偉大なるストッパー達

「ストッパー」の重要性

 英雄とは得てして暴走し易い。
 有能ゆえに、偉大ゆえに、その性格ゆえに、その権力ゆえに配下の者では主君の暴走を止められないことが往々にしてある。

  織田信長、豊臣秀吉、武田信玄、伊達政宗等は名前と性格を考えただけで並の者では諫言不可能であることが容易に察せられる。
 「泣くまで待とうホトトギス」の徳川家康でさえ、信玄の挑発を受けて三方ヶ原の戦いという無謀な勝負を挑むのを周囲の家臣達は止める事が出来ず、冷静沈着の上杉謙信にも出家を断行しようとして家臣達が滅茶苦茶苦労したことがあった。
 そして完全無欠の人間が存在し得ない故に、下手に有能且つ行動力のある主君が暴走するのを止める者がいない故の悲劇は枚挙に暇がない。それでなくても戦時にあっては大将の采配一つで何千何百、時には何万もの人間の命運が左右されるのである。

 本作では大将の側にあってともすれば暴走しそうになる主君を、その面子を潰さずに止め、無駄な争いと犠牲を避けた「ストッパー」達に注目したい。
第壱頁 本多重次 暴走も冷静だった鬼作左
第弐頁 北条氏規 辛うじて本家を救った三氏の掛け橋
第参頁 豊臣秀長 秀吉暴走をただ一人止められた大和大納言
第肆頁 明石全登 何が何でも「死」を避けます
第伍頁 片倉景綱 生きても死んでも伊達家を救った冷徹者
第陸頁 松平信綱 徳川家内紛を防いだ「智恵伊豆」
終頁 ストッパー不在の不幸と真のストッパー


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平成二七(2015)年七月一一日 最終更新