仮面ライダーX全話解説

第12話 超能力少女をさらえ!

脚本:鈴木生朗
監督:折田至
獣人キマイラ登場

 冒頭はTV局から始まった。とある番組の生中継で、昭和中期には結構放映されていた超能力特番だった。
 スタジオには超能力少女と話題の河村恵子(吉本由美子)とその母(浜田ゆう子)がいて、恵子は透視やスプーン曲げが出来るとのことだった。現実と少し異なるのは、恵子の父が超心理学者とのことで、国や学界としては超能力に否定的な日本では見られない背景だった(海外では超常現象を科学的に研究したり、軍事転用したりすることを目指して国家から巨費が投入されていることも多い)。

 ともあれ、透視は見事に成功した。だが、続くスプーン曲げは母を通じて出来ないと告げた。母親曰く、スタジオ内に悪い念波を送っている者がいるとのことで、カメラの横にいたベレー帽の男(影山丈二)が怪しかったのだが、男が引っ込むと、「これで出来るわ。」と云って、スプーン曲げを成功させた。もし、スプーン曲げが中止したままだったら、現実なら絶対インチキ呼ばわりされたな(苦笑)

 そしてその様子をTVで観ていた立花藤兵衛は触発されて店のスプーン相手に念力によるスプーン曲げを試み…………ユリ・ゲラーの特番放映時に日本中で観られた光景だな(苦笑)
 勿論、スプーンは曲がる筈ないのだが、そこへ「そんなことも出来ないの?」と人を小馬鹿にしたセリフを吐きながら一人の少年が店に入って来た。少年(関口淳)は「関口淳」と名乗り………つまり、ライダー史上における初の本人出演だった。
 関口氏には申し訳ないが、道場主が物心つく頃にはその名はすっかり世の中から忘れられており、『仮面ライダーX』の放映から10年前後で超能力ブーム自体がすっかり廃れてしまうのだが、放映当時は「時代の寵児」とも云える存在だったらしく、次々とスプーン曲げを披露。まあ、やったことはただ話題のスプーン曲げを見せただけで、この後ストーリーにも全く絡まないのだが、それだけで視聴率を稼ぎ得る存在だったんだろうなぁ。

 ともあれ、怪しいTVクルーの正体はGOD怪人獣人キマイラで、GOD総司令は衣装小屋と思しき場所で、お化け屋敷で使うような幽霊人形を通信媒体に河村恵子の誘拐を指令した。彼女を人質に、超能力研究の世界的権威である河村博士をGODに協力させる為である。
 そしてそんなGODの思惑を懸念するかのように、COLでは敬介が関口君の超能力に藤兵衛共々感嘆するとともにそれを悪用せんとする者に警戒するよう関口君に促していた。
 直後、COLの様子をうかがう怪しい人影に敬介が気付いた。影の正体はアポロガイストだったのだが、敬介が店を出る前に彼は既に次の目的地―河村邸に向かっていた。
 既に局のタクシー運転手に化けたキマイラが恵子と母を拉致しており、アポロガイストは河村博士(綾川香)にGODのTVチャンネルを通じて伝え、明日正午までにGODの要求に応じるか否か返答するよう告げて、河村邸を後にした。ちなみにこのときアポロガイストは悠然とした態度で煙草を吸いながら応対していた。妻子を手中に収めている余裕だろうか?しかし、悪役とはいえ仮面ライダーシリーズにおける喫煙シーンは少ないものである。ゼロ大帝とタイタンが喫煙していた記憶はあるのだが、一番の喫煙者は藤兵衛かな。

 アポロガイストが河村邸を辞した直後に敬介も河村邸に着き、そのまま尾行した。だが途中の荒野でアポロガイストの姿は消えた。恐らくCOLに現れたこと自体が敬介を誘き出す誘いだったのだろう。
 訝しがる敬介の前にアポロショットを放ちながら変身体で現れたアポロガイストは、何の為に河村博士の家に行ったのか?と詰問する敬介に対して、「後ろにいる奴に聞け。」と吐き捨てた。
 振り返った敬介の眼前に現れたのはキマイラ。自己紹介もそこそこに敬介への殺意を漲らせ突っかかって来た。出来ればそれを無視してアポロガイストを追いたい敬介だったが、そこに三人の戦闘工作員が長弓を伴って現れ、敬介の追撃を阻止した。このときの戦闘工作員はなかなかに健闘した。昭和ライダーシリーズにて飛び道具を使う戦闘員は稀少なのだが、GOD戦闘工作員は恐らくもっとも飛び道具を多用していたのではなかろうか?

