人質………その様々な待遇と存在意義
「人質」という言葉を聞けば、閲覧者の皆々様はどんな状況を想像されるだろうか?
菜根道場道場主分身達で云えば、特撮房シルバータイタンなら悪の組織の構成員に拘束され、ヒーローの抵抗を封じる手札とされた(主に)女子供を想像する(『仮面ライダーストロンガー』最終回では、正義の味方筆頭である仮面ライダー1号が、敵将・マシーン大元帥に「動けば仲間の命はない!」と云った例もありますが(苦笑))。
法倫房リトルボギーなら銀行強盗を初めとする犯罪者が官憲の突入を防いだり、不当な利益を強奪したりするための担保とされたその場の住民・従業員を想像する。
だが、この私、戦国房薩摩守が想像する人質の状況・立場・待遇・悲惨さは千差万別である。
基本は、「敵対しません。その証として私の大切な身内を預けます。もし違背があればその者が害せられても止むを得ないと心得ます。」という意志を示す、生き証人にして(人間相手にこういう表現はしたくないが)誓約書代わりに、相手方に預けられる人員、と捉えている。
当然、人質の境遇は過酷である。
何せ、自分を送り出した身内が同盟や臣従等の約束を反故にすれば見せしめに殺される可能性が極めて高い。実際に反故によって失われた人質の例は史上枚挙に暇がない。
また、戦国大名の多くは子沢山で、当主が心底自分の後を継がせたい者を人質に差し出したい筈はなく、人質とされる者は、身分の低い側室の子であることも多く、人質とされた時点で「実家で冷遇された子」、「父に愛されなかった子」であることが多く、そうでなくても色眼鏡でそう見られることも少なくない(一応、臣従条件として嫡男を求められることもある)。
例外もあるが、一般に人質は格下の相手から格上の相手に差し出されるケースが圧倒的に多いので、差し出された人質が、預けられた先の家中で白眼視されることも多い。
外交上の役割から「止むを得ない」と納得出来ていればいいが、納得出来ないと人質とされた者の心に暗い影を落とすことも多いだろう。
現代日本では「人質」という存在が法的に認められていない。
そもそも大名が存在しないし、人間を「人質」とすることが基本的人権の侵害とされるし、もし人間を質にして質屋で金を借りた場合、借主はその金を返さずに人質を奪還出来る……………というか、それ以前にそんな取引をした借主・貸主の双方が罰せられる(苦笑)。
いずれにせよ、現代では違法とされていることもあって、「人質」という言葉が持つイメージはすこぶる悪い。それでなくても、父親から「お前を人質に差し出す。」と云われて喜ぶ者は皆無と思われる(使命感から納得するケースは多いだろうけれど)。
だが、上述した様に「人質」とされる経緯、及び待遇は千差万別である。
同盟相手が到底信用出来ない故に露骨な質草とされることもあれば、形式的もので、預けられた先で「客分」として丁重にもてなされるケースもあれば、「臣従」が目的故に、「将来の重臣・盟友」云う意味で高等教育を施されることもある。
また、同盟状況では政略結婚で嫁いだ妻が事実上の人質であったり、名目上は「人質」ではなくて「養子」・「猶子」であったりすることもあるから、なかなかに複雑である。
加えて、冷遇される筈が預け先の主君に気に入られ、望外の優遇を受けたケースもある。
そんな様々な「人質」を本作では検証し、一般にイメージが悪く、人生の暗い一面とされがちな、現代社会では完全に違法とされる「人質」の実態が如何なるもので、そこにどんな人生があったのかを考察してみたい。
第壱頁 余豊璋………人質にして留学生にして亡命者にして手駒
第弐頁 源義高………愛娘を絶望させた反故(工事中)
第参頁 松平元康………微妙な優遇と冷遇(工事中)
第肆頁 毛利隆元………早くの為にあわや自死(工事中)
第伍頁 真田昌幸………これのどこが「人質」だ? 壱(工事中)
第陸頁 織田勝長………なし崩し的養子縁組(工事中)
第漆頁 黒田長政………誅殺危機と大恩助命(工事中)
第捌頁 北条氏秀………見捨てたのは誰だ?(工事中)
第玖頁 大政所………インパクト大き過ぎる(工事中)
第拾頁 真田信繁………これのどこが「人質」だ? 弐(工事中)
第拾壱頁 伊達秀宗………後半生影響した「人質」の日々(工事中)
最終頁 現代に「人質」は本当にないのか?(工事中)
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令和七(2025)年七月八日 最終更新