信長の同盟者達
織田信長…………云わずと知れた戦国末期三英傑の一人。行動への賛否はどうあれ彼が戦国時代という一世紀に及んだ日本史上最大の暗黒時代を急速に終息に向かわしめた歴史的功績は誰にも否定出来ないだろう。
元々は尾張半国を治める守護代の家来に過ぎなかった人物が畿内・東海道・甲信にまで覇を唱え、その威勢は関東・北陸・中国・四国にまで及んだ。
これだけの業績を上げた人物が無能である筈がなく、実際に信長は内政・軍事・外交・文化造詣・その他に優れ、魅力に溢れた人物で、過去作において度々「信長嫌い」を連呼してきた薩摩守も、感傷的に彼を認めたくないだけで、そのことに言及している時点で信長の功績・魅力を認めていると云わざるを得ない。
そんな信長の業績だが、当然これは彼一人で為したものではない。信長の手足となってその覇道に助力した家臣達には羽柴秀吉(豊臣秀吉)、明智光秀、柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、前田利家、川尻秀隆、佐久間盛信、と正に綺羅星の如くである。
ただ、如何に優れた人材・陣容を有していたとはいえ、周囲が敵だらけでは天下に覇を唱えることは覚束ない。自国を治め、他国に領土を広げるにはただただ戦うだけでは無理な話で、時には意にそまぬ相手に対しても和を求める必要もあった。誰彼無しに噛み付くばかりの狂犬野郎ではいつか駆除されるしかない。
当然、信長も多くの大名と同盟を締結した。一口に同盟と云っても鉄の結束を為すこともあれば、互いに相手を全く信用しない口約束もある。長続きするものもあれば、短期に瓦解したものもある。
ただ、信長が徳川家康を初め、何人もの大名との同盟を有効活用したのは事実である。中には最終的に瓦解した同盟関係も少なくないが、信長の覇道を追っていると様々な同盟関係に興味深い交流が見られる。それを検証したくて本作を制作した次第である。
第壱頁 斎藤道三………似た者同士の舅と婿?
第弐頁 徳川家康………最も長く、重要な相互同盟
第参頁 浅井長政………瓦解時のインパクト極大
第肆頁 武田信玄………両雄並び立たずの典型
第伍頁 毛利輝元………前将軍を巡る集合離散
第陸頁 永続する同盟は在り得るか?
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令和六(2024)年一一月一五日 最終更新