飢饉なんかにゃ負げねぇぞ!

 飢饉−天候不順や病虫害や戦争等で農作物が凶作となり、多くの人々が飢える状態を指す。平成二八(2016)年現在、地球人口七〇億の内、約八億人が飢えていると云われている。何せ国民を一年間食わせられるだけの資金をミサイルに費やす馬鹿な独裁国家が日本のすぐ近くにあるぐらいだし………。
勿論現代ですら失政・悪政でこの有様なのだから、現代よりも低い農業技術で、天災に弱かった過去においては大飢饉の度に多くの民衆が飢え死にした。

 古今東西、大飢饉が発生すれば、直接的な被害だけでも人口激減、税収・産業力の低下等が起き、間接的にも治安・外交・翌年の農政等に大きな影響を及ぼした。当然それに伴う民衆の犠牲は計り知れなかった。
 無力な民は飢え死にしたり、食を求めて流民として放浪したり、賊徒・罪人に身を落としたり、栄養不足の中流行する病に倒れたりした。
 この惨状に多くの為政者は何らかの手(食糧倉庫の解放、隣国からの食糧取り寄せ、救荒作物の取入れ等)を打ったが、その多くは後手後手に回るものだったり、大自然の猛威の前に陣地の無力さを思い知らされるものだったりした。

 だが、為政者に限らず、効果的な手を打ったり、被害を軽微なものに抑えたり、善後策に活かした者達も少なからず存在した。本作ではそんな大飢饉江戸三大飢饉)と人間の「戦史」に注目してその奮闘への敬意を表したい。
第壱頁 三大飢饉概略……大飢饉の原因と犠牲
第弐頁 下見吉十郎……「生き仏」ならぬ「生き地蔵」?甘藷地蔵ここにあり
第参頁 井戸平左衛門正明……救荒作物・芋に懸けた命
第肆頁 青木昆陽……サツマイモ普及の大功労者
第伍頁 上杉鷹山……救ったのは米沢藩のみにあらず
第陸頁 松平定信……評判下落の中の色褪せぬ功績
第漆頁 等順大僧正……人命救助に善光寺信仰急騰
第捌頁 渡辺崋山……餓死者を出さず表彰されたのに………
最終頁 飢えるも肥えるも為政者次第……


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平成二八(2016)年三月二九日 最終更新