特撮に見る「筋違いな怨み」

 本作は拙房を閲覧して下さった方のリクエストに応えて制作したものである。
 元になったのは、戦国房にて制作した「チョット待て、その呪詛おかしくないか?」である。その作では、日本史上において非業の死(特に無実で罪に落とされた果ての憤死)を遂げたことで死後「怨霊になった」とされた人物を採り上げると同時に、「本当に怨霊が祟った。」として、その「祟り」が向かった矛先や時期がおかしいことを検証したものである。

 そしてその作品を見た方(ハンドルネーム:mikaさん)は、特撮房でも同じ趣旨の作品を作って欲しいとリクエストされてきた。

 正直、頭を悩ませた。

 と云うのも、「チョット待て、その呪詛おかしくないか?」すら、現実世界において科学的に証明されていない、個人的に実在を丸で実感できない「怨霊」や「呪詛」を無理矢理「存在するもの」と仮定して、自分なりの疑問を検証したもので、かかる前提を持つのに苦労した。
 それに対して、特撮番組の世界は(作品の世界観にもよるが)「怨霊」や「呪詛」が存在し、場合によっては死者が生き返るのである!

 それゆえ、生者と死者の線引きも難しいので、mikaさんには申し訳ないが、全く同じ作品を特撮房版として作るのは端から放棄した。ただ、前作を作ろうとしたときの気持ちに立ち返って「恨みの矛先を間違えている…。」、「理不尽な怨みだ…。」と思われた例は様々な特撮作品にて散見された。

 そこで本作では、主に作中に登場する一般ピープル達が、本来の加害者である筈の怪獣・宇宙人・悪の組織ではなく、自分達を守ってくれている筈のヒーローや防衛チームに向けた筋違いな怨みに注目し、それに対して正義側がどう対処し、是正されたかを検証してみた。


第1頁 赤木工場長……経営被害が分からないでもないが……。
第2頁 坂本ヒロシ&一般ピープル(その1)……未知なる恐怖より安易な降伏?
第3頁 小林ゆき……我が子が一番大事なのは分かるけどね その1
第4頁 白鳥健一……逆恨みと和解 その1
第5頁 岡村りつ子………逆恨みと和解 その2
第6頁 白土純……悲哀と自然和解
第7頁 佐原唄子……我が子が一番大事なのは分かるけどね その2
第8頁 浅倉威………弁護のしよう無いって!
第9頁 一般ピープル(その2)……同情が罵倒に変わるとき
第10頁 前川空……失恋八つ当たりの洒落にならない弊害
最終頁 「筋違い」は何故起きる?


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令和六(2024)年二月七日 最終更新