 ともあれ、一時は矢で崖壁に半磔状態にされた敬介だったが、上着を脱ぐことでセタップに成功し、一騎打ちとなったのだが、体術ではライドルスティックを駆使して押し気味だったXライダーだったが、キマイラは1万度の火炎を発して反撃し、これにはXライダーも手も足も出ない風でAパートが終わった。

 Bパートに入ると、GODアジトに監禁されていた恵子と母が脱出を試みていた。恵子の超能力は錠前を解く力すらあり、扉を開くことが出来たのだが、室外を出てすぐにアポロガイストに阻止されてしまった。
 アポロガイストは即座にキマイラを呼び出すと、超能力の持ち主を監禁するのに見張りすら付けていなかったことを詰り、再度の監禁と見張りを命じたキマイラに対し、秘密警察第一室長の名において処刑することを宣告した。
 突然の処刑宣告に狼狽えるキマイラは「GODの宿敵・Xライダーを殺したんだぞ!その俺をこれくらいのことで処刑するんか!?」と抗弁。これに対してアポロガイストは、「ま、それが事実なら見逃してやっても良いが……。」としてアポロショットを収めたが、その目は完全に信用していなかった(苦笑)。まあそれ以前にAパート終了間際の炎に巻かれたシーンだけでXライダーが戦死したとされても、視聴者は誰一人信用しなかっただろう(笑)

 場面は変わってオートレーストレーニング場。
 そこでは練習時間になっても敬介が現れないことに藤兵衛がやきもきしていた。バイクの音が聞こえたので、敬介かと思ったら現れたのはアポロガイストアポロガイストに敬介が現れないことを問われた藤兵衛だが、当然答え様がない。逆にアポロガイストが何者か?敬介の知り合いか?と問う藤兵衛だったが、キマイラの先の発言が満更出鱈目でもなかったかと捉えたアポロガイストは、「知り合いだったと云うべきでしょうか。」と、藤兵衛には良く分からない過去形表現を残してその場を走り去った。
 この藤兵衛の台詞一つでXライダー戦死を事実と受け止めたのだから、このときのアポロガイストはまだ甘かったと云える(これ以後は、怪人が「Xライダーを倒した。」と云っても、アポロガイストは一切信用しなかった)。

 だが、二人が探していた敬介はすぐ近くに潜んでいた。
 アポロガイストが立ち去ったのを見計らってこっそり藤兵衛の前に姿を現した敬介はそこそこの怪我を負っていた。どうも戦死を装う為にぎりぎりまでキマイラの攻撃を受けたようで、それならキマイラが「Xライダーを倒した。」と思い込んだのも分からないでもないが、それならそれでもう少し戦死っぽい描写をして欲しかったものである(苦笑)。
 ともあれ、敬介は藤兵衛に何か頼みごとをした。

 そしてアポロガイストが回答期限とした正午、キマイラが河村博士の下を訪れた。河村博士は妻子の助命を条件にGODに協力すると誓い、何処かへ連行された。到着したのは河村超心理学研究所。つまり妻子は「灯台下暗し」的に研究所の地下室に監禁されていたのだった。
 何とか妻と娘の無事な姿を確認した河村博士だったが、安堵したのも束の間、キマイラはGODに忠誠を誓う者への掟として、水城涼子宜しく、サイボーグ手術を受けさせると宣告した。博士のみならず、妻と恵子も、である。
 だが、この動きは藤兵衛が河村博士に送ったライター型発信機でもって敬介に察知されていた。そして敬介の救助が迫っていることを、超能力の持ち主である恵子は手術台にて察知しており、拘束されても不安の色を浮かべていなかった。

 普通にバイクで向かったのでは間に合わないと見たものか、敬介はXライダーにセタップするとクルーザーの飛行能力を駆使して研究所に乱入。大立ち回りを演じて河村一家を手術台の拘束から解き放ったのだが、この間、キマイラ初め戦闘工作員の誰一人として拘束されている三人を人質にしようともしなかったのが間抜け過ぎ(苦笑)。
 Xライダーは河村博士に妻子を連れて逃げるよう促すと、キマイラ及び戦闘工作員を迎撃した。

 Xライダーが戦っている一方、逃げる河村一家を別動隊となっていた戦闘工作員達が再度捕らえんとして襲い掛かった。だがここにも救いの手が現れた。みんなの仲間、立花藤兵衛である(笑)。
 藤兵衛は忽ち数人の戦闘工作員をボコり、河村博士に車に乗るよう促すと追いすがる戦闘工作員の一人にドロップキックをかますと後部座席に飛び乗って戦闘工作員を振り払い、一家を救出した。過去作「戦闘員VOW」にも書いたが……………弱過ぎるぞ、戦闘工作員!!親父二人の即興コンビネーションにしてやられるんだから…………まあ、ここは藤兵衛の奮闘を褒める方に回るか(苦笑)。

 その頃、Xライダーは相変わらずキマイラの火炎攻撃に苦戦していた。先の戦いでは戦死を装ったとはいえ、一万度の炎は武器としても、防具としても厄介な手合いだった。その火炎に依存しているせいか、キマイラの格闘能力は大したことなく、キマイラもそれを分かっていたのか、最後の手段として火炎を自分の周囲にまとわりつかせ、防護壁としたのだが、結局Xライダーは湖に飛び込んで体を冷やすことで炎の壁を突破する下準備と為し、Xキックの前にキマイラは敗死したのだった。

 直後に駆け付けたアポロガイストは「遅かったか!」と臍を噛んでいたが、加勢する気が合ったかどうかは極めて疑わしかった(苦笑)。
 ともあれ、藤兵衛と共に河村一家もXライダーの元に駆け付け、一家が無事救われたことを確認して第12話は終結したのだった。


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令和五(2023)年六月一四日 最終更新