黒ネコ獣人もカズオ君を攫うと見せかけてアマゾンを誘き寄せていたから、元ゲドン所属のモグラ獣人がそう説明するのには頷けるものが有った。

 モグラ獣人の気遣いは有難いにしても、当然何としてもマサヒコを救わなければならない。高所に登ったり、地面に耳をつけたりしていたアマゾンだったが、やがて簀巻きにされたマサヒコ達を連れ去る赤ジューシャ達の姿を捕えた、何の脈略もなく(苦笑)

 そしてそれを追うアマゾンの前で山肌の洞窟の様な所に赤ジューシャ達は姿を消したのだが、尚も追跡せんとするアマゾンの前に爆煙を上げて獣人カタツムリが現れ、立ちはだかった(←ゲドン獣人には珍しい演出である)。
 上述した様に、獣人カタツムリはカタツムリ型改造人間にしては鈍重さが無かった。逆に体を殻に格納すると空中殺法すら可能で、アマゾンに対してマウントを取るとそのまま絞め上げられたアマゾンは自力脱出が出来なかったので、腕力にも優れているようだった。
 このマウントポジションは駆け付けた藤兵衛が体当たりをかましたことで崩され、アマゾンは辛くも危機を脱した。この藤兵衛の体当たり攻撃は過去作「奮闘!立花藤兵衛」でも検証しているのだが、シルバータイタンの中では『仮面ライダーストロンガー』第32話で岩石男爵にマウントを取られていた仮面ライダーストロンガーを助けた時の印象が強過ぎて、すっかりこの第11話のこのシーンを忘れていた………主人公の危機を救った体当たりはこっちの方が先だったのね(苦笑)。

 ともあれ、間合いを取ることに成功したアマゾンだったが、そうなったらなったで獣人カタツムリは白泡を吐いて応戦してきた(これにより藤兵衛が行動不能となった)。
 素早い動きでこれを躱し続けていたアマゾンだったが、獣人カタツムリは執拗に泡を吐き続け、ついにはアマゾンもその泡に捕らえられたのだった。とはいえ、泡による拘束はアマゾンの自由を完全に奪う程ではなく、アマゾンはそのまま仮面ライダーアマゾンに変身。すると、その途端に泡の影響は完全に完全に消え失せていたのだった(笑)

 そしてBGMに「その名はアマゾン」が流れる中、アマゾンライダーはこれまでとは異なるアクションを見せた。それはパンチとキックの多用である。これまでワイルドアクションで見せた噛む・引っ掻くの攻撃が完全に失せた訳ではないが、とにかく序盤は回し蹴りを多用して大きな殻を背負っていることでバランスの悪そうな獣人カタツムリを何度も転ばせ、途中では拳を固めてナックル・パートの連打をお見舞いし、更には獣人カタツムリの両肩に跨るとその頭部にウォーズ・ピストン・エルボーを連打して叩きつけた。
 かかる攻撃を受けた獣人カタツムリはすっかりグロッキーとなり、降り立ったアマゾンはいつもの手刀攻撃を連打して食らわせると踏みつけるようなキックを食らわせ、殻に閉じ籠った獣人カタツムリを沼に投擲。すると獣人カタツムリは先にジャングラーで撥ねられた時のように大量の白泡を水面に浮かべたが、やがてそこに血の赤い色が混じると水面を爆発させて最期を遂げたのだった(←ゲドン獣人には珍しい死に様である)。

 そして勝負が決すると洞窟の中からマサヒコ達が歓声を上げて飛び出して来た、何事も無かったかのように(苦笑)。まあ、気絶していた藤兵衛を拘束していた泡も消え失せていたので、恐らく獣人カタツムリの死で泡が効力を失い、それを見て作戦失敗を悟った赤ジューシャ達も撤収を優先させたのだろう。ゲドンに食人の習慣があることを思えば、獣人カタツムリ戦死と共にマサヒコ達が捨て置かれたのはラッキーだったかも知れない。

 そしてラストシーン。一同がソフトボールに興じているシーンが流されて第11話は終結した。どうやらマサヒコと達と新選組のクソガキとの間に和解が成立したことを暗に示していたと思われる。アマゾンに助けられたことで恩義からクソガキどもが敵意を解いたと考えるのが自然だろうけれど、やはりフィクションとはいえ(フィクションだからこそ、と云うべきか)、人の物を脅し取ろうとしたクソガキにはしっかり懲罰を受けるか、さなくば、しっかり反省した姿を描いて欲しいものである。


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令和六(2024)年二月三日 最終更新